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デリフトの移籍金で誰をとる?

デリフトのバイエルン移籍が決定しました。移籍金は最大で7700万ユーロと言われています。そして、トリノからブレーメルを総額5000万ユーロで獲得しました。21-22シーズンはその強さと速さでユベントスのディフェンスラインを支えてきたデリフトが移籍することになったのは、チームにとってもかなりの痛手だというほかありません。しかし、同じくフィジカルに特徴のあるブレーメルの獲得で能力的には申し分ない選手を補強できると言えるでしょう。その上、移籍金の差額2700万ユーロが手元に残ります。財政的なことも考えてプールするのもいいと思います。でも、せっかくのメルカート期間なので、2700万ユーロで誰を獲得するか色々と想像してみるのも面白いでしょう。

ユベントスの補強ポイント

22-23シーズンに向けて、ユベントスの主な移籍情報は以下の通り。

IN   ポグバ、ディマリア、ブレーメル

OUT   キエッリーニ、ディバラ、ベルナルデスキ、モラタ、デリフト

デリフトを除く4人の退団は既定路線だったため、ここまでの補強はまずまずの成果を上げていると言っていいと思う。今後長くユベントスの中盤を支えるであろうロカテッリを助け、中盤のクオリティを上げられる人材としてポグバを、攻撃に意外性をもたらしブラホビッチをサポートできるディマリアをそれぞれフリーで獲得。中盤のクオリティを上げることと孤立しがちだったブラホビッチへボールを継続的にサポートすること。昨季のユベントスが抱えていた課題を解決しうる人材を獲得している。加えて、移籍したデリフトとキャラクターが似ていてセリエAでの実績もあるブレーメルをトリノから獲得し、デリフトの穴を埋めている。あとはモラタが抜けたフォワードの補強に動くかどうかというところだろうか。ただ、ポグバ、ディマリアには年齢やケガの心配も少なからずあるだろう。シーズンを通してトップコンディションを保てるかという問題は出てくるかもしれない。

中盤にはロカテッリをはじめ、マッケニー、ザカリアと二十代前半のフィジカル的にも無理が効く選手が揃っているし、ミレッティという飛躍が期待される10代の若手もいる。ただ、アメリカツアーのメンバーにアルトゥールとラビオは入っていなかった。放出を前提としているとしたら、これからさらに入れ替えがある可能性が高い。

前線はディマリア、クアドラード、キエーザ、アケとウイングタイプは揃っている。問題はブラホビッチの控えだ。キーンとカイオ・ジョルジはいるものの、万が一ブラホビッチが怪我などで長期離脱となった時には心許ない。噂に上がったこともあるイカルディあたりを獲得できればベストなのだろうが、財政的なことや昨季の若手の積極的な起用も含めて考えると、キーンとカイオ・ジョルジを我慢強く使っていくのかもしれない。

ディフェンスラインに目を向ければ、サイドバックにはダニーロ、デシーリオ、サンドロ(⁉︎)、ペッレグリーニがいる。クアドラードも右サイドなら低い位置もある程度こなせるため、それなりの陣容になっているのではないか。昨季散々だったサンドロがベテランらしく渋いプレーを見せてくれるのか?そちらの方が気になってしまうが…。一方のセンターバックは一線級の選手はボヌッチ、ルガーニ、ブレーメルの3人となる。ガッティはセリエBのナンバーワンCBと評価されて今季から合流するが、セリエAは初挑戦だ。どうなるかはわからない。できればもう一枚一線級のCBを獲得しておきたいところだ。昨季も怪我で長期離脱を余儀なくされ、調子自体も良くなかったボヌッチの後釜を探しておければベストだろう。

GKはシュチェスニー、ペリン、ピンソーリオの3枚で盤石だ。今季もピンソーリオの笑顔が見られると思うと安心する。シュチェスニーは昨季の失敗から学んで確実なプレーを心がけてもらいたい。

2700万ユーロで補強するなら…

ヨアヒム・アンデルセン

個人的なおススメ選手は、クリスタルパレス所属のCB、ヨアヒム・アンデルセンだ。ボヌッチの後継者として、即戦力として獲得を進言したい。昨季不調だったボヌッチに頼り切りになるわけにはいかないだろう。プレミアリーグで活躍しているアンデルセンだが、かつてはサンプドリアに所属していたこともある。セリエA経験者であることもプラスだろう。

最大の特徴はその右足にある。質の高いロングボールで後方から局面を打開できる。ボヌッチに比べて球質はやや速くて硬い感じだ。浅いディフェンスラインの裏に低くて速いボールを送って一発で決定機を演出できるキックを持っている。さらに、フラム時代にはプレミア下位チームながらマンチェスター・シティ相手にもボール保持を試みていたこともあり、後方でのボール保持時のポジショニングやショートパスの選択、ドリブルでの持ち上がり、鋭いグラウンダーの縦パスもプレーのレパートリーに入っている。後方からのチャンスメイクを得意としている点はボヌッチと共通する。さらに26歳という年齢も魅力的だ。フィジカル的な面ではボヌッチを上回るだろう。フラム時代にはキャプテンを任されていたが、失点も多くチームを降格させてしまうという悔しい経験をしている。昨季のクリスタルパレスでは激しいフィジカルコンタクトと持ち前の高さ・強さを武器に奮闘していた。アッレグリが守備組織を固めてくるユベントスならばその高さ・強さを存分に活かせるのではないだろうか。さらに右SBにも対応できる点も選手選択や戦術の幅を広げてくれるカードとなり得る。昨季、クリスタルパレスがリヨンに支払った移籍金が3000万ユーロと言われている。現在の移籍金はさらに上がっているかもしれないが、右足の精度、ビルドアップでの貢献度、フィジカルの強さ、ポリバレント性、キャプテンシーなどを考えると、2700万ユーロに上乗せしてでも獲得して損はない選手だと思う。

