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セリエA 第19節 ユベントス vs アタランタ 〜このスタイルを継続的に

今朝方行われたアタランタとの試合。3-3と派手なスコアになりましたが、実際はユベントスのミスを的確にゴールに結びつけられた残念な試合となってしまいました。勝ち点15を剥奪されるという衝撃的なニュースがあり、精神的なショックは影響したかもしれませんが…。ただし、アタランタ相手に3点叩き込み、さらに決定機も創出していたこともまた事実。後半戦に向け、希望の光も見えつつあるように思います。

ミス、ミス、ミス、ミス

ユベントスのスタメンは、シュチェスニー、マッケニー、ダニーロ、ブレーメル、サンドロ、コスティッチ、ファジオーリ、ロカテッリ、ラビオ、ディマリア、ミリクの5-3-2。アタランタは予定通り5-2-3でハイプレスをかけてきた。ユベントスは後方でショートパスを繋ぎながらアタランタの動きから生まれるスペースをついてボールを前進させることができていた。もしくはミリクのポストプレイからディマリアが前を向く。その形からチャンスも作れていた。しかし、アタランタのハイプレスに苦しみ、苦し紛れのロングボールを蹴って回収される場面もあった。まあ、アタランタはそれを狙っているのだから、うまくハメられたら仕方ない。その時に構えて守るために、そしてハイプレスに対策として後方に人数をかけてボール保持するためにウイングバックの上がりは控えめだった。その代わりにディマリアが中央だけでなくサイドにも自由に動き回ってボールに触ってボールの受け手になっていた。ボールロスト時に転倒してファウルをアピールしても無視されることを繰り返していたのは気にはなるが、ディマリアのテクニックとボールキープは味方の上がりを促していた。

そして、前半開始早々、ロカテッリの縦パスがミリク、もしくはラビオとズレてカウンターを喰らう。ただ、守備の人数も足りていて、サンドロもルックマンにはマークについていた。むしろ、角度を限定してシュートを撃たせた感まである。しかし、シュチェスニーが正面に来たシュートを弾ききれずにゴール内に溢れて先制点を許す。その後、ディマリアとロカテッリら攻撃陣がクオリティを示して逆転するも、後半にもダニーロがビルドアップからアタランタもビックリのプレゼントパス。ショートカウンターから簡単に失点し、さらにはサンドロがルックマンを不用意に離しすぎてクロスからヘディングシュートを流し込まれた。ミラン戦でミスを2つ重ねれば失点するのは必然だと書いたが、今回は4つも決定的なミスが重なっている。しかも、その他は特に大きな決定機をアタランタに与えていないだけに本当に勿体無い試合だったように思う。

ただ、試合の2日前に勝ち点15を剥奪されるということが報道され、平常心を保つことは難しかっただろう。その中でミスが出たのはある意味当然かもしれない。その意味ではよく3点取ったと言える。スローVTRを見てもミリクのペナルティエリア内での転倒は接触があってPKだったと思うし、後半のミレッティに来た決定機は決めておきたかった。試合内容は決して悪いものではなく、後半戦に向けて明るい展望が見えた試合のような気がしている。

継続的なハイプレス

試合開始早々の失点で是が非でも得点を狙わなければいけなくなったユベントス。チーム全体を押し上げ、ハイプレスを敢行。ミリクとディマリアに加えて、左サイドはラビオ、右サイドはファジオーリが張り出してアタランタの3バックにマンツーマンでマークにつく。中盤の選手にはロカテッリ、ウイングバックにはウイングバックを押し出してマークについてパスコースを潰す。その上でボールホルダーにプレスをかけて時間を奪ってロングボールを蹴らせる。ロングボールを蹴るとわかっていれば、ブレーメル、ダニーロ、サンドロは先手をとって競り勝てる。特にブレーメルはロングボールの競り合いには悉く勝利して味方にボールを繋いでいた。ハイプレスをかけて相手のCBにロングボールを蹴らせれば、競り合う場所はハーフウェーライン付近になる。プレスがかかっていればキックの体勢も整っていないことが多く、いくら屈強なCBであっても50mも距離は出せない。ハーフウェーライン付近でブレーメルたちが競り勝ってくれるなら、ユベントスがマイボールにできる地点はアタランタ側のコート内となる。つまり、ユベントスがアタランタ陣内に押し込んで試合を進めることができるということになる。ボール保持から前進、ボールロストからハイプレスを敢行して回収、さらに押し込んでチャンスを作り出すという好循環がピッチにはあった。

