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JUVENTUS with DV7

ついにブラホビッチの獲得が決まりました!待ちに待ったCFタイプの選手がユベントスにやってきます!ブラホビッチの獲得により、チームがどう変化していくのか、考察してみます。

ブラホビッチの特徴

フィオレンティーナでのプレーを見る限り、フィジカルを活かしたボールキープを軸に前線でボールを収めてチームを押し上げる時間を作ってくれる選手です。さらに強烈な左足のシュートを持っており、エリア内での決定力に加えてミドルシュートも得点パターンに入ってきます。前にスペースがあればディフェンダーの死角をとって裏に走り込んでシュートを狙いに行くだけのスピードも兼ね備えており、これといった欠点が見当たらない選手です。ヘディングでの得点をプレーのバリエーションに加えられれば、真のワールドクラスのストライカーへとステップアップできると感じています。欠点を強いてあげれば、右足の精度はそこまで高いわけではないということでしょうか。

一方で、前半戦のユベントス戦では、ルガーニとデリフトに封じ込められてしまいました。ユベントスが堅い守備ブロックを組んで守ってきたことで味方と分断されたからです。ルガーニ、デリフトを相手に単独で得点まで結びつけられるタイプの選手ではないということです。まあ、そんな選手は世界を見渡してみてもロナウドかメッシ、レバンドフスキくらいしかいないとは思いますが。

ブラホビッチは、周りを使うプレーも上手い選手です。フィオレンティーナはブラホビッチの近くにサポートの選手がおり、ブラホビッチを追い越す選手も複数いました。ブラホビッチという選手は、他の選手と連携してプレーする環境でこそ力を発揮するのかもしれません。つまり、ブラホビッチが得点を量産するためには、周りの選手が近い距離感でサポートすることが必要だということは心に留めておく必要があるでしょう。

攻撃の課題改善

今季のユベントスは攻撃面に幾つかの課題を抱えています。具体的には以下の3点です。

①裏抜けを狙う選手が少なく、相手ディフェンスラインを押し下げることができない。

②左サイドの幅をとる選手を用意できず、ピッチの幅を広く使った攻撃ができないケースがある。

③ライン間に選手がいない。

ユベントスのFWにはセカンドトップタイプの選手しかおらず、裏抜けを狙う選手がほとんどいません。現状では、マッケニー、クアドラードが2列目から裏抜けを狙うケースがほとんどです。しかし、クアドラードはSBでの起用も多く、マッケニーはユベントスで唯一ライン間に居続けてくれる選手で裏抜けの頻度はあまり高くはありません。カイオ・ジョルジはもしかしたら相手のディフェンスラインと駆け引きをしながら勝負できるタイプの選手なのかもしれませんが、ヴェネツィア戦くらいしか長時間プレーしていないのでよくわからないところです。つまり、ユベントスのFWの選手はみんな下がってボールを受けにくるケースが多く、相手守備陣からしたら裏を狙われるリスクがないので、思い切って前に出て潰しにかかることができます。相手の激しい守備に潰されて、両手を広げてファウルをアピールするも審判にスルーされてカウンターを喰らう。こんな場面を今季、何度見たことでしょうか。

ブラホビッチは、今季セリエAで17ゴールを記録しているFWです。しかも、その体躯に似合わず巧みにCBの死角を取ってフリーになる術を身につけています。もちろん、フィオレンティーナでも見せていたように、恵まれた体格を生かしてポストプレーもこなしてくれるでしょう。それに加えて、積極的にCBと駆け引きをしてCBを引きつけ、相手のディフェンスラインを押し下げる役割を果たしてくれることを期待したいところです。そうなると、相手DFもライン間でプレーするディバラやモラタ、マッケニーらに強く当たりにいけなくなります。ブラホビッチに走り込むスペースを明け渡すわけにはいかないからです。ブラホビッチが得点を狙ってCBに駆け引きを挑んでいけばいくほど、ユベントスはライン間に人とボールを送り込むチャンスも広がるでしょう。つまり、相手DFにブラホビッチをマークするか、ライン間をケアしに出るかの2択を迫ることができるようになります。ロカテッリ、ボヌッチ、アルトゥール、ダニーロ、デリフトとパスを供給する側にも質の高いパスが出せる選手が揃っています。なおかつ、相手の状況を見て逆の選択肢を取るだけの戦術眼を持っており、ユベントスにとって有利な2択を強いることができるかもしれません。しかも、ボール保持にかけてはミラン戦ではポゼッション率で上回るだけのクオリティを見せ始めています。ボールを保持して相手を押し込み、中を使うならブラホビッチとディバラやマッケニーを使って裏抜けとライン間を使った攻撃。外を使うならクアドラードやサンドロ、デシーリオから高精度のクロスを送り込んでブラホビッチやマッケニーらが飛び込む。これまで以上に多彩な攻撃を見せてくれるのではないかと期待が膨らみます。

課題①と③は実は繋がっています。ブラホビッチの存在が課題①を解決に近づけてくれると期待しています。となると、必然的にライン間は広がり、ライン間で厳しいプレスに晒される可能性は下がります。これまでより効果的にライン間を使った攻撃を展開できるようになるでしょう。また、ディバラの下がりたがる悪癖の改善につながるかもしれません。

