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【シカゴでバードウォッチング!】鳥族大移動

「いざ、南へ!」

10月4日の夜、いろいろな鳥たちが一斉に南を目指して飛び立ちました。イリノイ州シカゴ(Cook County)上空を飛んで行った鳥の数は、4日の午後6時半から翌日5日の朝6時50分までの12時間に、なんと888,500羽!5日のピーク時には、1,493,600羽!

eBirdのMigration Dashboard

5日の未明からバーダーたちの間ではテキストが飛び交い、eBirdにチェックリストが次々に報告され、興奮のるつぼと化しました。私は残念ながら忙しくしていて、見に行くことができませんでしたから、来年の春の渡りの時には絶対見に行くつもりです。

ただ、非常に残念なことが起こりました。

https://birdcast.info/news/major-collision-event-in-chicago-4-5-october-2023/?fbclid=IwAR3rpnPBIDYePAA0OeLHJseWgGIwL1nbKwnwtJTEZbnz70AvUt4Y4DALHSU

4日の夜から5日の未明にかけて、かなりひどい風と雨で天候が悪く星も月もなく、ミシガン湖上空は真っ暗で、シカゴの高層ビルの電気の明かりを見て多くの鳥たちが窓にぶつかり墜落死してしまったんです。

春と秋の渡りの時期に、ボランティアの人たちが早朝ダウンタウンを回って墜落死した鳥を集めるのですが、今年は例年の5倍ぐらい多いようだということです。一人の知り合いは、鳥の死骸をField Museum (フィールド自然史博物館)に持って行くために、自分の担当のビルの管理人に鳥の死骸を受け取りに来たと言うと、パンパンに膨れ上がった大きなゴミ袋を持ってきたのを見て、今までに経験したことのない数になりそうだと思ったそうです。

10月8日のNew York Timesにも記事が出ていました。シカゴのミシガン湖近くにある北米最大のコンベンションセンターであるMcCormick Placeはガラス窓がかなり多く、例年墜落死する渡り鳥は約200羽ぐらいですが、5日には約1000羽近くが見つかったそうで、過去40年で最大数だったと書いてありました。

6月に「北米で渡り鳥にとって一番危険な大都市」という記事に書いたように、渡りの時期に明かりを減らそうというThe Light Out Programを鳥の関係者たちは声を大にして広めようとしていますが、なかなか耳を傾けてくれる企業や人々は増えないようです。

自分が渡り鳥になったらどんな気持ちかと考えてみる想像力を人間が身につけられるといいですね。天候がどう変わるか予想もできなければ、人間が作った人工物に対応する方策の情報もない小さな生き物たち。本当に命がけの渡りをする鳥たちが目指すところに無事に辿り着けるように祈るしかありません。

日曜日に、いつも行くPark 566に行くと、やはり今まで以上に鳥が多かったです。その中の数種類をご紹介します。

まず、Yellow-rumped Warbler (キヅタアメリカムシクイ)。

Yellow-rumped Warbler     ©Dan Lory

この鳥は、名前にrump (臀部)という言葉がある通り、尻尾の付け根、腰の辺りが黄色いです。頭の上にも脇にも黄色い部分があり、魅力的です。今は普通の街中、住宅街でも至る所で見ることができます。

次に、White-crowned Sparrow (ミヤマシトド、深山鵐)。

White-crowned Sparrow の成鳥    ©Dan Lory

この鳥は、文字通り、白黒の縦縞の王冠をかぶったような鳥で、いろいろな種類のsparrowがいても目立ちます。と言っても、幼鳥は白黒でなく、茶色の濃淡の冠ですが。White-crowned Sparrowは、体も普通のsparrowより大きく、なんと言っても私には見分けやすいので好きです。

White-crowned Sparrowの幼鳥     ©Dan Lory

次は、Palm Warbler (チャガシラアメリカムシクイ)。

Palm Warbler     ©Dan Lory

この鳥は日本語名の通り、頭が茶色、体が黄色、翼が茶色の可愛いムシクイ鳥です。この小さい体で、カナダの北部からキューバやフロリダまで飛んでいきます。その途中に公園に寄ってくれたので、会えて嬉しかったです。

最後に、Northern Harrier (アメリカチュヒ)。

Northern Harrier     ©Dan Lory
Northern Harrier     ©Dan Lory

2022年から2023年にかけての冬、いつも行くPark 566で毎回何羽ものNorthern Harrierを見ていましたが、もちろん春に渡って行ってしまい、ずっと姿を見ることができなかったので、一羽だけでももう帰ってきてくれたことに小躍りしてしまいました。Northern Harrierがス〜〜ッと音もなく風を切るようにして飛んでいるのを見るのが大好きです。顔もちょっとフクロウみたいなのも可愛いと思いませんか。

今日の最高気温は、13度ぐらいでミシガン湖からの冷たい風が吹いています。これからどんどん寒くなるシカゴですが、まだまだ南に渡っていく鳥が次々に訪れてくれると思うので楽しみです。


追記:10月9日夜から10日未明までの12時間の渡り鳥の数は下記のようです。4日より増えていますね。

みんな、無事に目的地まで飛んで行ってね〜〜!

https://dashboard.birdcast.info/region/US-IL-031


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