見出し画像

1,300年前の歴史舞台に足を運び、自分のこれからを考える。

前回の記事では「未来予想図を描くのは難しい」とつらつらと書きました。
そして、一度頭の中をリセットして、奈良での2泊3日の旅行に行って感じたこと、考えたことを書き綴ってみたいと思います。

1.未来予想図を描けない時は過去から学ぼう。

自分の中で、今年の目標の1つとして「市議会議員選挙に出馬する」と決めたものの、1月から4月まで、主人の両親にも話せず、周りからの後ろ立てもなく、悶々とした時間を過ごす。
noteに書きながら、行政への悶々とした気持ちは、ただの愚痴でしかないことに気づきました。
一度、今までの気持ちは、そっと横に置き、奈良での旅へと向かいました。

今回の奈良の旅は、2月に参加した「狂犬ツアー@高野山」でご一緒になった浅野さん。そして、2日目からは奈良県吉野町でゲストハウスを営む澤木さんとの3人の旅。

高野山での旅行で、奈良国立博物館で4/13〜6/9まで開催される「空海展」のチラシを見つけ、
「次は奈良で勝手に狂犬ツアーをやろう」
と、意気投合。奈良の旅を計画しました。

「空海展」は、空海生誕1250年を記念して、密教のルーツと曼荼羅世界についても展示があり、過去に類を見ないほどの展示と前評判も高く、空海の直筆書も展示されると書いてあり、これは行こうとなりました。
ちょうど、桜の季節からゴールデンウィーク中に、吉野山にある金峯山寺で、秘仏とされている三体の蔵王権現がご開帳していると澤木さんから教えてもらい、ゴールデンウィーク間の4/29〜5/1で奈良の旅を計画しました。

浅野さんとは、実は同い年だということを高野山で知り、共通の知人もいてびっくり。話していても、初対面とは思えないほど、話しが合い、意気投合。2回目の対面での2人旅となりましたが、笑いが絶えない3日間でした。

空海展では、空海が日本に普及させた「真言密教」の世界観を展示され、圧倒的な曼荼羅(マンダラ)の世界と、空海が真言密教に出会い、中国唐に渡り学びたい気持ちを綴った書物や、中国唐に渡り、密教の師匠になる恵果に認められて、恵果から託され日本に持ち帰ったものを書き上げた直筆の書物や品々、また最澄と交わした書物などが展示されていて、見応えがありました。
空海が唐から持ち帰ったと伝わる「諸尊仏龕」は、空海が身辺に置いたと伝えられている枕本尊と称される三面開きの仏龕。折りたたむと仏塔形になる。インド風な面貌で唐代の作と見られる。空海が師の惠果から受け継いだ品という。千年以上前に作られたとは思えないほど、巧妙で美しく、素晴らしい傑作でした。

圧倒的なスケールと、今もなお魅了される空海がパッションの強さに自分の悩みはちっぽけなものだと感じがしました。また、真言密教についての歴史やルーツを紹介する展示では、密教の世界観をビジュアル化して表した2つの曼荼羅の展示と説明もあり、宗教に馴染みがない人でもわかりやすい展示になっていました。


⭐︎ 館内には公式キャラクター「ざんまいず」が仏教美術初心者や小学生に向けて解説したジュニアガイドが分かりやすく、子どもと一緒に鑑賞できる展示もされていました。


2.過去と未来は変えられない。変えられるのは「現在」だけ。

近鉄奈良駅から橿原駅を経由して近鉄吉野駅からロープウェイに乗り、吉野山へ。
奈良時代に、役行者(えんのぎょうじゃ)が開いた寺で、「修験道」の中心寺院として、一際、大きな仁王門と蔵王堂が鎮座する【金峰山寺】。
蔵王堂には、三体の金剛蔵王権現が鎮座。
昔は、僧侶ですら姿を見ることができなかった「秘仏」と崇められていた蔵王権現様を仁王門大修理のため、近年は年に2回、春と秋に特別開帳を行っています。
※春は3/23(土)〜5/6(月・祝)まで特別開帳中。

今回は宿泊者限定の「夜間拝感」にも参加させていただきました。



夜間、真っ暗な御堂の中で、山伏の姿で法要を行う姿はなんともいえない迫力があり、暗闇のなかで光る三体の蔵王権現さまは、またさらに迫力がありました。
激しい忿怒相の表情で、右手を右脚を高く上げ、背後には燃え盛る火炎を背負ったお姿の蔵王権現。

普段は幕がかけられて姿を見ることができない秘仏と崇められている三体の蔵王権現像。

三体の意味は、釈迦如来・千手観音菩薩・弥勒菩薩が過去・現在・未来を現し、「忿怒」とは「恕(じょ)」という慈悲の心だそうです。

過去は変えられない。未来を心配しても仕方がない。相手をゆるし、今(現在)を精一杯生きること。
その心が大事だと話してくれました。

なかなか自分自身を許せなくなると、相手にも厳しくなってしまうもの。
一度すべてを手放す(肩の力を抜く)ことが大事だと諭された気持ちになりました。

3.天皇が隠れていた!?吉野・国栖地区

翌日、吉野町でゲストハウスを営む澤木さんと合流。「勝手に狂犬ツアー@奈良・吉野」がスタート。
霧雨が降る中、吉野の細い山道をぐんぐんと上がっていった先にある吉野水分神社子守宮(よしのみくまりじんじゃこもりのみや)は、豊臣秀吉が祈願して授かった申し子の秀頼が1604年に再建した、桃山様式建築の重要文化財。