イヴァン・トニー

続いての獲得候補は、プレミアリーグのブレントフォードに所属する長身FW、イヴァン・トニーだ。ブレントフォードは昨季、昇格組でありながらプレミアリーグで13位、見事残留を果たしたチームだ。トニーはブレントフォードにおいて最前線で体を張ってロングボールのターゲットとして活躍した。特にその高さ、強さはどんなチーム相手でも脅威となっており、リバプールのマティプやファンダイクにも競り勝ち、ロングボール一発でチャンスを作り出してしまっていた。元々はチャンピオンシップ時代に33得点を記録して注目されていたストライカーだっただけあり、ペナルティエリア内で強烈なシュートを放つこともある。戦力が劣るブレントフォードのチーム事情もあって、守備でも献身的に走り回る姿も見逃せない。ユベントスに来れば、ブラホビッチの控えというだけでなく、左サイドで往年のマンジュキッチのような働きも期待できるのではないか。移籍金は定かではないが、昨季のプレミアリーグではそこまで爆発したわけでもないので、2700万ユーロで獲得できるかもしれない。

ギオルゴス・キリアコプーロス

サッスオロの攻撃的なサイドバック。これは個人的な見解だが、サンドロはどうしても信用できない。昨季は左サイドの高い位置まで上がってくることはほとんどなかったし、守備でも後手を踏むケースが目立っていた。サンドロを信用できないとなると、左サイドバックの枚数が足りない。デシーリオは左右サイドバックに対応可能だが、ケガが心配だ。クアドラードを完全なサイドバックとして数えられないこともあって、ペッレグリーニともう一枚、攻撃参加に特徴がある左サイドバックが欲しい。キリアコプーロスはサッスオロのポジショナルな攻撃の中で左サイドの高い位置をとるタスクを担っていた。さらにはラスパドーリらが左サイドに張り出してきた時には中にポジションを移して攻撃参加をしたり、カットインからワンツーやミドルシュートなど中を使う攻撃でもチャンスメイクしていた。守備に不安がないわけではない。やはり数的不利に陥った時にそれでも対応できるかといえばそうではない。昨季の後半戦でユベントスと当たった時にはベルナルデスキとデシーリオのコンビネーションに翻弄されてしまった。ただ、それはサンドロもペッレグリーニも同じだ。むしろ味方のポジショニングに合わせて外と中を使い分けて攻撃参加できる戦術眼と実行力に着目すべきだろう。現在の移籍金は定かではないが、2020年にサッスオロは120万ユーロで獲得している。おそらく2700万ユーロ以下での取引も可能だろう。

アレクシス・サンチェス

意外なところで行くとインテルと契約解除に至ったサンチェスも狙い目かもしれない。ポグバが長期離脱、マッケニーも1ヶ月程度の離脱が報じられているユベントス。そこでミリンコビッチサビッチの名前も上がっている。しかし、2700万ユーロでは到底無理な選手である点と、ポグバ、マッケニーが戻ってきた時に中盤がダブつくこと。この2点を考えれば、4-2-3-1もしくは4-4-2で8月を凌いで少なくともマッケニーが戻ってくるであろう9月以降に4-3-3を本格稼働させるプランがいいだろう。4-2-3-1もしくは4-4-2となると、前に4枚攻撃的な選手を並べることになり、前線の選手が足りなくなる。ブラホビッチ、ディマリア、キーン、クアドラード、アケの5枚では辛いだろう。トップ下にはロカテッリも対応できるとはいえ、前線の4枚を回していくのは難しいだろう。サンチェスならば最前線のCF以外ならどこをベースポジションにしても周りの動きに合わせて効果的に攻撃に絡んでいけると期待できる。小回りが効くアジリティに優れたタイプのアタッカーは今のユベントスにはいないタイプで、攻撃陣のバリエーションを増やしてくれるという点でも悪くないのではないか。もちろん、数々の強豪クラブを渡り歩き、多くのタイトルを獲得してきたその経験値も若返りを図るユベントスにはプラスになるだろう。

メルカートは続く

アメリカツアーも終了して、いよいよ開幕を迎える22-23シーズンのセリエA。今季のチームの展望はまた別の機会に書いてみようと思うが、GK以外のポジションはこれからも補強してもいいと思える。ユベントスのセリエAは8/15に開幕するが、マーケットは8/31まで開いている。報道レベルではミリンコビッチサビッチやラスパドーリが取り沙汰されており、今後新しいインフォメーションが届く可能性も大いにある。新しいシーズンの幕開けを心待ちにしつつ、移籍情報にも注目しておいて損はない。

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