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日本語のサイエンスエッセイ

私の専門は一応分子生物学ということになっているのですが、その関連で面白い日本語エッセイをいくつか紹介します。大学院生~若手ポスドクはぜひ!

① 走馬灯の逆廻しエッセイ
https://www.rnaj.org/tags/essay-by-furuichi
RNAのキャップ構造で偉大な発見をされた古市泰宏先生(2022年没)のエッセイ。
分子生物学の黎明期の様子が鮮明に書かれていてとても勉強になる、。
(教科書でしか知らない人たちの様子を知ることができて面白い)

幼いころに引き上げ逃避行でご帰国されたなどのご苦労を知るとその偉大さがさらに身に染みる。

絶筆となってしまわれた第36話は五木ひろしとのエピソードを織り交ぜながらご本人の研究の振り返りが書かれている。
(第一回からちゃんと読むと時間が溶けるので注意。)
https://www.rnaj.org/bulletin/154-vol-46/1007-furuichi-36


② RNA Network Newsletter

https://ncrna.jp/machinery/RNAnnl.html
グループグラントの特定領域研究「RNA情報発現系の時空間ネットワーク」(2001-2006年度)の広報誌。
塩見春彦先生が編集人となってある程度一般の人にもわかるように書かれたものらしい。

例えば下はリボソーム界の大御所稲田利文先生の文章。稲田先生は25年前に私(note著者)と同じ建物に留学されていた。その時のことがつい最近のように書かれている、、!

(実際留学から帰国直後の文章だと思う。)

このあたりのことは来月にポッドキャストで詳しくお聞きしていく予定である。
先日バイステポッドキャストに出ていただいた岩崎信太郎さんがM1のころの写真も見つけてしまった。若い!(スクショはためらったが、Volume 5, Number 1にあります。)

当時の熱気にあふれていて、時間を忘れて(実験をさぼって)読みふけってしまった、。
今となっては大御所の先生たちの若かりし頃の写真やお言葉がまぶしい。。


③ Ryohei’s neuroscience notes

https://ryasuda.hatenadiary.org/
現在はマックスプランクフロリダでディレクターをされているの安田涼平先生のブログ(2013年/MPIに移るときまでの更新)。

アメリカでPIになり大成功される過程が書かれていて興味深い。
NeuroRadioを聞くまではATPaseの回転を発見された方とは知らなかった。。
https://neuroradio.tokyo/2023/01/17/51-a-precise-tagging-of-active-neurons/

④ すぎりおのがんばったるねん
https://sugirio.exblog.jp/
現在は香港でPIをされている杉村先生のブログ(2018年/日本に少し帰国される直前までの更新)。
血液系の論文の紹介がメインだが悪いPIのゴシップなども多く面白い(場合によっては何とか人を特定できる)。
一度学会でお見掛けした時にお声かけすればよかったなぁ、、。

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4つ紹介しましたが、どれもはるか先のキャリアの人たちが書いているものだと思っていたら、場合によっては書き手の人たちにキャリア的に近づいてきていて焦ります。。
キャリアを積めば少しはあんな文章が書けるようになると思っていたのですが、元から素地が違ったようだ、。

(とはいえ普通のポスドクの悪戦苦闘はあんまり表に出ないので、少しでもnoteに書いてあとに続く人たちが乗り越える屍を作っておこうかな。)

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