マメハンミョウという少し不思議な虫
目立つ体色と形態
マメハンミョウという虫を知っていますか?写真のように、頭部が赤く、胸から上翅まで、縦に白い線が走っています。目立つ体色をしています。
夏のバッタ調査中に採集ました。参加した子供たちが見つけて、「この虫はいったい何?」ということになりました。
体の色が目立つ場合、クジャクのようにオスがメスに対してアピールする目的もあるでしょう。マメハンミョウでは、オスメスで体色の違いはないので、むしろ警告色でしょう。危険であるとアピールしているスズメバチ類と同じです。見つけてもつかんではいけません。
触れるな危険!
マメハンミョウをつかんだ際につぶしてしまうと皮膚がただれます。調べると赤くただれた写真が見つかります。これはカンタリジンという物質を持っているからです。
カンタリジンは、古くからトリカブトとともに毒薬として利用されてきました。中国では乾燥した虫の粉が暗殺用に使用されていたそうです。怖いですね。この場合マメハンミョウではなく、キオビゲンセイという種類のカンタリジンですが。微量であれば利尿効果もあるそうです。
マメハンミョウの場合、カンタリジンは攻撃より、防御、食べられないようにする効果があるのでしょう。
ハンミョウの仲間?
マメハンミョウはハンミョウという名前ですが、長い肢を除けば、あまりハンミョウに似ていません。中国で斑猫と呼ばれてきた虫は、このマメハンミョウとかツチメハンミョウの仲間です。日本では、「みちおしえ」と呼ばれる昆虫にハンミョウ(斑猫)という名が当てられました。マメハンミョウの仲間がもともとの「斑猫(ハンミョウ)」だったそうです、
マメハンミョウはツチハンミョウ科に属し、ハンミョウとは別の科です。ツチハンミョウやヒラズゲンセイといった変わった形をした毒虫の仲間が含まれます。かつて、日本では、ツチハンミョウ科の昆虫をを使用すべきところハンミョウを使ったため、毒薬の効果がなかったという話があります。
イナゴが増えるとマメハンミョウも増える
バッタの調査でマメハンミョウを見つけたのは、比較的草丈の高い場所です。その名の通り豆の害虫として大量に見つかることもあり、農家では困った存在です。広食性で豆類以外の植物も食べるようです。
幼虫はイナゴの卵を食べるので、イナゴの害に困っている農家には喜ばれる存在かもしれません。戦後、イナゴが激減した際に減りましたが、低毒性の農薬へと切り替えイナゴが増えてきたことにともない増えてきました。
夏の調査でマメハンミョウがみつかったことは、イナゴなどのバッタ類が一定数、生息していることを示しています。
マメハンミョウは少し不思議な虫
調査に参加した子どもが「この虫はいったい何?」といったマメハンミョウ。形も色も独特。毒虫であったり、ハンミョウの仲間でなかったり、害虫と益虫という両面性をもっていたり、少し不思議な昆虫です。
見つけても触れないでください。かぶれますから。
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