見出し画像

【シカゴでバードウォッチング!】キツツキ

コン、コン、コン、コン、コ〜〜ン。

シカゴのダウンタウンより南に位置するHyde Park (ハイドパーク)の住宅街。

Hyde Parkには、フランク・ロイド・ライトがデザインしたRobie Houseシカゴ大学Museum of Science and Industry (シカゴ科学産業博物館)とオバマ前大統領の邸宅があり、The Obama Presidential Centerが数年後のオープンに向けて建設されているところです。

その閑静な住宅街の木の上から聞こえてくる音。

大工さんのたてる音じゃありません。

そう。キツツキです!!

Downy Woodpecker (セジロコゲラ、日本にはいません)の朝御飯の準備の音です。木にいる虫を食べるために、一所懸命穴をあけているんです!

Downy Woodpecker   ©Dan Lory

バーディングに興味がなかった頃でも、朝仕事場に向かって歩いていると聞こえてきたので、木の上を見上げてキツツキを探そうとしましたが、全く見つかりませんでした。素人でしたねえ。

でも、今はすぐ見つけることができるようになりました〜。ちょっとだけの進歩!

若い頃読んだ遠藤周作氏のエッセーに「軽井沢の別荘がキツツキの穴だらけになっちゃった!」と書いてあったので、キツツキは静かな別荘地にいるんだと思い込んでいましたが、都会であるシカゴのあちこちにいるんです。

私が朝ストレッチを二階の部屋でしていると、家の前のメープルの木に時々Downy Woodpeckerがいるのが見えるんですよ。最近は庭のフィーダーにも来るようになりました。上の写真のようにコゲラに似ていて小さく、白黒の体に赤い帽子をかぶっていて可愛いんですが、木を叩く音はかなり大きく響き渡ります。

小さい体で1秒に20回ぐらい嘴で木に穴をあけて虫を取るようですが、キツツキはどうしてそんなに頭に衝撃を与えても脳震盪を起こさないのでしょう。不思議ですよね。

人間よりも脳の大きさが小さいから大丈夫らしいですが、その他にも頭部の構造や嘴と舌の長さなどが振動を吸収し脳を保護するようになっているそうです。すごいですねえ、自然の摂理は。

日本ではキツツキ目キツツキ科という分類がありますが、キツツキという名前の鳥はいないんですね。だいたいアカゲラやコゲラのように「〜ゲラ」という名前のようです。この記事を書くにあたり、調べていて新しいことを習い、嬉しいです。

アメリカの中西部にはWoodpecker(キツツキ)という名前がついている鳥は6種類いますが、それ以外に、Yellow-bellied Sapsuckerと、1回目の投稿に書いたNorthern Flickerの二種類もWoodpeckerの仲間です。Northern Flickerがキツツキの一種だなんてびっくりしました。イメージが全然違いますから。

Northern Flickerは1回目の投稿に、Pileated Woodpeckerは「ツンツンヘアの鳥たち」の投稿に写真を載せましたので、ここではそれ以外のキツツキをご紹介します。

Red-headed Woodpecker
(ズアカキツツキ、日本にはいません)
この鳥は、赤い頭巾をすっぽりかぶったようなのが特徴で、遠いところからでも見つけやすいです。本当にすごい紅色です。お腹の部分は白で、翼を閉じていると上部が黒で下部は白です。背後から見ると、紅、黒、白でかなり目立ちます。
私はある時森の中で遠くから見て、ペンギンがいるのかと思ってしまいました。光の加減で赤い頭が黒く見えて、白黒の大きな鳥と勘違いしたんです。本当にバーダー初心者ですよねえ。

Red-headed Woodpecker   ©Dan Lory

Red-bellied Woodpecker
(シマセゲラ、日本にはいません)
「お腹が赤いキツツキ」という名前ですが、裸眼でも双眼鏡でもお腹の赤はほとんど見えません。頭の赤い部分が首の方まであり、翼は白黒の格子縞で綺麗です。

Red-bellied Woodpecker   ©Dan Lory   

Hairy Woodpecker
(セジロアカゲラ、日本にはいません)
Downy Woodpeckerにとてもよく似ているので、私は見分けられません。Hairy Woodpeckerの方が少し大きくて、嘴も長いそうですが、この二種類が隣同士で並んで止まっていない限り、バーダー初心者には比較は難しいと思います。

Hairy Woodpecker   ©Dan Lory

Yellow-bellied Sapsucker
(シルスイキツツキ、日本にはいません)
中西部では夏だけに現れる渡り鳥です。「お腹が黄色い」はずですが、双眼鏡で見ても分かりません。Red-bellied Woodpeckerと同じです。
鳥の名前をつけた昔の人たちは、鳥の死骸をじっくり見て名付けたのでこういうことが起きるそうです。
下の写真の木の幹をよく見てみてください。横にいくつも点点があって横線のようなものが何本も見えますよね?それは、この鳥が開けたもので、この穴から出てくる樹液で虫をおびき寄せ、後で戻ってきて食べるためだそうです。ですから、木に何本も横線があったら、しばらく待っているとYellow-bellied Sapsuckerがやってくるかもしれません。

Yellow-bellied Sapsucker    ©Dan Lory    

Black-backed Woodpecker
(セグロミユビゲラ、日本にはいません)
私はこの鳥をまだ見たことがありませんが、夫がミシガンの北で見たそうです。
日本語の名前を漢字で書くと、背黒三指となります。背が真っ黒で、足の指が三本しかないそうです。私もいつか見てみたいと思っています。

Black-backed Woodpecker   ©Dan Lory


鳥に興味がない時にはキツツキが私たちの生活圏内にいるなんて想像もしませんでした。無知というのは恐ろしいものですね。

バーディングを始めてよかったと思うのは、今まで気が付かなかったことに目を向けることができるようになったことです。世界の解像度が上がったと書いていらっしゃる方がいらっしゃいますが、賛成です。

見える世界が果てしなく広がっていく気がしますし、自分がとてつもなく大きな自然体系の中のほんの一部でしかないことを実感し、これからまだまだたくさんのことを学んでいくことができると思うと、毎日が楽しみになります。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?