レアなレディーとお局

勤務している所は、お局政治がまかり通っている。50を過ぎた女たちが、日々の感情に任せながら事の精査をする。彼女たちがYESと言えば、客観的に違っていてもYESとしなければならない。厄介なのは忖度をしなければならない。

「その服とても似合っていますよ。」

「あらそう?」

隷従と忖度によって組織は動いている。いずれかを欠けばとたんに組織から排斥される。

そんな環境の中で、一人の女(仮に「Y子」とする)から愚痴を聞かされた。仕事上で責任の所在が曖昧であるため、身動きがとれない。仕事の履歴がないからどうまとめていいかわらかない。という。Y子の指摘は正しいのだが、評判がとても悪い。

「近寄らないほうがいいですよ。」

「何かとケチをつけてくるんですよ。」

「ああ、また変なこと言っている。」

特にお局たちは気に入らない。だから男どもも「あの女は気に入らない」と付和雷同に答える。

私はこの現象に大笑いをする。実は気に入られていないY子こそ、組織になくてはならない重要な存在なのである。

Y子はケチをつけているんじゃない。シミュレートが正確に出来て瞬時にエラーを見つけることに長けているのだ。例えば99%の安全と1%のクライシスが組織稼働時にあるとすれば、お局はなんとなく前者を重視して1%はありえないものと、バッサリと切る。

ところがY子は1%のクライシスをとる。なぜならその1%が現実に起こると、組織の稼働がロックするのを知っているからである。あくまでもその1%にこだわった質問をしたり、意見を言ったりしているのであって、ケチをつけているんじゃない。

最近お局のルーズさが徐々に現れてきた。

自分なりにやってきた。というものにはルーズさが見られるものの、論理的正当性が見えてこない。嗅ぎつけられるのが恐ろしいのか何かしらのアクションを起こして目くらましをし、自己正当化に懸命になっている。

もし仮に1%のクライシスが出現すれば、お局どもは間違いなく、過去の経歴を説得材料にして逃げる。「私はこれだけのことをしたのだから悪くはない。だからあなたが解決しなさい。」と言って。だが現実はパニックからの脱却を図っていない。そうなると感情のやり場がないので「Y子がいるから組織は…」とお馬鹿なことを言うに決まっている。桐壷更衣でもこんな仕打ちはされなかっただろうに。

そうそう。お局の共通は「男女平等」なのだとか、いつも女とつるんで世の中を憂いている。相手にしているのは自分よりも年下の男。同世代とはわたりあえない。言っていることとやっていることがちぐはぐなのである。呆れる。

わたしはY子の論理的な思考力が好きである。エラーを見つけて積極的解決を図ろうとする姿勢や、何かをするときに、どんな事務的なことが待ち構えているのか、先回りして無駄なコストの発生を抑止することができる。

できる人にとって「女だから」という言葉にナーバスになるのはナンセンスなのかもしれない。Y子は本当の意味の理系脳であり、事実と向き合う勇ましさがある。Y子とならカクテルバーでゆっくりと語り合いたい。

しかしそれは適えられない。なぜならY子には左の薬指にしっかりと指輪をはめているからだ。旦那の話をする時に幸せな表情になるのが清々しい。仲睦まじくこれからも生活してほしいと心から願っている。

愚痴が論理力や戦略性をはらんでいるという、レアなレディーのお話でした。

できる女性のみなさん!お局政治って厄介だね。

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