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21-22 ユベントス 通信簿

21-22シーズンが終了しました。今季ユベントスでプレーした選手についてシーズンを通しての感想を一言ずつ書いておきたいと思います。

GK

シュチェスニー …  3

PKストップや決定的なセーブでチームを救うこと多数。後半戦は素晴らしい活躍を見せてくれた。そもそもユベントスの守備がGKの力を計算に入れた上でミドルシュートは撃たせてもいいという設計がされている。シュチェスニーへの信頼と求められる貢献度は高い。悔やまれるのはシーズン当初の不安定なパフォーマンスだった。そこで勝ち点を取れていればスクデット争いから早々に脱落することはなかっただろう。

ペリン …  2

シュチェスニーの牙城を崩すことはできず。カップ戦をメインに出場したが、GKの力で勝ち点を取るところまでは出来なかった。来季はシュチェスニーからポジションを奪うだけのパフォーマンスを期待したい。

ピンソーリオ …  ー

最終節の後半出場し、決定機を止めてみせた。ベンチでの笑顔が印象的な選手で、ムードメーカー的な存在なのだろう。ゲーム形式のトレーニングでもGKは必ずいてくれなければ困るし、チームに必要な選手だろう。

DF

デシーリオ …  3

左右のSBを高い次元でこなし、攻守に貢献。精度の高いクロスで決定機を演出したかと思えば、サイドの守備も怠らない。高い戦術理解で攻守にわたっていてほしいところにいてくれる選手だ。懸案の左サイドバック誰にするの問題も一時はデシーリオで固まりかけていた。重要なシーズン終盤でのケガが悔やまれる。

キエッリーニ …  3

ユベントスでの最後のシーズンを迎えたキエッリーニ。老獪なポジショニングとフィジカルバトルで相手フォワードを押さえ込んできた。豪快なドリブルでの持ち運びでチャンスを演出することも板についてきていた。ただ、年齢からくるフィジカルの衰えからか、特にスピードやアジリティで勝負するタイプの選手には後手を踏んだ対応になってしまうケースも増えてきていた。周りを鼓舞するキャプテンシーはユーベに欠かせない存在だった。守備のレジェンドは指導者やフロントとしてチームへ戻ってくるだろう。

デリフト …  4

若きユベントスのディフェンスリーダーに成長した。今季のユベントスの守備の軸はデリフトだった。左右どちらのCBに入っても遜色ないパフォーマンスを披露。果敢に前に出てアタックする守備、鋭い縦パスやサイドチェンジでチャンスを演出。セットプレーでは貴重な得点源ともなっていた。また、周りを鼓舞する姿や審判とコミュニケーションをとる姿はリーダーのそれだった。

ダニーロ …  3

今季のユベントスの可変システムの核を担った人物。4バックの時は右SB、クアドラードが下がって5バックに変化すれば右CBとして守備に当たる。ビルドアップ時は3バックの右として後方の数的優位の確保とボールの前進に貢献。闘志を隠すことなく、最後まで諦めない姿勢をピッチ上で貫いたメンタルも素晴らしい。アタランタ戦の同点ヘッドは今季のハイライトだ。ただ、守備では簡単に振り切られる場面もあり、改善すべき点はまだある。なお、CH起用は苦肉の策でしかなく、ハッキリ言って機能したとは言い難いと思っている。

クアドラード …  3

一年を通して右サイドで攻守に渡って獅子奮迅の活躍を見せてくれた。右ウイングからWB、SBまで右サイド全てをカバー。独特のリズムとフェイントを絡めたドリブルで右サイドからの仕掛けを一手に担い、創出した決定機は数多い。また、ウイングでスタートしながらも守備時には右WBのように振る舞ってサイドを広く使った相手の攻撃にも対応した。ただ、自陣や後半アディショナルタイムにドリブルで突っかけてボールロスト。そのカウンターから失点したり、独特のリズムが味方とも合わなかったりしてチームを危機に追い込むことも。

サンドロ …  1

左サイドバックで多くの試合で起用されるが、勇気を持って攻撃時に高い位置をとることがほとんどできずに左サイドの攻撃を停滞させてしまった。守備でも相手に振り回されることが多く、守備での貢献度も高くなかった。スーパーカップでは終了間際にサンチェスにプレゼントパスを送るなど、散々なシーズンだった。

ペッレグリーニ …  3

抜群の攻撃性能で左サイドの攻撃を活性化。積極的に高い位置をとって攻撃に参加してドリブル突破やクロス、ミドルシュートでゴールに迫った。ペッレグリーニが出ている試合では左サイドを効果的に使った攻撃が披露されていた。一方の守備では軽い対応が見られ、ボールを取りに出て簡単にかわされることもしばしば。守備の対応を向上させることが今後の課題だ。

