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【シカゴでバードウォッチング!】  Caspian Tern

春になって戻ってきた水鳥にCaspian Ternがいます。いつものカモメたちに混ざって、赤い珊瑚色の嘴のCaspian Ternが飛んでいて、思わず「お帰りなさい!」と声をかけました。

Ternの和名を知らなかったので検索すると「アジサシ」と出てきてビックリしました。Caspian Ternは、去年葛西臨海公園の保護区で見たコアジサシの仲間なんですね。私にとってCaspian Ternは「Caspian Tern」で、葛西臨海公園の保護区にいるコアジサシは「コアジサシ」という日本語で名前を覚えているから結び付かなかったんです。コアジサシの英語名がLittle Ternだと知っていれば、同じ種だと気がついたのでしょうけど。姿を見ればわかるだろうと言われればそうなんですが・・・、まだまだ初心者のバーダーでお恥ずかしい限りです。とにかく、コアジサシは小さくて (24センチぐらい) 機敏で、魚を取る時にはホバリングをした後、水面に向かって超スピードで垂直に飛び込んで見事に獲物を獲得するかっこいい鳥ですよね。まさに「山椒小粒でもピリリと辛い」という感じです。

「今から下降して飛び込むぞ!」とコアジサシ (葛西臨海公園で)     ©Dan Lory
「ゲットしたぜ。」と満足気なコアジサシ     ©Dan Lory     
(葛西臨海公園で。一枚目の写真から二枚目の写真までのスピードが速すぎて写真撮影できなかった。)

それに引き換えCaspian Ternは、世界で一番大きいアジサシで、体長は47〜54センチもあり、コアジサシの二倍です。おそらくそれで「オニ/鬼」という言葉が「大きくて、ものすごい」という意味で用いられ、和名が「オニアジサシ」になったのでしょう。英語名のCaspianはカスピ海のことですが、昔の鳥類学者たちはこの鳥がカスピ海に多く生息していると思ったので、その名前を付けたそうです。「オニ」より「カスピ海」の方が素敵ですよね。

珊瑚色の嘴に黒い帽子のCaspian Tern。「オニなんて失礼だな、日本人は!」    ©Dan Lory
飛び姿、どう? カッコいい?     ©Dan Lory

Caspian Ternも水に垂直に飛び込んで獲物を捕まえますが、コアジサシのように切れ味がいいという感じではありません。いわゆる「大味」(笑)。

「獲物を見つけた!」 「コアジサシの2倍の大きさ、迫力あるだろ!」     ©Dan Lory
「水に飛び込んで魚を捕まえた〜!」「僕、翼が長いでしょ?オニだもんね。」     ©Dan Lory
「見て、見て。美味しそうな魚。」とカメラ視線。     ©Dan Lory
捕まえた魚を空中に投げて頭からパクリ。     ©Dan Lory

Caspian Ternは魚を頭からゴクリと飲み込み、なんとその後に嘴を水につけて口を濯ぐそうです。私はまだ見たことはありませんが、夫は何回も目撃したとのことです。魚臭いのが嫌なのか、綺麗好きなのか・・・。

「魚臭いのは嫌だから、水ですすぐんだよ。上手でしょ?」     ©Dan Lory
「活きがいいうちに雛たちに食べさせないと。」と急ぐ親鳥       ©Dan Lory     

Caspian Ternの鳴き声は大きな体だけあって大声のダミ声で、耳が遠くなってきている私でもちゃんと聞くことができます。このページの三番目のCallです。ちなみにコアジサシの声は、甲高いです。

Caspian Ternの名誉のために言いますが、嘴の珊瑚色は遠くからでもよくわかるぐらい鮮やかで綺麗で、チャームポイントです。その珊瑚色の嘴と黒い帽子と白/ライトグレーの大きな体が悠々と飛んでいるのを見るのは本当に気持ちがよく、おおらかな気分になります。

コアジサシとアジサシは、日本で2020年に鳥類レッドリストで絶滅危惧II類に指定されているそうですが、Caspian Ternは絶滅の心配は全くないようです。Caspian Ternは、川でも湖でも海でも見ることができ、南アメリカを除く熱帯から温帯で繁殖します。夜間に渡りをするそうで、夜あの大きなダミ声が聞こえることがあるらしいです。日本では、稀な旅鳥または冬鳥として記録があり、単独での飛来が多いらしいですが、ご覧になったことがある方はいらっしゃいますか。




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