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vs サレルニターナ2連戦 〜ロカテッリの影響力

年初から中2日でサレルニターナとの2連戦。コッパ・イタリアとセリエAとコンペティションは違うにせよ、同じ相手と連戦というのはやりにくいのではないでしょうか…。とまあ、組み合わせに色々言ってもしょうがないので、サクッと振り返っておきます。

コッパ・イタリア編

 久々のガッティによるヤラかしパスが炸裂して試合開始すぐに1点プレゼントするというハンデマッチを仕掛けたユベントス。それでも、サレルニターナの方もメンバーを落としていたのでちょうど良かったのかもしれません。ユベントスの方はリーグ戦ではロカテッリがサスペンションで出られないため、どちらかというとベストメンバーに近い状況。サレルニターナは守備ラインと中盤ラインの間がスカスカという強度もへったくれもない守備をしていたので、逆転も時間の問題でした。キエーザのクロスからカンビアーゾが折り返せば、後ろから飛び込んだミレッティがフリーで同点弾。コーナーキックからカンビアーゾが逆転弾。前半のうちに試合をひっくり返しました。後半はさらに4点を叩き込み、6-1で勝利。

先制点の場面を除きサレルニターナにチャンスらしいチャンスはなく、終始ユベントスが圧倒していました。

セリエA編

さて、その2日後のセリエAでの再戦では、高くなった守備ラインの裏を狙われ、ダニーロの裏のスペースを使われて失点。フロジノーネ戦とほぼ同じ形でやられてしまいました。ボールホルダーにスペースと時間がある時には、守備ラインの裏をケアしなければいけません。陣形をコンパクトに保ってラインを上げるなら、ユベントスのFWはサレルニターナのCBにもプレスに行かなければいけませんでした。明確にラインを下げるのも選択肢の一つではありますが、もし、ハイラインにチャレンジするのであれば、前線の守備の強化は取り組むべき課題になるでしょう。ブラホビッチ、ユルディズ、キエーザに最低限の守備を教えることは、アッレグリの仕事でしょう。

その後もサレルニターナの守備の強度は高く、攻めあぐねたユベントス。ラビオのドリブルによってサレルニターナに退場者が出て数的優位を得ることに成功したものの効果的な攻撃ができず、苦戦します。退場者が出て以降は、サレルニターナは5-3-1で明確に引いて守り切る姿勢を前面に出してきました。右サイドを起点に何とか2点取って試合をひっくり返しましたが、カンドレーバに決定機を作られるなど危ない場面もあり、楽勝というわけにはいきませんでした。

ロカテッリの影響力

さて、この2試合の差はどこにあったのでしょうか?違いと言えば、サレルニターナのやる気、スタジアム、そして、ロカテッリがいるかいないか。

サレルニターナは明らかにセリエAに力点を置いて臨んできました。守備の強度も違いましたし、何よりエースのカンドレーバを起用してきたことからもセリエAで何としても勝ち点を積み上げたいという意図が伝わったことでしょう。コッパ・イタリアはユベントスホーム、セリエAはサレルニターナホームでのゲームでした。コッパ・イタリアに比べ、セリエAで当たったサレルニターナの方が難しい相手だったでしょう。

それでも、後半途中で退場者が出たことで、攻めるユベントス・守るサレルニターナという構図の中で効果的な攻撃ができなかった点は考えておく必要があるでしょう。確かに、1人少なくてもリードを守るという点にフォーカスしてゴール前を固めることに特化した守備を崩すのは簡単なことではありません。ただ、数的優位を得ていることには変わりないわけで、うまくボールを動かして守備を動かし、守備の綻びを突いていくことができれば得点に結びつきやすくなります。

ここで効いてきたのがロカテッリの不在でした。残念ながら、ニコルッシ・カビリアはサレルニターナの守備ブロックの外でボールを受け、隣の選手に渡すだけ。サレルニターナの守備ブロックを大きく動かすようなパス回しができませんでした。状況が違う点は留意すべきですが、ロカテッリはサレルニターナの守備組織の中に縦パスを撃ち込むなど、サレルニターナの守備の急所を突くパスを出していました。縦パスを効果的に使うことで、守備者の目線を操ってフリーになる選手を作ることもできるし、相手の中盤の選手を置き去りにして守備ラインに対して攻撃を仕掛けることもできます。縦パスを警戒してくれれば、守備のポジショニングや意識が中を閉めることに向き、サイドの選手がフリーでクロスを入れることもできるようになります。フリーであれば、ペナルティエリアの状況を確認して狙いを定めてクロスを入れられます。当然、味方に会う確率も上がり、ゴールにも結びつきやすくなります。決勝点は、敵陣でギリギリのボールを奪って相手と入れ替わったダニーロが右サイドでフリーになって上げたクロスからでした。もし、ロカテッリがいれば縦パスやポジショニングによってサレルニターナの守備を動かし、サイドで誰かをフリーにする状況を作れた可能性は高いでしょう。加えて言えば、失点のシーンについても、ロカテッリであればダニーロの右隣にポジションを取り、アシストパスとなった横パスからのシュートに対応できたのではないか思います。改めて、ロカテッリの影響力の高さを思い知った2連戦だったような気がします。

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