ボヌッチ …  2

シーズン当初はアッレグリもボヌッチをディフェンスの軸に考えていたはずだ。しかし、左CBでは右足にボールを置けずに苦戦し、高いディフェンスラインを設定すると裏を取られて簡単に失点してしまう。エリア内の1対1でも後手を踏んで振り切られたりPKを取られたりと厳しいシーズンを過ごすことになった。だが、先達のマルディーニは35歳でもまだミランのレギュラーを張っていた。今季もボヌッチの右足は錆び付いてはいなかった。周りのサポートがあればまだやれるはず。来季の奮起と挽回に期待したい。

ルガーニ …  3.5

1月から2月にかけてボヌッチ、キエッリーニの怪我の穴を埋めて有り余る活躍を見せた。スピードで置いていかれることもあったが、ポジショニングや味方との連携を改善させていったように思う。読みで勝負するタイプのCBなのだろう。特に1対1の対応ではゴール前でもクリーンに対応しつつ、相手のプレーを先読みしてボールを奪っていた。ビルドアップでの貢献度も高く、ポジショニングや体の向きで駆け引きを仕掛けることもできていた。ビジャレアル戦のPKで印象は悪いが、キエッリーニの後釜に座ってもおかしくないレベルの選手だと思う。

デヴィンター …  ー

後半戦は出場なし。前半数試合を見た限り、高い身体能力を持っており、ダニーロの後継者となりうる選手だと見ている。レンタル移籍なども視野に入れながら、来季はもう少し試合経験を積んでいきたい。

MF

アルトゥール …  3

マッケニーのケガに伴い出場機会が増加。横パスばかりという批判も多いが、ユベントスには縦パスを入れられる選手が他にも揃っている。むしろテンポのいいパス回しやその場でクルクル回るターンでプレスをいなすなど、ボール保持の安定への貢献度の高さを評価するべきだろう。終盤には自ら高い位置まで上がって攻撃に参加する新たな一面も見せていた。守備のポジショニングや被カウンター対応で後手を踏んでいたことがマイナス。

マッケニー …  4

ユベントスでは貴重なライン間にポジションを取り続けて相手に選択を迫ることができる人材。ボールを受けてからの選択肢もターン、シュート、コンビネーションと豊富なライン間の魔術師。かと思いきやアグレッシブな飛び出しでゴール前の競り合いでも得点を生み出す。中盤の中央だけでなく左右のサイドの守備にも奔走し、味方のカバーにも必死の形相で走る。チームへの貢献度は大きく、2月という最も重要な時期に怪我をしてしまったのが痛恨だった。

ラビオ …  2

ケガ人が続出した中盤において最後までプレーし続けた鉄人。ただ、攻守においてこぢんまりした無難なプレーに終始しており、本来の力は発揮できていないだろう。不安定な守備もマイナスで、決定的な失点に絡んでしまったことも一度や二度ではない。まずはゴール前へ飛び込む回数を増やしていきたい。

ロカテッリ …  4

中盤の攻守に絶大な貢献を見せるユベントスの小さな将軍。前半戦は主にアンカーの位置でパス回しに参加してボール保持に貢献しつつ、鋭い縦パスやサイドチェンジを繰り出し局面を進めるプレーを見せていた。後半戦はCHにポジションを移すとライン間で相手を牽制しながら右サイドに出て攻撃の起点になったり、ゴール前へ飛び出すプレーでブラホビッチをサポート。守備では的確なポジショニングとディフェンスラインにも落ちて対応するカバーリングでピンチを未然に防いでいた。何より高く評価すべきは周りの選手へのコーチングだ。周りの選手に的確なポジショニングを示してチームの舵取りができる選手に成長していた。最終盤の大事な時期を怪我で開けてしまったことが悔やまれる。

ザカリア …  3

冬の移籍でユベントスに加入。長いストライドを生かしたボール奪取やドリブル、攻撃参加でチームに新しい風を吹かせた。フィジカルの高さはチーム随一だが、残念なのはケガによる離脱が長く、チームにフィットする前にシーズンが終わってしまったこと。来季が実質移籍一年目となる。

ミレッティ …  3

シーズン終盤にトップチームデビューを果たした機体の新星。高いキック精度と技術と攻撃のアイデアを見せつけた一方、守備は今後の課題であることもハッキリした。来季はマッケニーもしくはディバラのポジションを争うことになるかもしれない。

