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セリエA 第27節 ナポリ vs ユベントス 〜超攻撃的なプレー

ナポリとのアウェーゲームは1-2で敗戦。足踏みとはこのことか、と思うほどに勝ち点を伸ばせない時期が続いています。ただし、マッケニーとラビオが使えずに中盤のやりくりに困っている中では悪くないゲームだったと思います。ノンジェのPKは高い授業料となりましたが、今後の成長に期待しましょう。

超攻撃的ユベントス

ユベントスは5-3-2をベースにスタートしました。スタメンは、シュチェスニー、カンビアーゾ、ルガーニ、ブレーメル、サンドロ、イリング、アルカラス、ロカテッリ、ミレッティ、キエーザ、ブラホビッチ。ラビオとマッケニー、ダニーロが出場できないスクランブル体制の中、ここまで先発出場が少なかった選手がズラリと並びました。その結果、選手のキャラクターを考えれば今季最も攻撃的な布陣が完成しました。まあ、正直これしかないっていうところなのでしょう。アッレグリはこのメンバーでどんなフットボールを見せてくれるのか、楽しみでもありました。

そして、エスタディオ・マラドーナで展開されたのはユベントスによる超攻撃的なフットボールでした。とは言っても、シティやバルセロナのようなボールを保持して相手を押し込むというスタイルではなく、積極的な守備からダイレクトにゴールを目指してシュートに繋げるという守備をベースにしたユベントスらしいスタイルのフットボールでした。守備をスタートする時のブラホビッチの位置に注目してみてください。敵陣の半分ほどのところまで上がって、守備をスタートしていました。当然、守備ラインもブラホビッチの位置に合わせて高く設定していました。オフサイドラインを駆使してナポリがプレー可能なスペースを狭め、ボールホルダーにプレスをかけに行くことで高い位置でボールを奪う意図です。今季、ユベントスはハイプレスをかけてもボールホルダーに密着することはありませんでした。適度に距離をとってプレスをかけることでドリブルでプレスを剥がされるリスクを回避しつつ後方の選手がマークについて選択肢を奪い、パスが出た先で奪う形でプレスをかけていました。その分、ボール奪取の位置は低くなり、ショートカウンターからシュートまで行く機会はほとんどありませんでした。いわば、ローリスクローリターンのハイプレス。徹底して失点しないことを考えるアッレグリらしいハイプレスのやり方で、これはこれで味がある守備だと思っていました。ユルディズとロカテッリがいればビルドアップは何とかなるだろうし、ブラホビッチが好調を維持してくれていれば得点も見込める。攻守に動き回れるラビオとマッケニーがいれば、うまく試合をコントロールできるプランだと思います。

しかし、ナポリ戦はラビオとマッケニーがいません。アッレグリもこの状況ならば振り切って前に出る方が得策だと判断したのかもしれません。ボールホルダーに密着するまでプレスに出て、高い位置でボールを奪ってショートカウンターを狙うプランを授けてきました。基本はマンツーマンでマークにつきますが、カンビアーゾがクバラツヘリア番なので、オリベイラにはアルカラスが出て、トラオレにはルガーニを押し出して潰しに行きました。ルガーニはCBにも関わらず敵陣ペナルティエリア手前までプレスに出る場面もあり、とにかく前に出て奪うを強く意識していたと思います。そして、ボールを奪ったら素早く縦にボールを送ってブラホビッチとキエーザに預ける。この形で次々とシュートチャンスを創出。そのうち一つでも決まっていれば…というところですが、それは今更言っても仕方がないので、決めてくれることを願うほかありません。

もちろん、ファーストプレスを外されたらすかさず全体が引いて5-3-2ブロックで構える二段構え。しかもその戻りもキエーザとブラホビッチを除いて早いこと早いこと。ミレッティの守備は計算できていましたが、アルカラスの守備意識も水準以上。素早く中盤まで戻ってボールに蓋をして前進を止める守備は必要十分です。その上でナポリの左SBまでプレスに出て行くのですから、このままスタメンの座を奪っても不思議はありません。

ユベントスはハイプレスに出てボールを奪ったら素早くボールを縦に運んでシュートを目指していた一方で、引いて構える守備も併用していました。そのため、ユベントスがボールを保持する時間は減り、ナポリがボールを保持する時間は増えていきました。ボール支配率は大きくナポリに譲りましたが、それはユベントスがダイレクトにゴールに迫ったためです。支配率はナポリに譲ったかもしれませんが、ユベントスは狙い通りに攻撃を仕掛けていたと思います。

継続性を持って…

おそらく、攻撃的かどうかという意味では今季最も攻撃的な試合を展開したユベントス。ブラホビッチとカンビアーゾが決定機を決めていれば複数得点で勝っていてもおかしくない試合でした。早い時間に得点してリードしていれば、ノンジェが後ろ向きのオシムヘンの足を踏むこともなかったでしょう。4-2や5-2、3-1あたりのスコアで勝っていればメディアでも絶賛されていたでしょう。

積極的にハイプレスに出てショートカウンターを狙いつつ、保険として引いて守る守備も完備して守備で試合を支配する。カオスを作り出して選手の質で殴りにかかる一方、そのカオスをコントロールして失点は避けられるようにリスク管理をする。なんともアッレグリらしい攻撃的なハイプレスとその管理でした。今回は結果につながりませんでしたが、この路線を継続してくれれば、これまで以上にアグレッシブにプレーするユベントスが見られるでしょう。キエーザを使うか、ユルディズを使うか。カンビアーゾか、コスティッチか。アルカラスか、マッケニーか。起用する選手に関わらず、ナポリ戦と同じようなプランをスタンダードとして試合に入っていってほしいところです。

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