早い時間帯の失点がという外的要因が強いとはいえ、アタランタ相手に継続的にハイプレスをかけてロングボールを蹴らせて回収、押し込んで試合を進めるプレーを見せられた。試合開始当初からこの試合運びができれば、後半戦は再び連勝街道を爆進することができる可能性も高まる。あとはアッレグリの指導と選手たちの決断次第だ。

中盤を司る男

さて、継続的なハイプレスによってアタランタを押し込むことに成功したユベントス。その好循環を得点に結びつけたのは、ロカテッリの攻撃参加だった。敵陣に押し込んでプレーができたことでロカテッリのポジションを敵陣深くまで押し上げることができた。そのことによってロカテッリはそのクオリティを開放した。足元の技術はもちろんのこと、プレービジョン、スペースを認知する眼、チャンスと見るやペナルティエリアに侵入する決断力。ペナルティエリア手前でボールを受けて守備を一枚かわしてペナルティエリアへ侵入。前半はこぼれたボールをファジオーリが拾ってPK獲得。後半はファウルを誘ってダニーロのゴールを導き出した。ナポリ戦では中央でボールを受けてサイドにパスを出してからペナルティエリアに侵入してディマリアとパス交換。ディマリアのゴールに繋げている。アッレグリも本音を言えばCHでの起用をメインに考えたいのではないか。昨季の後半戦はアルトゥールやミレッティをアンカーに置いてロカテッリをCHに置いていた。

ただ、ロカテッリには別のタスクもある。中盤の守備だ。ディフェンスラインの前の危険なスペースを相手に先んじて埋め、中央からの攻撃を未然に防ぐ。ボールをサイドに誘導して味方が守備に戻る時間を稼ぐ。ペナルティエリアまで戻ってクロスを跳ね返す。ミドルシュートには体を張ってシュートコースを塞いでシュートブロック。さらには攻守両面において身振り手振りで味方にコーチングしてポジショニングやプレーを指示。中盤の守備でロカテッリが担っている役割はあまりにも大きい。その重要性は不運な怪我によってロカテッリが退いたナポリ戦の後半で改めて思い知ることになってしまった。

ユベントスの中盤の手綱はロカテッリの手の中にある。

アッレグリが今後やるべきことは、ロカテッリが攻撃参加をした時のリスク管理を行うこと。具体的にはロカテッリが上がった時にはCHのどちらかがカウンター対応に意識を割いておくことだろう。明確に下がらせてもいいかもしれない。デパウルの獲得が噂されている。ロカテッリの後ろを任せられる人材の獲得と解釈すれば、金額以外は悪くない選択だと思う。ファジオーリは運動量とスピードがあり、そのタスクを任せることもできるとは思う。しかし、若さと勢いで攻撃参加させた方が面白い。ファジオーリはポグバとのポジション争いに挑む逸材だろう。ラビオは守備時のポジショニングに不安があり、ロカテッリの後ろを任せるのは難しいかもしれない。マッケニーはウイングバックにまでポジションを広げて中盤での起用は減っていくかもしれない。デパウルを獲得できなければ、それでも今いる選手で回していかなければならない。ロカテッリの攻撃性能を引き出すためにも、うまく守備のタスクを整理してロカテッリ以外の中盤の選手にもカウンターに対応させる必要がある。

勝ち点の剥奪によって俄かにユベントスからの移籍も話題に上るようになってきた。ブラホビッチやラビオ、キエーザあたりにプレミア勢が興味を示しているという噂もある。最悪、それはいい。でも、ロカテッリだけは手放してはいけない。サッスオロからの買取オプションは絶対に行使してもらいたい。

中盤を司るロカテッリ。加えてファジオーリ、ミレッティ、アイリングにスーレ、アケ、ブレーメル。さらにはモンツァにレンタル中のロベッラもいる。ユベントスの未来は明るい。

アタランタ戦で見せた積極的なプレーを継続して、後半戦の巻き返しに期待したい。


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