しかし、課題②と③も繋がっており、左サイドが機能しないと、ライン間にポジションをとる選手を増やせないことも事実です。今季のユベントスはサンドロが上がって来ないために、本来であればライン間に位置すべき選手が左サイドに出て幅を取る役割を担うケースが多くありました。つまり、ライン間にいるべき選手が1人減ってしまうのです。攻撃だけに注目すれば、左サイドの高い位置まで出て積極的に攻撃参加していたペッレグリーニが起用されている試合の方が、左サイドの幅を使いながらライン間にも人を送り込むことができていました。ブラホビッチが相手ディフェンスラインを押し下げてくれても、左サイドが死んでいてはライン間に人を送り込めず、広がったライン間を効果的に使うことはできません。ブラホビッチ獲得のこのタイミングで、「上がらないサンドロ問題」にもう一度手をつけることがユベントスにとって最も大切になるかもしれません。

4-3-3

ブラホビッチの加入により、4-3-3が本格的に導入されるかもしれません。今季のユベントスは、4-4-2もしくは4-2-3-1をベースに、アッレグリらしく攻守で可変システムを導入して戦ってきましたが、4-3-3を使えるようになるとさらに戦い方の幅が広がることになるでしょう。

4-4-2をベースとして戦ってきたのは、守備の再構築を最優先課題としてきたからでしょう。4-4-2の並びが守備をする上でバランスがいいからです。まずは守備のポジションを明確にして、守備陣形を崩さないところから始める。その上でボールを保持して攻撃するためにタスクを割り振って、守備のポジションから攻撃のためのポジションへ移すように設計したのだと思います。アッレグリも守備に関しては手応えを感じているようなコメントが多くなってきており、4-4-2だけでなく、4-3-3にも挑戦できるタイミングが来ているように思います。実際、2021年の12月にはケーンを3トップの左に置いた4-3-3を試していました。ブラホビッチというワントップとして基準になれるタイプの選手が来たならば、4-3-3を試してみる価値はあるでしょう。

4-3-3の利点は、現在のユベントスの状況から考えると、①ウイングタイプの選手を2人起用できること、②CHを3人起用できること、③守備時にウイングを下げることで4-5-1の守備ブロックを組めること、あたりでしょうか。

クルゼフスキは移籍してしまいましたが、ベルナルデスキ、クアドラードと左右にクロス精度、ドリブルでの突破力を兼ね備えたウイングを起用できることは大きな強みになります。何より、両サイドにクアドラードとベルナルデスキを起用できれば、サンドロの上がりに関係なく、幅をとることができます。しかも、その幅を取る選手がクアドラードとベルナルデスキであれば、そのクオリティからサイドからのチャンスメイクの回数は増えると予想できます。そこにサイドバックの上がりも絡んでくれば鬼に金棒です。また、ディバラも右サイドに開いた位置からパスやカットインでチャンスメイクするプレーが得意です。そうなると、相手も放置するわけにはいかないはずなので、サイドの守備に意識を割いてくれれば、今度は中が空いてきます。4-3-3は、サンドロ問題を解決する一手となりうるでしょう。

そして、マッケニー、アルトゥール、ラビオ、ロカテッリ、新加入のザカリアとCHタイプの選手が揃っています。彼らの力をフル活用するためにも、CHを3枚使える点は大きいでしょう。ウイングを使って幅を取る攻撃ができていれば、相手の守備はサイドに傾き、中が空いてくるでしょう。そこにマッケニーやロカテッリ、ラビオらが侵入してブラホビッチと絡んで中央突破を試みる。さらに強力な攻撃が展開できるかもしれません。

そして、クアドラード、ベルナルデスキは守備でも貢献できるだけのメンタルとスタミナを備えています。ウイングが下がれば4-5-1で守備ブロックを組むことができます。中盤に5人の選手を並べることで、4-4-2で守備をする時よりもライン間へのパスを制限できます。単純に、中盤の守備ラインの人が多くなっているからです。選手同士の距離が縮まっていわゆる「ゲート」が狭くなります。そして、互いの距離が近いということは、カバーリングのポジション、ディアゴナーレを組むことが容易になります。これまでよりも中盤で相手のボールの前進に制限をかけることができるようになるでしょう。もし、中盤のラインを突破されたとしても、前半戦で試してきたようにクアドラードを下げて5バック化することもできます。もしくはロカテッリがCBの間に下りる形で5バック化することも可能でしょう。その場合でも中盤には4人が残っているので、セカンドボールの回収や二次攻撃への対応も手薄にはなりません。気がかりなのは前線に残るのがワントップの選手だけになるため、カウンターを撃ちづらくなることです。しかし、ブラホビッチであればフィジカルを生かしてボールをキープして味方が攻め上がる時間を稼いでくれる可能性は高いでしょう。うまくいけば単独で長い距離を運ぶ力もあります。

終わりに

ブラホビッチ獲得によって、前半戦でユベントスが攻撃面で抱えていた3つの課題をクリアできるかもしれません。特に相手守備ラインを押し下げる役割はブラホビッチが担ってくれると予想しています。そうなれば得点力は高まって、さらに勝ち点を伸ばすことができるでしょう。また、4-3-3が本格的に導入されれば、戦術的な幅も広がり、多彩なゲーム運びが可能となります。ブラホビッチ獲得は、チームにとって大きなインパクトを与えることになりそうです。

ただし、前アッレグリ政権時も冬の移籍でこれほどまでに大きな移籍はなかったと記憶しています。アッレグリにとっても後半戦を前に大型補強で獲得した選手をチームに組み込むことは大きな挑戦になるかもしれません。アッレグリがブラホビッチをどのようにチームに組み込んでいくのか。リーグ戦の再開を楽しみに待っています。


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