子授け、安産祈願の神様「吉野水分(みくまり)神社子守宮
本殿は三殿一棟造りで、本殿・弊殿・拝殿・楼門と繋がってあり、杉皮葺きの社殿は圧巻でした。


そこから、吉野町の中心地へ。
吉野国栖(くず)地区は、「古事記」や「日本書記」にも登場する古い歴史を持つ地域。
飛鳥時代、のちに壬申の乱で勝利し天武天皇となる大海人皇子(おおあまのおうじ)が、身の危険を感じ、近江から吉野を訪れ「吉野宮」があったと言われています。
またた毎年旧正月十四日に、吉野町南国栖の天武天皇を祀る浄見原神社で行われている[国栖奏]。応神天皇時代に起源を持つ神事で、今もなお伝えられています。

エメラルドグリーンが美しい吉野川
のちに古代日本最大の内乱を勝利した大海人皇子が吉野に身を隠した際に、国栖の民が大海人皇子を匿ったと古事記に書き残されている「天皇淵」と「衣笠山」
天武天皇を祀る浄見原神社
川に向かって御社がまつられています。
[国栖奏]が奉納される舞殿。
舞翁二人、笛翁四人、鼓翁一人、歌翁五人が神官に導 かれて舞殿に登場し、朗々とした歌翁の声とともに、舞翁の振る鈴の音が冷えきった空気にこだまして、参拝の 人たちの胸に古代の息吹をよみがえらせてくれます。
神事が行われる当日には多く人が訪れるのだそう。


その神事が行われる浄見原神社に案内していただきました。
岩壁に鎮座する社に案内してもらう途中、エメラルドグリーンの川に岩肌が荒々しい景色。
雨に濡れて山々の緑が一際美しい表情を見せてくれました。
壬申の乱があったのは、672年。1,300年前からしばし天皇や貴族たちが吉野に訪れていたことを知ると、吉野という地がとても豊かな土地であったことが頷ける。
そして、いまだに吉野町には瓦屋根の古民家のお家が軒を並べる。古き良き街並みが規制などかけずとも整えられている。
澤木さんに聞いてみると、奈良県は地震が少ない地域とか。まちを歩くだけでも楽しい。

澤木さんには、ほかにも国内外の美術館で修復作業に欠かせない吉野手漉き和紙を作る工房や、吉野杉やヒノキから精油をつくる材木工場まで案内していただきました。

【吉野手漉き和紙-植和紙工房さん-】

和紙を作るのに欠かせない原料の楮(コウゾ)
御朱印帳の表紙を漉いている作業を見学させていただきました。
【喜多製材所】吉野の主力産業の吉野杉。この製材所では、製材だけでなく、製材した時に出るおがくずでヒノキオイルを抽出したり、酵素風呂に使うおがくずを製造販売している。
酵素風呂に使うおがくず。1mm単位でお客様のオーダーに合わせて製造し、郵送しているそうです。
吉野ひのき精油を使った石鹸。
圧力のかけ方でできる精油が違うのは面白い気づきでした。

明治期に吉野の林業を発展させ、日本の林業のモデルを作った土倉庄三郎さんについても少しだけ紹介していただきました。

吉野林業を支える木材産地、吉野郡川上村。この地の山々は、【山林家】と【山守】によって先祖代々引き継がれてきたそうです。
山深い地にある材木を川下まで届けるためには、整った道が不可欠です。 そう考えた彼は、山林の評価額の1/20を道路建設の為に出資するよう、沿道の地主を説得して回り、また、庄三郎自らも莫大な私財を投入して、この山深い地に長い月日をかけて、木材を山から運び出す道をつなげていきました。父から山林経営を学び、吉野林業を集大成し日本全土に植林の意義を広め、近代化を支えました。
また吉野山の桜の木々にも伐採の話が持ち込まれまた時、庄三郎は、吉野山の木々を全て自腹で買い取ってまで、それの計画を阻止したという逸話も残っています。
また、林業の発展だけでなく、同志社大学の設立や当時まだ人々に認識されていなかった「女子教育」の重要性に賛成し、日本女子大学校の設立を支えました。 吉野山の桜についてと同様、先祖から引き継いだ財力を基にして、日本の将来への基盤を築いた人でした。

こうして、吉野林業の歴史と現在の林業の今を知ることができた3日目でした。

4.吉野に泊まるなら「ゲストハウス空」

奈良県吉野町は、「吉野桜」で有名ですが、今回ご案内してきたように、吉野は歴史の深い土地であり、紙漉きなどものづくりも盛んな魅力的な場所でもありました。
ぜひ、2〜3泊して、ゆっくり「吉野じかん」をすごして欲しいと思います。
今回、宿泊でお邪魔したのが、「ゲストハウス空」さん。

