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【シカゴでバードウォッチング!】 American Avocet   アメリカ反嘴丈高鷸

「反嘴丈高鷸」という漢字を見たら、まずどう読むんだろうと思いますし、鳥の名前じゃないみたいですよね。

でも、表意文字の漢字だからこそ、この鳥の特徴をよく表しています。「反っている嘴がある、背丈が高いシギ」という意味です。読み方は、「ソリハシセイタカシギ」ですが、カタカナの羅列を見ただけでは全く何のことか想像もできませんね。

さすがの日本のベテランバーダーさんも、これは長いし舌を噛みそうな名前なので英語名の「Avocet(アボセット)」で呼ぶことが多いとのことです。日本では稀な旅鳥、または冬鳥らしいですから、見かけるのは結構難しそうです。見たことがある方がいらしたら、いつどこで見たのか教えてくださいませんか。

日本で冬にたまに見られるアボセット(ソリハシセイタカシギ)は、頭が淡いグレーで喉から腹部にかけて真っ白、翼は黒地にはっきりとした白い部分があります。

冬羽のAmerican Avocet
上向きに反り上がった長〜い嘴と青灰色の脚
ML215441411 by Denny Swaby, Macaulay Library

一方、シカゴ近辺で見ることができるAmerican Avocetは、春から夏にかけて繁殖のために越冬地のメキシコやアメリカの南部から渡って来ますから、冬の装いとは違って、頭から首と胸にかけて煉瓦色が広がり優美な感じです。私は初めて見た時、この鳥の姿と色のあまりの美しさに息を呑みました。

シカゴで見るAmerican Avocetは、オスもメスもこの煉瓦色の婚姻色になっている。     ©Dan Lory
優雅な姿と歩き方にうっとり。     ©Dan Lory
頭から胸までの色が綺麗!黒くて丸い目。     ©Dan Lory

体長は40~51センチもあり、翼を広げると68~76センチにもなります。嘴はなんと8~9センチもあるそうで、黒くて細くて先が少し上向きに反りあがっています。脚は青灰色で、おそらく嘴の二倍ぐらいの長さです。shorebird (岸辺の鳥) なので浅瀬で、長い嘴を水に入れて横に振り振り、獲物である羽虫の幼虫や甲殻類や虫などを掬い取るようにして食べます。

飛んだ時に上から見ると・・・

な、な、なんと美しい模様!横から見ただけでは想像できませんよね。     ©Dan Lory
上の写真をズームアップすると、こんな感じです。     

American Avocetの求愛行動は特筆に値すると思います。雌雄の区別がつきにくいですが、まず雌が長い首と嘴を水面に平行になるように長く伸ばし、その横で雄が水をかけたり羽繕いを続けます。雌はずっと首を伸ばしたままの姿勢で辛抱強く雄を待ち続け、雄は時が来たら突然雌の上に飛び乗り交尾をします。そしてその後、雄はまた水の中に戻りますが、今度は二羽が寄り添って嘴を交差させながら優雅にダンスをするように歩きます。と、いくら言葉で説明しても想像できないと思いますので、少し長い動画ですがこちらをご覧ください。二番目のカップルを見ていると、雌の辛抱強さに頭が下がります。(笑)  

この優雅なダンス!もっと長くダンスして〜。
オスがメスに優しく左翼をかけているように見えませんか?
DoseOfLife&Natureより

それからもう一つの面白い習性。敵が自分の巣や雛に近づいてきた時に、まるでドップラー効果のように少しずつ鳴き声のピッチを変え、敵に向かって実際よりも早く近づいているような印象を与えるそうです。その時の鳴き声はさすがに録音されていませんが、普段の鳴き声はこちらからどうぞ。

American Avocetは、野生では9-15年の寿命があり、動物園で飼育される場合は少なくとも20年は生きるらしいです。犬や猫より長生きと聞くとびっくりしますね。

この世の中、知らないことばかりで、死ぬまで新しいことを学び続けることができそうで楽しみです!

実は、私はまだこんなにたくさんのAmerican Avocetを見たことがないので、
早く出会いたいなと願っています。      ©Dan Lory     







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