FW

ブラホビッチ …  4

大きな体躯を生かしたボールキープと思い切りのいい左足のシュートでなかなか機能しなかったユベントスの攻撃の中で無理やりシュートシーンを作り出してしまった。また、積極的にディフェンスラインに突っかかるため、ライン感を広げてくれる点もプラス。ただ、ライン間を使えるマッケニーやロカテッリがケガでいなくなり、サポートもあまり受けられなくなってしまった。来季はブラホビッチを中心とした攻撃を構築していきたい。なお、やたらコケてファウルをアピールするのはマジでやめた方がいい。もうすでに審判から相手にされなくなってきている。

モラタ …  3

ブラホビッチの加入によって、左サイドが主戦場に。最前線で体を張る必要がなくなってプレーしやすくなったように見えた。広がったライン間を効果的に使える時もあれば、左サイドの攻撃が死んでいることの煽りをモロに受けて厳しいマークに合うこともあった。最終的には左サイドから右足で高精度のクロスを上げるクロッサーとして開眼したフシがあるが、そんなことは誰も期待してはいなかった…。左サイドでは守備にも奔走し、チームのためにプレーしていたのは間違いないのだが、チーム事情に振り回された感は否めない。

ディバラ …  2

ライン間でボールを受けて、その類稀なテクニックとフレアで数々の決定機を演出する……はずだった。ボールに触りたがって下がってくる割にそこでボールロストしてショートカウンターの起点になったり、守備に戻ってこなかったりと今季はディバラのマイナス面ばかりが目立ってしまった。細かいケガを繰り返してコンディション調整も難しかっただろう。数季前なら決めていたであろうシュートも枠外へと飛んでいった。チームへの貢献度を考えればマイナスが大きいと評価せざるを得ない。来季以降、ディバラに合ったチームで活躍することを願ってやまない。

ケーン …  2

スピードや競り負けないパワーは相手の脅威になっていたと思う。サッスオロ戦の決勝点などはその賜物だ。しかし、そのフィジカルを生かすことができない戦術理解の低さを露呈してしまった。裏を狙わない、守備のポジショニングの雑さなど、マイナス面が目立ってしまった。あと少しのタイミングが合うことで大化けしそうな雰囲気もあるので、成長に期待したい。

ベルナルデスキ …  3

運ぶドリブルを最大の武器とする破壊的な左足を備えたファイター。今季は周りとの息が合わずに孤軍奮闘状態になってしまっていた。何度か怪我で離脱したことが響いてしまった印象だ。個の力は高く、攻守に走り回れるため、どこのチームに行っても重宝されるだろう。攻撃的なポジションで継続して出場できれば爆発する可能性は十分ある。個人的には再契約してもいい選手だと思うが…。

カイオ・ジョルジ …  ー

短い出場時間の後、大怪我でシーズンが終わってしまった。短時間のプレーだったが、見ていた限りでは前でボールを受けようとする意図を感じた。ディフェンスラインを引っ張ってチームにスペースを与えてくれるプレーが期待できそうだ。ブラホビッチのバックアッパーにもなり得る存在かもしれない。まずは怪我からの復帰を願おう。

キエーザ …  3

ロカテッリ、マッケニー、デリフトと並んでユベントスの未来を象徴するような選手。シーズン半ばで大怪我を負い、後半は出場なし。圧倒的なスピードを武器にガムシャラにシュートに持ち込もうとするプレースタイルで観客を盛り上げ、相手守備者を恐怖に陥れる。一方、低い守備意識で味方をも凍り付かせる。年明けのナポリ戦ではキエーザが得点を取り、キエーザが絡んで失点した。守備意識を高めることで、本当の意味でチームを勝たせる選手になれるだろう。

アケ …  3

若さとスピードを武器に右サイドで躍動。主に途中出場から積極的な仕掛けで攻撃の活性化に貢献した。一年契約を結んだクアドラードの後継者として、来季は先輩から盗めるところは盗んで独り立ちしたい。

COACH

アッレグリ …  3

過渡期のチームを任され、ケガ人も多く抱えて難しい舵取りを強いられた。守備組織とビルドアップの構築、ミレッティら若手の起用など、最低限の仕事はできたと思う。しかし、コッパ・イタリア、スーペルコッパとインテルに敗れて無冠で終わった責任もまたアッレグリにある。サンドロ、ボヌッチ、ディバラら経験のあるベテランに頼って、彼らがミスをしてしまうという皮肉な結果となってしまった。また、中盤に怪我人が続出したように、フィジカルコンディションを含めたチームマネジメントにも改善点はありそうだ。今季構築してきた守備とビルドアップの組織・メカニズムをベースに得点をどれだけ上乗せできるのか。中位以下のクラブにも勝ち点を落としてしまった取りこぼしを減らすことと、上位クラブからも勝ち点3を奪うこと。スクデットは最低限のノルマとなるだろう。来季はアッレグリにとって正念場だ。

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