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ものの見方がガラリと変わる

ボールを投げる。
斜め上方に向かって思い切りよく
ぐんぐん上昇していって
あるところで下降に転じて
地面に落ちる。
美しい放物線。

この放物線は再現できる。
最初に投げたときの速度を用いて
それに重力加速度を加えれば
何度やっても同じ放物線。

世界は法則に支配されていて
こんなに明確に計算されて
きっちり定まる。

なんて美しい。

もやもやと蠢くこの感情、
むせかえるような人間臭さと無関係に
一義的に貫かれる世界のありよう。
超然と決定される、ものの動きの
硬質な美に焦がれる。

自分の意識は
いつもゆらゆらしていて
定まらずにぐちゃぐちゃして
あの硬質美には程遠いような
この曖昧さに嫌気がさしたりして

静謐な美しさに焦がれて
天体が軌道に沿って見事に運動する
遥か彼方の宇宙に思いを馳せれば

そこには素粒子が蠢いて

よくよく見れば
それらはひどく曖昧で
定まらずにゆらゆらして

一義的に定まったものなんてなくて
決まってなくて
空と色を行ったり来たり
ただただゆらいでいる。

なんておおらかな。

決定された運動が生じるそのおおもとは
その構成要素は
こんなにも不確かで
この曖昧さからすべてが生まれる。

あぁ、なんて豊かなんだろう。

このゆらゆらとした曖昧さは
世界の根幹で
豊かさの、源。

自分の中に蠢くさまざまな
意識も感情も
豊かな、美しい世界の一部か。

古典諭と量子論。
腰抜かすようなパラダイム・シフト。

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