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微生物屋 低刺激シャンプーつくるの巻(アトピーでも使えるシャンプー)

微生物とシャンプーは無関係に見えますが「肌と洗浄と皮膚刺激」は密接なバランス関係があります。(皮膚常在菌のバリア機能が忘れられがちです)

どうしてヘアシャンプー?

家族が敏感肌で困っていたからですが、身体(手足胴体)は界面活性剤(以下洗剤)を使わなくても我慢出来ますが、頭皮は皮脂が多く痒みが出やすいのでシャンプー無しにするのは難しかったのでシャンプーです。
(一般にシャンプーは洗剤メーカーが「髪の整髪料」「頭皮の毛根」を便利に洗う目的で作られた製品が多く刺激的です)

肌(頭皮)と微生物

肌の役割は、外からの物理的な摩擦、衝撃などの保護や化学物質、紫外線、病原体などから守る①バリア機能 ②水分の蒸発を防ぎ、身体の水分を保持する事があります。
風船のような防水膜とは違い、肌の保護機能は超複雑です。

次にアレルギーで「掻く」という行為は、肌にある刺激や異物を物理的に取り除く行為です。体内に入り込んでは困る物質(化学物質や病原菌)などを皮膚が感じ、掻くことで排除します。

他にも、紫外線で皮膚がダメージを受けるのを感じメラニンが作用したり、皮膚常在菌が日焼け止め成分を作りUVカットしたりします。病原菌の侵入繁殖も皮膚常在菌が守備しています。皮膚常在菌が共生している仕組みの一部を図にしたものがあります。

人体常在菌-共生と病原菌排除能2001(医療ジャーナル社)より
皮脂を栄養として共生菌が皮膚に必要な成分を供給し肌保護になっている

皮脂は皮膚常在菌の栄養源なので、洗剤で洗い流すと常在菌(バリア)も増減し、多すぎると異常繁殖して刺激になってしまいます。
これらのバランスを肌センサーが痒みや炎症で知らせ、適正な肌状態を維持する仕組みがあります。(頭皮も様々な皮膚常在菌がバリアを作っています)

〇頭皮(肌)は洗えば良いのではなく、常在菌バランスを意識して状態を整える事が必要です。(車や皿を洗うのとはちょっと違います)

人それぞれのアレルギー

皮膚パッチテストをしていると、精製水に反応する方が一定量おられます。シャンプーするときに‟お湯がしみる”方もおられ、肌のセンサーは人により様々だと思います。
シャンプー容器の裏に成分表記がありますが、記載されている成分は読むのが面倒なくらい多い印象です、種類が増えるほど刺激を感じる人の確率が増えるので低刺激にするには成分が少ない事が重要です。
化粧品(シャンプーは化粧品)の成分表記は最初に記載されている成分比率が高い(%が多い)ルールなので刺激性の高い成分が前の方に書いてあるのは避けた方が良い傾向です。
<化粧品表示ルール>
すべての成分を記載する。
配合量の多い順に記載する。
1%以下の成分は順不同で記載可能。
キャリーオーバー成分(∗)は表示する必要がない。
香料は、複数の成分をまとめて「香料」として記載可能。
着色剤および体質顔料は、すべての成分の表示の後に順不同で記載可能。
(∗):原料に含まれる成分のうち、製品に持ち越されて残存するが、製品中ではその効果が発揮されない量しか含まれない成分のことをいいます。)

何を洗う?

ヘアシャンプーは「髪を洗う」CMが多いですが、頭皮の酸化した(酸っぱい匂いの)皮脂を洗うのが目的です。(整髪料のシリコンスプレーなどは強い洗剤が必要なので分けて洗浄)←健常な方は同時でOK

重要なのは、水分を弾くための油分(皮脂)と常在菌の餌となる皮脂を適正量残す必要が有る事で、強い洗剤は皮脂を根こそぎ洗浄してしまいます。これだと乾燥した頭皮は無防備になり、常在菌バリアも崩れます。
〇酸化した(すっぱい)皮脂を洗い、新鮮な皮脂を残す。

目指すシャンプー

①成分の種類を少なくする
②刺激の強い成分は量を過剰にしない
③酸化した皮脂だけ簡単に洗える

機能と使いやすさ

◇解決すべきポイントがあります。
a、「酸化した皮脂だけを洗い、新鮮な皮脂を適量残す」のを簡単に出来るようにする。洗いすぎや不足がわかるようにする。
b、シリコンなど光沢、滑り系原料は頭皮刺激になるので入れない。
c、保存料の配合を減らす。

◆解決方法(難しい順)
a、「酸化した皮脂だけを洗い、新鮮な皮脂を適量残す」
 泡の状態で洗浄具合を確認出来る配合にする(頭皮の皮脂量は季節や運動量、発汗量で変化するので、泡立ち過ぎると洗剤過剰、泡立たないと洗浄不足が直感的に判るようにする。洗浄後に洗い残しを匂いで確認するために香料を入れない、主原料も臭気の少ないものを選び(高価)、水洗いすれば無臭になるよう処方する。
b、シリコンなどの 光沢、滑り系原料は配合しない。(頭皮に不要)
 洗浄時「指通り」が悪く、ギシギシするが、絡まって洗えなくなるような強すぎる脱脂にならない配合にする。
c、保存料の配合を極力減らす。
 未開封3年は保存期間が必要だが、過剰な保存量を配合せず、消費期限管理と流通管理(小ロット生産)、保管環境(温度、湿度、雑菌)で解決する。

客観的評価と製品化

アトピーに精通した団体にモニターテストを行い、推奨審査基準をクリアし製品化。
以降10年以上にわたって多くのリピーターに愛用頂き感謝です。

製品:https://bio520.jimdofree.com/%E5%81%A5%E5%BA%B7-%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%A1/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%BC-%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%88/


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