株式会社ジーンテクノサイエンス

バイオベンチャー好きの私が、好き勝手に完全なる主観《個人的な想い》でバイオベンチャーを語っていくnoteです。

今回語る「株式会社ジーンテクノサイエンス」様は、2001年に北海道大学の遺伝子病制御研究所における免疫関連タンパク質の機能研究の成果を元にして作られたバイオベンチャーです。(2012年にマザーズに上場)

事業内容

①バイオ新薬の開発について
・抗α9インテグリン抗体(開発番号:GND-001、対象疾患領域:免疫疾 患、がん)科研製薬へライセンスアウト済みで共同研究中
・抗RAMP2抗体(開発番号:GND-004、対象疾患領域:眼科疾患、がん)
特許取得済で、ライセンスアウトを目指している。
・札幌医科大学とMabGenesisから抗体を取得して共同研究開発中

《バイオ新薬のパイプラインを見た個人的な想い》
 細胞接着分子であるインテグリンを標的とした抗体は、例えば、2018年製造販売された武田薬品の抗α4β7インテグリン抗体(エンタイビオ)があり、今後抗インテグリン抗体の開発は盛り上がってくるのではと思うので、開発がすすむといいなと思っています。
 2020年に新規の2つの抗体を取得しており、今後バイオ新薬の開発及びライセンスアウトについて、しっかり力を入れていくんでしょうね。

②バイオ後続品の開発について
・フィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:
がん)先発品は、協和発酵キリンのグランで、富士製薬工業、持田製薬との共同開発により、2013年5月に製造販売
・ダルベポエチンアルファバイオ後続品(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)先発品は、協和発酵キリンのネスプで三和化学研究所と共同開発により、2019年11月に製造販売
・ラニビズマブバイオ後続品(開発番号:GBS-007、対象疾患:眼疾患)先発品は、ノバルティスファーマのルセンティスで、千寿製薬と共同開発により2020年に治験終了予定。中国のOcumension Therapeuticsと中国、台湾における独占ライセンス契約を締結している。
・ペグフィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)先発品は、協和発酵キリンのジーラスタで、ジーンテクノサイエンスは前臨床の段階。
・アダリムマブバイオ後続品(開発番号:GBS-005、対象疾患:免疫疾患)先発品は、アッヴィ/エーザイのヒュミラで、ジーンテクノサイエンスは前臨床の段階。

《バイオ後続品のパイプラインを見た個人的な想い》
 ネスプのバイオ後続品は、言わずもがなTHEレッドオーシャン!ですね。ジーンテクノサイエンスも三和化学研究所と製造販売中ですが、協和発酵キリン(AG)、JCRファーマ(キッセイ薬品が販売)、マイランEPDも販売を始めており、加えて腎性貧血の新規作用機序の薬剤であるHIF-PH阻害薬がアステラス製薬(エベレンゾを販売中)、田辺三菱製薬(申請中)、グラクソ・スミスクライン(申請中)、JT/鳥居薬品(申請中)、バイエル薬品(第III相)となっているので、HIF-PH阻害薬に大きな安全性の問題が出ない限り、厳しいかなと思っています。

 滲出型加齢黄斑変性向けの抗VEGF抗体分野もなかなか激戦で、今製造販売中の2018年の売上げは、ルセンティスは250億円、アイリーアは659億円で市場は大きいものの、ノバルティス開発のブロルシズマブが2020年1月に承認され、中外製薬の抗VEGF/Ang2バイスペシフィック抗体のファシリマブが第III相試験中という状態です。とはいえ、バイオ後続品を開発している企業は国内に他にいませんし、先発品の1回当たりの薬価が、13-15万円くらいで、医療費削減が叫ばれる昨今、健闘するのではと思っております。

 ヒュミラのバイオ後続品は、持田製薬、第一三共(アムジェンと提携)も開発していますが、2018年世界で一番売れた薬ヒュミラ(2兆7269億円くらい売れた)なので、少し他社に遅れてでも開発する意義は十分にあるかなと思います。

③再生医療等製品の開発について
・心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品の事業化
(セルテクノロジーを子会社化)
・歯髄幹細胞を用いた再生医療等製品の事業化及び研究開発
(骨関連は昭和大学、眼関連は岐阜薬科大学、脳性まひは東京都医学総合研究所、名古屋大学医学附属病院、東京医科歯科大学と共同研究)

《再生医療等製品のパイプラインを見た個人的な想い》
 2016年からノーリツ鋼機グループの日本再生医療と提携して、再生医療等製品の開発に力を入れてますね。現時点では、再生医療分野の関連製品を迅速に実用化するため、条件・期限付きの「早期承認制度・先駆け審査指定制度」があり、日本で早く承認がおりやすくなっているため、この分野に力を入れていくのは、当然のことですよね。

取締役について

代表取締役社長 谷 匡治
取締役 野口 亮
社外取締役 栄木 憲和
常勤監査役 林 昭彦 社外監査役 森 正人 甚野 章吾

《取締役を見た個人的な想い》
 代表取締役の谷様は、サントリー→武田薬品→独立系PE→レグイミューン(免疫系の創薬バイオベンチャー)→ジーンテクノサイエンス様というご経歴で、バイオ畑を歩かれてきた感じですね。取締役の野口様は、ジーンテクノサイエンスの大株主であるノーリツ鋼機株式会社から来られているようで、社外取締役の栄木様は、バイエル薬品の社長や会長をされていた方でバイオ業界では知らない人はいないでしょう。

事業体制について

 バイオ後続品事業で安定的な収益基盤を確立させつつ、バイオ新薬事業及び再生医療における細胞治療分野を軸とした新規バイオ事業で成長性を追求するハイブリッドな事業体制。ノーリツ鋼機グループとの協業体制に基づき、積極的に新規事業の立ち上げを行っていく。

《事業体制を見た個人的な想い》
 ノーリツ鋼機という大株主とどううまくやっていくかなんでしょうね。新規事業や新規の共同開発が立ち上がり、今までとは同じやり方では進まないことが多いと思いますので、ここからが大きく飛躍するかの頑張り時なのかなと思います。

最後に

 1回目は、北海道発ベンチャーのジーンテクノサイエンス様に対して、完全なる主観《個人的な想い》を語らせていただきました。
 下に書いているのは、ジーンテクノサイエンス様の企業理念なのですが、希少疾患や難治性疾患にも取り組むと明言されており、身内に希少疾患患者がいる私にとって応援したい会社なので、1社目に取り上げさせていただきました。

 当社は、大学発ベンチャーであることの公共性に準じ、利益の追求に留まらず、希少疾患や難治性疾患を対象とする医薬品開発により、人々のクオリティ・オブ・ライフを向上させ、社会に貢献することを経営理念に掲げ、より豊かな医療環境及び社会環境の実現に貢献すべく、企業活動を推進しております。

  


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