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徳島不思議百物語 第4回『昭和レトロミステリー・徳島の口裂け女』

 昭和54年、日本中を席捲した現代妖怪がいる。そう中高年なら誰しも知っている妖怪【口裂け女】である。流布された物語の概要は以下である。学校の帰り子供たちが歩いていると、道端に怪しい女がいる。ザンバラ髪に、よれよれのコートを着て大きなマスクをかけている。そして、子供たちに近づくとこう囁くのだ。

「あたしって綺麗?」

 この“問い”こそが、この都市伝説の“キモの部分”になるのだが、「綺麗です」と答えた場合、女はマスクをとり、耳元まで裂けた口を見せながら

「これでもぉ〜」

 と絶叫する。当然、襲われた子供は失神するか、泣き叫びながら逃走するというオチになるわけだ。一方、迂闊にも「綺麗じゃないです」と答えた場合は、もっと悲惨な事態になってしまう。口裂け女が持ち歩いている巨大なハサミや鎌を使って、子供たちは口を大きく引き裂かれてしまうというのだ。これでは、どちらも救いがない。

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