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コッパイタリア準決勝2ndレグ 〜配置を整理する

ラツィオとのコッパイタリア準決勝セカンドレグは1-2で敗戦するもののトータルスコア3-2でなんとか決勝に勝ち上がりました。相手はフィオレンティーナかアタランタ。どちらのチームが上がってきてもユベントスが苦手とする高速ハイプレスを武器とするチームなので、決勝も我慢の展開になるでしょう…。

自主的ハンデマッチは継続

サンドロを使った以上、軽いディフェンスで失点するのは計算の内。アッレグリ自身が延長戦も視野に入れないといけないというコメントをしていたようなので、2失点までも想定の範囲内だったのかもしれません。(じゃあサンドロ使うなよって言うのは言わないお約束……)

さらにキエーザとコスティッチを使ってコスティッチを自主的に消してしまうという攻撃時の悪癖は相変わらずでした。ただ、22分にはキエーザが左ハーフスペースに留まったことで左サイドをコスティッチが駆け上がることができました。コスティッチがラツィオの守備を広げた上でキエーザとラビオがハーフスペースを攻略してブラホビッチにショートクロスを折り返すことができました。コスティッチと組ませるなら、キエーザは左サイドに張り出さずにハーフスペースに留まることが最適解だと言えます。ロカテッリとダニーロのポジショニングで後方でボールを保持することはできているので、無理して左サイドのキエーザをボールの逃げ道にしなくてもボールは保持できるはずです。ボールを保持して押し込み、その時間にポジションを調整することもできたでしょう。キエーザが左ハーフスペース、コスティッチが左サイドに位置して22分のような攻撃を再現性を持って展開することもできたと思います。

本当はユルディズを使いたいけれども何らかの事情でキエーザを使うしかないのか、アッレグリがキエーザに配置を指導しきれていないのか、はたまたアッレグリはこのバランスでいいと考えているのか…。この辺は明らかにして欲しいところではあります。

重い腰を上げるアッレグリ

後半37分、アッレグリが交代カードを切ります。マッケニー、ブラホビッチに替えてユルディズとミリクを投入。その前にはカンビアーゾに替えてウェアを入れていました。カンビアーゾはこの交代に不満を露わにしていたようですが、アッレグリはそれより前からピッチサイドでカンビアーゾにブチギレていたようです。おそらくはカンビアーゾに右サイドのポジションをキープしておいて欲しかったのだろうと思います。さらにマッケニーの負傷の関係もあったのかもしれません。それでもフリーで動き回っているカンビアーゾに大きな声で指示を出していたのでしょう。

さて、ミリクとユルディズを入れ、キエーザを右に回したことでポジションが整理されました。ユルディズは左ハーフスペースに留まってプレーし、コスティッチが左サイドを駆け上がることが可能に。さらにウェアが右サイド高い位置に陣取っているため(おそらくアッレグリはそうするように指示した上でウェアをピッチに送り出しているはず)、キエーザは右のハーフスペースに位置するようになります。システム的には5-2-3への変更ということになるでしょう。これによってウイングバックが上がることでいわゆる5レーンをバランスよく埋めて攻撃を仕掛けるという4バックを攻略するためのセオリー通りの攻撃を展開することが可能となりました。ラツィオもウイングを下げて5バックで対応しますが、ユルディズとコスティッチのパス交換で2人が引きつけられたためにペナルティエリアでは3対3の数的同数になっていました。なおかつキエーザがCBとSBの間を狙って飛び込んだためコスティッチのハイクロスが流れた時点で大外のウェアがドフリーに。ポジションを整理したことによってチャンスを生み出し、いきなり得点に結びつけました。アッレグリは狙ってこれくらいのことはやってのける監督です。交代策も、ポジションの整理も狙い通りのはず。交代策ズバリの見事なゴールだったと思います。

5-2-3は最後の手段

問題はなぜコレをスタートからやらないかということです。その解答は、得点後の交代にあると思います。キエーザに替えてアルカラス。すぐに5-3-2へと変更してゲームをクローズしました。5-2-3では守備のバランスが取れないと考えているのでしょう。理由は、ロカテッリだと思います。ボール保持の時にロカテッリの技術と戦術眼は必要です。守備においても守備ラインの前のプロテクト、守備ラインの穴を埋めるポジショニングで不可欠な存在となっています。しかし、ロカテッリはスピードがありません。高さでは勝負できても、スピードで簡単に置いて行かれてしまうシーンが目立ちます。5-2-3では、2の選手がカバーすべきスペースが広くなってしまい、ロカテッリのスピードが明確なウィークポイントとなってしまいます。ロカテッリを起用するなら、中盤の枚数は3枚以上にしたいところです。だからこそ5-3-2でスタートして、どうしても得点が必要なケースで5-2-3へと移行するというのがアッレグリの基本的なプランなのでしょう。それならキエーザではなくユルディズを使ってマッケニーを攻撃時に上げればポジションは整理できるのでは、とも思うのですが、キエーザを使う理由があるのでしょう。

とにかく、ポジションを整理して攻撃することの重要性を再確認させられた試合でした。

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