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【シカゴでバードウォッチング!】 Bobolink  ボボリンク (コメクイドリ)

初めてこの鳥 Bobolinkを見た時、笑ってしまいました。真っ黒な顔に続く黒い頭から薄黄色のベレー帽がずり落ちそうになっているように見えたからです。

喉から胸とお腹も真っ黒。背中には白い模様があり、タキシードを後ろ前に着ているようだと言う人もいます。鳴禽類 (song bird) はたくさんの種類がいますが、お腹が黒くて背中に白い模様がある鳥はこのBobolinkだけだそうです。スカンクみたいに見えるので、skunk birdとも呼ばれることがあるとか。ちなみにスカンクはアメリカにはよくいる動物で、その匂いは強烈です。

目、嘴、顔、頭、喉、胸、腹部は真っ黒。     ©Dan Lory
Bobolinkのオスの後ろ姿     ©Dan Lory
「えっ?僕、何か変?おかしい?」     ©Dan Lory

Bobolinkは、ムクドリモドキ科の鳥で、新世界にのみ生息しています。繁殖期には北米やカナダの南部に来ますが、それ以外の時にはパラグアイ、アルゼンチン、ボリビアなどの南米にいます。新世界に生息している鳴禽類 (song bird) としては長距離を渡る鳥の一つです。一日に1,800キロぐらい飛び、毎年繁殖地と越冬地を20,000キロぐらい往復するので、一生の間には地球を4~5周ぐらいする距離になるらしいです。すごいですね〜!でも、聞いただけで疲れてしまいます、私は。

そして、渡りをする時にBobolinkは、鼻腔の剛毛と嗅球と神経周辺の組織に含まれる酸化鉄のおかげで、地球の磁場で方向を定めることができるそうです。(そういう説明を聞いても、私にはチンプンカンプンですが・・・。) 夜間飛行の時には、星を旅の道しるべにしているとのことで、鼻も目も感度が高いようですね。

以上だけでもかなり変わっている鳥だということがお分かりいただけたと思います。でも、もっと面白いことがあるんです。

この薄黄色のベレー帽をかぶりタキシードを後ろ前に着ているのは、繁殖期の春から夏にかけてのBobolinkの雄です。

雌は・・・全く違います!あまりの違いに唖然としませんか?

Bobolinkのメス。全く黒い部分もベレー帽もない!     ©Dan Lory
黄色と茶色の濃淡のBobolinkのメス。     ©Dan Lory
一羽のオス (中央) と二羽のメス。     ©Dan Lory

そして、もう一つの面白いこと。雄は、繁殖期が終わり渡りに行く前に一回と越冬地で一回、つまり一年に二回換羽(前掲記事「鳥が脱皮???」参照)して、全く別人に華麗なる変身を遂げます。

下の写真のように、秋になると雄と雌の違いはほとんどなくなります。これは鳥たちにはよくあることですが、特にBobolinkの雄のトレードマークであるあの薄黄色のベレー帽と後ろ前のタキシードがなくなっちゃうなんて、ひどいと私は文句を言いたいです。ベテランバーダーさんは、見かけに惑わされず歌声を聞いてみつけますが、私は目で鳥を見つけるので秋にBobolinkを見つけるのはかなり難しいです。

繁殖期が終わった秋のBobolink。雌雄の区別ができません。      ©Dan Lory
あの薄黄色のベレー帽とタキシードはメスの気を引くためだったのね?
    用が済めばかなぐり捨ててしまうなんて、何だか寂しい・・・。   ©Dan Lory

Bobolinkは、米や穀物を食べるので、rice birdとも呼ばれ、それが日本語名のもう一つの名前「コメクイドリ」になったようです。最近は穀倉地帯が少なくなって来ているので、Bobolinkにとっては住みにくい世界になってしまいました。こんなにユニークな鳥はたくさんの人に見てもらいたいですから、数が減らないようにしたいですね。

「いつか私たちをアメリカに見にきてね〜。 」    ©Dan Lory




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