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セリエA 第34節 アタランタ vs ユベントス 〜混沌のユベントス

アタランタとの上位直接対決アウェー決戦は2-0でユベントスが勝利しました。後半、特にポグバが投入されて以降はユベントスの攻撃がアタランタゴールに迫っていました。ただ、前半はアタランタに複数回決定機があり、前半で試合が決まっていてもおかしくなかったと思います。一言で言えば運が良かった。イリング・ジュニオールのシュートがバーに嫌われ、前半アタランタのコーナーキックがポストに当たってネットを揺らしていてもおかしくはなかったでしょう。試合を振り返っておきます。

イリング・ジュニオール

ユベントスは左サイドのイリング・ジュニオールを上げ下げすることで、攻撃時は左ウイングにおいて4-3-3、守備時は左ウイングバックにおいて5-3-2とする可変システムを採用していました。アッレグリがコメントしていたように、イリング・ジュニオールを先発させることが前提になっていたはずです。そこにミリクとディマリアを先発させるとなると、3トップを採用するのは自然なことです。しかし、3-4-3をベースとしてウイングバックを積極的に攻撃参加させるアタランタに対してゴール前で数的不利を作らないように5バック化する守備を用意する必要がある。となると、イリング・ジュニオールは守備時にディフェンスラインに参加させることになるでしょう。イリング・ジュニオールの脚力があれば、守備時に低い位置にいても、サイドを一気に駆け上がることができます。流石は守備で相手を封じ込めることに関しては得意なアッレグリ。アタランタのアグレッシブな攻撃に対して落ち着いて対応できる策を打っています。

イリング・ジュニオールはそのポテンシャルを見事に発揮していました。左サイドを何度も駆け上がってドリブル突破を試みてアタランタ守備陣を翻弄していました。守備でも危険なスペースを埋めて貢献。対人守備も荒削りながら恵まれたフィジカルを活かして粘り強く対応していました。そして、恐ろしいスピードでプレスバックしてザッパコスタからボールを奪い、倒れ込みながらもドリブルで駆け上がってオーバーラップしたラビオにパス。その前にはシザースを入れてディフェンスを引き付けた上で、です。ラビオの折り返しのリフレクションを光速の反応で押し込んでゴール。イリング・ジュニオールのフィジカルの強さ、ドリブルテクニック、反応の速さ…。タレントの片鱗が見えたゴールシーンだったと思います。

混沌のユベントス

さて、イリング・ジュニオールを起用しつつ、守備時は5バックで守るシステムを引っ提げベルガモに乗り込んだユベントス。イリング・ジュニオールの起用は当たった形になりましたが、ピッチで見られた現象はむしろ混沌としていました。3-4-3をベースにハイプレスを敢行してくるアタランタに対して、4バックでビルドアップするのかと思いきや、サンドロをロカテッリの横に上げた偽SB風のビルドアップを見せていました。クアドラードが低い位置に残って3バックのようになっていましたが、これは悪手だったでしょう。アタランタの3トップがそのままダニーロ、ルガーニ、サンドロについてメーレがクアドラードに当たりに前に出る。結局どこもフリーになれず、ミリクとディマリアまで下がってボールを受けようとするので、むしろアタランタのハイプレスの勢いを加速させてしまいました。そのまま自陣でボールを失い、押し込まれる展開に。そこから与えたCKから次々とチャンスを作られました。また、クアドラードの守備意識の低さからペナルティエリア内でフリーでシュートを打たれる場面も…。

スポルティング戦でも見せたように、3-4-3もしくは5-2-3でハイプレスにくる相手にはウイングを高い位置に張らせて相手WBを低い位置に押し留めておくことで4バックによるビルドアップで数的優位を確保しに行くのがベターだったのではないでしょうか。まあ、色々試したがるアッレグリのことなので、サンドロに偽SBをやらせてみる実験をしていたのかもしれませんが。

後半に入ってもビルドアップの形はあまり変化はなく、サンドロやラビオがハイプレスに捕まった後始末にロカテッリが必死の形相で走り回ることになりました。ロカテッリが止めてくれなければショートカウンターを喰らっていた場面は数知れず。守備のポジショニングと読みの鋭さは25歳ながらベテランの域に達しているように見えます。あとは脇を通る縦パスをうまくカットする、もしくはパスラインを消す動きができるようになってくれれば、サッカー史に残るレベルのピボーテへと登り詰めることでしょう。攻撃性能の高さは言わずもがなですから。

ポグバの復活?

そして、ベンチにキエーザ、ポグバ、ブラホビッチにコスティッチが控えているユベントス。次々とクオリティの高い選手を送り込み、決定機を何度も作りますがスポルティエッロが立ちはだかります。しかし、ポグバのコンディションは間違いなく上がっています。ドリブルでの持ち上がり、ペナルティエリアへの走り込みなど、今季これまで見せてこなかった強度の高いプレーを連発。さらにはディマリアへのスルーパスを筆頭にアタランタの急所を狙ったプレーでチャンスを演出し、技術の高さと的確な戦術眼をまざまざと見せつけてくれました。シーズン最終盤に間に合ったように思います。先発は難しいかもしれませんが、30分程度なら強度の高いプレーも可能なところまでは回復しているはずです。セビージャ戦でもチームを助けてくれることを期待します。

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