とある駅での一コマ
インドのとある駅で電車を待っていたときのこと。用を足したくなった私はトイレを探したのだがいっこうに見つからない。利用客の男に訪ねてみたところ「(そっちだ)…」と無言で指を指して教えてくれたのだがそこにもトイレはない。
「仕方ない、インド人に習ってその辺でするか…」
と思っていると、鉄道職員とおぼしき制服を着た集団が歩いてきた。その中の一人がキョロキョロしている私に気付くと、
「Hello my friend!どうしたんだい?何か問題かい?」
と話しかけてきたので事情を説明。
すると、
「ハッハッハッ!こんなところにトイレがあるはずないだろう!」
と言うので、
「いやぁさっき人に聞いたらこっちだって…」
と返すと突然「プシュー!!」と息を吐き出し、
「そいつはなんにも分かっちゃいないよ!いいかいmy friend?何かあったら鉄道職員に聞かなきゃダメだ。この国はみんな適当だからね!トイレは駅舎を出て左手。いいね?駅舎を出て左だ。さあ、これで問題解決だね。行きたまえmy friend!よい旅を!」
そのあまりに自信に満ち溢れた喋り方に私は、この国は人格的にも多種多様なのだな、と深い感銘を受けながら言われた通りの場所へ向かったのだが、そこにもトイレはなかった…。
そう、だから私は用を足したのだ、立ち尽くす褐色の男たちに混ざって…。
完
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