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【ミシガンでバードウォッチング!】 American Goshawk  オオタカ

7月の終わりにミシガンの北部に住んでいる義妹夫婦を訪ねた折、アメリカのNational Trail Systemの中で一番長いハイキングトレイル North Country National Scenic Trail のほんの一部を歩きました。

North Country National Scenic Trailの全容の標識  筆者撮影
ミシガン州の部分だけの標識。Jordan River Valleyの少し北を歩いた。     筆者撮影

知る人ぞ知るというようなひっそりとした赤松の森の中を歩き始ると、American Goshawkの巣があるという手書きのメモがありました。下の写真を見てください。

郵便の宛名書きのシールに伝言が! 「Goshawkが巣を守っているので、気をつけて」と書いてあります。
©Dan Lory

American Goshawkは、シカゴがあるイリノイ州にはたまに渡ってくる鳥のようですが、普段は見かけない珍しい鳥ですし、深い森の中にひっそりと隠れるように生息している鳥なので、夫と義妹は興奮。私は、よくわからずにただ「ふう〜〜ん、そうなの?」という感じでした。

そこで、American Goshawkはどんな鳥なのかと思い、急いでMerlin Bird ID appで調べると、まず出てきたのはブルーグレーの頭と頬と翼で、顔には白い眉斑があり、胸は白っぽいという成鳥の写真でした。猛禽類を見るのが好きな私は、やっと興奮!

American Goshawkの成鳥。雄はオレンジっぽい赤い目がある。カッコいい〜〜!
ML298044011 by Robert Post, Macaulay Library

松林の中で静かに待っていると、Goshawk特有の甲高い声が聞こえてきたので、三人でどこにいるのか必死で探し、ついに見つけました!

でも、私たちの目の前にいるのは、白い眉斑はあるものの、体の色も目の色も上の写真とは全く違う茶系色で胸にはたくさん茶斑があるので、幼鳥だろうということになりました。もし幼鳥なら、攻撃的な親鳥が突然現れて私たちを襲うかもしれないのでドキドキでしたが、幼鳥が甲高い声で鳴き続けても、一向に親鳥は姿を現しませんでした。おそらく幼鳥がもうかなり大きくなったので独り立ちさせて、自分達はどこかへ去って行ったのだろうと思います。鳥たちは、子離れがキッパリと潔いですよね。見習わないと・・・。

私たちが見つけたAmerican Goshawkの幼鳥      ©Dan Lory
結構キョロキョロ見回していて、私たちのことも気がついていたはずだけど、飛び去らなかった。
©Dan Lory

夫は珍しく自分のカメラを持って行かなかったので、慌てて妹のカメラで写真を撮りました。でも、そのカメラは一年ほど前に買ってからずっと使わずにいたので、七枚ぐらいの写真を撮ったらバッテリーがなくなってしまったんです。ですから、上の二枚がかろうじて撮れた証拠写真です。ま、悪くないですよね。

この幼鳥、あちこちの枝に移動したものの、一向に飛び去ろうとはしませんでした。そして、なんと義妹と私の頭の上の方に突き出ていた枝に止まりました!それはそれでよく観察できてよかったのですが、義妹も私も同時に「フンをかけられるかもしれないから、ちょっと動こう。」と言ってその場から逃げましたが、全くそんな失礼をしない礼儀正しい子でした。(笑)

さて、この記事を書くにあたり、American Goshawkの和名を調べたら「オオタカ」と出てきました。でも、オオタカの英語名を調べると、Eurasian GoshawkとNorthern Goshawkが出てきて、頭がこんがらがりました。そしてわかったことは、2023年にNorthern Goshawkが二つの種:新世界のAmerican Goshawkと旧世界のEurasian Goshawkに分けられたということです。つまり基本的には同じような鳥です。

American Goshawkは、北米に生息する鷹類のうちで一番大きい鷹です。American GoshawkもEurasian Goshawkも、獲物を狙って最速で飛ぶ時には時速65キロぐらいになるそうです。そして、しっかりと獲物を捉えることができるので、世界中の鷹匠たちが長年狩のために訓練してきました。獲物はもちろん料理して人間が食べましたから、よく "cook’s hawk" と呼ばれていたそうです。

Goshawkは、非常に効果的な捕食者として食物連鎖の頂点に位置しているため、その個体数の減少は森林生態系の崩壊につながり、森林に依存する他の種に悪影響を与えますから、いろいろな国や地域で様々な保護活動がなされてきました。


さて、日本のオオタカのことですが、去年日本に一時帰国した時に、東京の目黒にある国立科学博物館附属自然教育園に行き、そこにオオタカの巣があることを知り驚きました。でも、そこで狸にも遭遇しましたから、本当に自然を豊かなまま残している貴重な所なんですね。

そして、今年の5月には朝日新聞に下記のような記事が載っていましたから、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

東京都昭島市北部に残された「代官山緑地」と呼ばれる自然林で、猛禽(もうきん)類オオタカの営巣を確認できたと住民団体が21日発表した。緑地は建設が計画される大型物流施設の予定地に隣接しており、同団体は業者側に計画の見直しを求めている。 オオタカは環境省レッドリストで「準絶滅危惧種」にされている。同市の「昭島のオオタカと環境を守る会」が今月、オオタカのつがいがひな2羽を育てているのを見つけ、撮影に成功したという。

朝日新聞デジタル  2024年5月22日
                          朝日新聞デジタル  2024年5月22日

アメリカでは深い森の中でひっそり暮らしているオオタカが、日本では都市部でも子育てをするというのは、日本のオオタカは順応性が高いからなのでしょうか。それとも、森林が伐採され環境が変化したために都市部に出て来ざるを得なかったのでしょうか。最近の熊、鹿、猿たちのように。いずれにしろ、動物や鳥も自分たちの一部だと思って、人間は行動を慎んで彼らを見守っていくことができたらいいですね。

ミシガンの北で出会ったAmerican Goshawkの幼鳥。きっと日に日に逞しくなっていて狩も上手にできるようになっていることでしょう。鳥って、親鳥と再会する機会があるのでしょうかね。再会してもテリトリーと餌の取り合いになってしまうのでしょうか。自然界の不思議、もっと知りたいです。


註:見出しの写真: ML242348571 by Frank King, Macaulay Library





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