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セリエA 第12節 レッチェ vs ユベントス 〜若手の台頭

レッチェとのアウェーゲームは決め手を欠きながらファジョーリのスーパーゴールで1-0の勝利。勝ち点3を積み上げ、上位を追走しています。この試合を見て思ったことを記しておきます。

ゲームが作れない!

ユベントスのスタメンは、シュチェスニー、クアドラード、ガッティ、ダニーロ、サンドロ、ソウレ、マッケニー、ラビオ、コスティッチ、ミレッティ、ミリク。4-4-1-1のような並びでスタートした。一方のレッチェは、4-4-2をベースに守備をしつつ、押し込まれた時には5バックへの変化で人数をかけてゴールを守ってきた。ユベントスは4バックを維持して2CBを起点にビルドアップをしていた。しかし、レッチェのファーストプレスに対して数的優位を作れていないため、ビルドアップの段階から苦戦していた。ロカテッリやパレデスといった2トップの間にポジションを取って牽制する選手もいなかったため、ガッティやサンドロらによるドリブルで強引に運ぶプレーが多く見られた。選手の質で劣っているレッチェが相手だったからうまくいっていたようなものだ。次節のインテル相手にこのビルドアップをしていたら、サンドロやガッティはプレスに捕まって大ピンチを迎えるだろう。怪我などで使える選手が限られてしまっている、苦しい台所事情が浮き彫りになっていた。

後方からのドリブルでボールを運ぶユベントスに対し、レッチェはマーカーがなんとか粘ってついていく。その間にチーム全体もゴール前まで戻って守備をするので、結果としてユベントスが押し込む形にはなっているが、レッチェの守備陣形も整っていた。ドリブルは人の移動と同じスピードでボールも進んでいる。そのため、ドリブルに対してマーカーがついて行ってある程度自由にさせなければ、その他の選手が守備に戻る時間を得ることができる。レッチェの選手はしっかりと守備に戻ってきていた。これでは、ユベントスがチャンスを創り出すのは難しくなる。結局、前半戦はユベントスがボールを保持して押し込んで試合を進めたが、決定機は作れず後半へと折り返した。

ユベントスの変化

後半は、マッケニーに替えてファジョーリを投入。ビルドアップの形もサンドロを残して3バックで構えてレッチェの2トップに対して数的優位を作ってきた。数的優位を得たことで、主にサンドロとガッティに時間とスペースが生まれ、パスによるボールの前進ができるようになった。クアドラードとコスティッチがサイドに張って幅をとり、ミレッティとソウレがライン間に顔を出す。ファジョーリが3バックからボールを引き取って展開する役目を担っていたことも大きい。ドリブルによる単調な組み立てではなく、左右に大きくボールを動かしながら、ボールを運べるようになった。

この試合でユベントスが最もゴールに近づいたのは、サンドロからの縦パスをミレッティがスルーしてミリク→ミレッティ→コスティッチと繋がって左サイドからのクロスを入れたシーンだろう。この時の起点は、サンドロの縦パスだった。パスのスピードは人の移動よりも速い。サンドロの縦パスでレッチェのFWと中盤の守備ラインを置き去りにしてディフェンスラインに攻撃を仕掛けることができた。その他にもライン間を効果的に使った攻撃を見せることができていた。3バックへの変化と、ファジョーリがアンカーポジションからボールを散らしたことで、複数の選択肢をレッチェに突きつけることができるようになった。中を閉めれば外、外を警戒すれば中とレッチェ守備陣の動きに合わせてボールを動かしてチャンスを作ることに成功した。

そんな中でキーン、アイリングを投入して勝負に出た。ロングボールの処理をミスしたレッチェのボールをキーンが拾い、右サイドでフリーになったクアドラードのクロスが流れたところをアイリングが拾って仕掛ける。タイミングよく上がっていたファジョーリにパスが通った。ファジョーリは反転して、デルピエロを思い出させるような左45度からファーサイドに巻いて落とすシュートを流し込んだ。後半からのユベントスの変化が実を結んだ得点だった。その後はボヌッチを投入して5バックで守りに入るが、セットプレーから際どいシュートを許してしまった。もしかしたら、セットプレーの守備は若い選手を入れて詰めきれていないのかもしれない。

若手の台頭

ファジョーリが得点を記録し、アイリングがアシスト。ソウレは先発して後半39分までプレーした。ミレッティは今季、先発でのプレーも多く、ユベントスの攻撃を牽引している。ガッティも着実にプレータイムを増やしている。マッケニー、ロカテッリはすでに主軸へと成長しており、若い選手が台頭してきつつある。残念ながら視聴環境がないのでベンフィカ戦は観戦できていないが、若い選手が交代で入ってから2得点を上げたようだ。

昨季以来、ユベントスは主にスピードの面でフィジカルで押し込まれるケースが多い。要は走り負けてしまうのだ。やはり、年齢が高くなるにつれて筋力やスタミナは衰えてしまう。若い選手を積極的に起用している中堅以下のクラブに苦戦するケースが増えているのは、フィジカル的な優位性を保てないことも一因となっているだろう。しかし、ソウレ、アイリング、ファジョーリらは走れている。スピードもある。戦術理解や技術の面ではベテラン勢に譲るかもしれないが、フィジカルでは負けないだろう。アッレグリの仕事は、彼ら勢いのある若手にチームの戦術を落とし込み、トレーニングで技術を高めて、彼らのフィジカルの高さをチームのために活用することだ。CLの舞台でも輝きを見せた若い選手を積極的に起用していってほしい。苦しめられているフィジカルの高さを前面に押し出してくるチームに対して、ユベントスもフィジカルと勢いをぶつけるのは一つの対抗手段になるだろう。フィジカルで互角に渡り合えるなら、最後は選手のクオリティの高さでユベントスが優位に立つことができるかもしれない。何より、若い選手の活躍を見るのは楽しみでならない。結果だけ見れば出遅れているが、やっぱり今季のユベントスは面白いチームだと思う。

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