気軽に借りられるシェアハウスがあったらいいな、、という想いから始まった【国栖Core】
宿泊が「ゲストハウス空」、シェアキッチン「こけのもり」、人と人をつなぐ「Come on よしの」。
ここでレンタルサイクルも借りられます。
いくつものの事業を一手にやってしまうスーパー女将。

今回、一緒に女子旅を回ってくれた澤木さんが運営する「ゲストハウス」です。
元旅館だった建物を一級建築士でもある澤木さんが改修し、「ゲストハウス空」を開業。
元々旅館である建物を一級建築士がリノベーションしたゲストハウスなので、部屋も広々。居心地の良いゲストハウス。

センターキッチンなので、数人で自炊を楽しむこともできます。
元旅館の時の水色タイルと白地のシステムキッチンが映えます。
今回宿泊したお部屋。手前にもう一部屋あって数人でも広々つかえます。
トイレ・洗面台は共同。シンプルでセンス良いデザイン。
2階の廊下も広々。
奈良県の中で「奥大和」と呼ばれる地域がわかる全体地図。奈良県は本当に広くて、それぞれの市町村に歴史や文化が残ります。
ゲストハウですが、ビールやお酒も飲めたり、翌日の朝食も事前に頼めば用意してくれます。
朝から卵焼きを焼く音が聞こえてきて、キッチンに行くと朝食の用意がされていました。
朝食は600円〜
田舎の実家に帰ってきた気持ちになります。
ゲストハウスの入り口にカウンターテーブルが新しく設置。
宿泊しなくても女将が淹れてくれる珈琲をいただくことができます。
近所の人が立ち寄るスペースにもなり、人と人が繋がる場所になっています。
よしののお土産物なども購入できたり、吉野の情報を紹介するコーナー。
元旅館の雰囲気がとても良いゲストハウス。
昨年、シェアキッチンも整備、玄関近くの部屋も開放して、曜日によって居酒屋や食堂として貸し出しもしているそうです。

澤木さんは、もともと生まれは静岡県で同郷。
全く縁もゆかりもなかった吉野町にゲストハウスを兼ねたコミュニティスペースを設計・経営し、吉野町に来た人たちと地域の人を「つなぐ」ことを積極的に行っている。
全く縁もゆかりもない土地に、根を張り、どんな相談でも「やってみたら」と背中を押せる人はなかなか居ません。
ガイドブックにはほとんど載ってない「吉野」。
きっと「ゲストハウス空」さんに泊まったら、色々吉野の魅力を案内してくれますよ。
今回は1泊しか泊まれませんでしたが、ぜひ連泊がオススメです♪

5.吉野に行ったらぜひ訪れてほしいオススメのお店4軒。

1軒目【葛屋 中井春風堂】吉野山

吉野桜が満開の時はさらに映えそう。お皿やお店の細部にもこだわりを感じるしつらえ。

金峰山寺から徒歩2〜3分。賞味期限わずか10分。できたての葛をいただける葛専門店。
人気店なので、必ず予約するのをオススメします。(店頭のみの予約になります。早めに予約して、予約時間まで吉野山を散策して待つのが◎)

店先では、店主自ら葛餅・くず切りを実演するところも見学できます。店主の説明がまたうまいのです。


2軒目【ナラヤマソウ】吉野町柳

地元の人たちにも人気のお店「ナラヤマソウ」さん。銘木業を営んでいた祖父が木目の美しい木や錆丸太にこだわって建てた離れを
コンフィチュールの工房とイタリアンカフェにオープン。大きな窓から季節の草木を眺めながらいただくランチは格別でした。


3軒目 カフェ&ギャラリー【うちゅうねこ】吉野町窪垣内

古民家を改装して、木工家具職人のご主人の作品を展示しながら、デザイナーの奥様がカフェをしています。
木が持つ個性を大切にした器や家具が並びます。どの作品も表情が豊かで繊細。

ゲストハウス空さんと同じ国栖地区にある、ちょっと変わった名前のお店。宇宙と猫好きなデザイナーの奥様が不定期にオープンするカフェ&ギャラリー。店内には、木工家具職人のご主人が作る虫喰いの木も素敵なランプシェードやツール、器が並びます。


4軒目【グットウルフ麦酒】東吉野村大豆生

日本で最後に日本狼が目撃された地東吉野村。
地元の美味しい水とローカルなテイストを合わせたクラフトビールが随時10種類前後いただけます。
山道をどんどん進んでようやく辿り着きました!縁側でいただくビールは最高!運転手で飲めない方には瓶ビールのお持ち帰りできます🍺

吉野まで来たら一度訪れてみたかった、東吉野村にある「グットウルフ麦酒」さん。昨年、ちきりんさんと木下さんとの佐渡島旅行で一緒だった石井さんが営むクラフトビール工房。
タップルームには吉野杉や吉野桜、柚子などの吉野特産のフレーバーから抽出したビールなど常時10種類前後のビールが並ぶ。なかでも薬用人参を使った「花旗参」は免疫力を高めてくれる薬膳ビールがオススメ。

気になるお店があればぜひ訪れてみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?