見出し画像

漫画原作「野球女子フェニックス!」

週刊少年マガジン原作大賞・企画書部門の応募作品。

●タイトル
「野球女子フェニックス!」

●キャッチコピー
怒れる野球女子が“花火変化球”をあやつり、高校野球に革命を!

●あらすじ
 大谷雪矢は5歳から野球を始めた女子高生。花火師の家に生まれ、「しだれ柳カーブ」など花火にちなんだ独自の変化球をあやつる。
 夏の甲子園出場をかけた試合に、性別を隠して登板した雪矢だったが、それがバレて敗戦。しかし「なぜ女子は試合に出られないの!?」と涙で猛抗議する動画が全国に拡散され、時の人になる。
 ボールの回転数がわかる捕手の倉本。暴力行為で野球をやめていた天才投手の円谷。人生訓の名言をつぶやく南雲監督。入部を願うジェンダーレス女子のサニー。
 雪矢を中心にさまざまな個性のメンバーが、ぶつかりあいながら快進撃。高校野球のルールも変えていく。花火師の日常や、雪矢と円谷の恋も描く。

●第1話のストーリー
「どうしてよ! どうして女子が野球をやっちゃいけないの!?」
 涙をぼろぼろ流しながら審判に抗議する、信濃川学園高校の1年生・大谷雪矢。
「プロ野球も大学野球も女子がマウンドに上がれるのに、なんで高校野球だけダメなの!?」
 しかし、審判はゲームセットを宣告。感情を抑えられなくなった雪矢は「昭和かあーー!」と叫びながら、審判に突進してしまう。

 10分前にさかのぼろう。この日は夏の甲子園出場をかけた新潟県大会の決勝戦。登録部員10人で勝ち上がってきた信濃川学園は、1点リードの9回に投手が負傷。
 ベンチの南雲監督が、記録員の雪矢に「あの選手を呼んできてください」と声をかけると、裏に下がった雪矢はユニフォームに着替え、帽子を目深に被り、性別を隠してマウンドへ上がった。

 幼なじみの捕手モグラ(愛称)と「やっとここまできたね」「あんたも共犯よ」と青空を見上げる。南雲監督は「人生にはルールより大事なものがあるんです」。

 雪矢は左投げ。独特の握りの変化球「しだれ柳カーブ」を武器に(花火のビジュアル説明つき)ピンチを抑え、勝利まであとひとり。
 しかし、きわどい判定に思わず声をあげ、帽子が脱げてしまう。女子とバレて、場内は騒然。没収試合を宣告する審判。

 ここで冒頭の場面に戻る。号泣しながら抗議する雪矢。審判に突進。
 その様子をたくさんの観客が動画撮影してSNSにあげ、全国に拡散されると「今どき女子は出場できないって差別だろ」「高校野球のルールが時代遅れ」といったコメントが殺到。大谷雪矢は一躍、時の人となる。

「なんか大変なことになっちゃったよ、ユウキ」。
 翌日、学校の屋上でその動画を見ながら、ひとりごとをつぶやく雪矢。悩み事があるといつも出入り禁止の屋上に上がり、顔の絵を描いた野球ボール相手に話しかける。ユウキとはそのボールのことで、水原勇気から来ている。雪矢にとってお守りのようなボールだ。

「もう野球やめるしかないのかな」
 すると屋上の給水塔の上から「ふわぁー」と声がして、寝ていた長身の男子が姿を現す。「だ、誰!?」。1年前に暴力事件で野球部を退部になった天才型の投手・2年生の円谷だった。

●第2話以降のストーリー
 屋上で円谷と出会った雪矢。びっくりして、ユウキ(お守りのボール)を落としてしまい、ボールは円谷のほうへ転がる。野球のボール相手にひとりごとをしゃべっていた雪矢は、それを聞かれて恥ずかしい。

 そこへ捕手のモグラが登場。練習に参加しない雪矢を屋上へ探しに来た。1年前に退部した同学年の円谷とはお互いによく知る存在。
 円谷は「構えろ」とモグラを座らせ、雪矢のボールを拾うと、ダイナミックなフォームで快速球を投げ込む。あぜんとする雪矢。
 モグラはボールの余韻に浸りながら「円谷くん、戻ってきなよ。野球やりたいんだろ?」。去っていく円谷。
 雪矢は、円谷が野球部を辞めた経緯や、今は車椅子の母親を介護していることを、モグラに聞く。暴力事件は母親を侮辱されたためで、円谷は悪くなかった。孤独感をたたえた円谷にひかれる雪矢。

 野球部は3年生が引退。7人になった野球部は人数が足りないまま、秋の大会を目指して新チームが始動する。円谷を呼び戻したいモグラと、円谷をまだ許していない新主将の長谷川。
 そんな中、雪矢が「円谷さんと勝負します! 私が勝ったら野球部に戻ってもらう。私が負けたら……私が野球をやめる」と宣言。

 こうして雪矢と円谷の1打席対決が実現。しだれ柳カーブのほかに、新しい花火変化球「フェニックス」を駆使して、雪矢は空振り三振に討ち取る。円谷は野球部に戻り、雪矢を合わせて9人に。
 南雲監督が走ってやってきて「大ニュースです。高野連が秋の大会に女子の出場を認めました!」。世論に動かされた新潟県の高野連が、独自に決定をくだしたものだった。

 秋の大会が始まる。雪矢を目当てにマスコミも殺到。左投げで独自の花火変化球をあやつる雪矢と、右投げで粗削りの快速球投手・円谷を二本柱に、信濃川学園は快進撃。
 ボールの回転数や曲がり幅がわかるモグラ捕手のリードの巧みさや、南雲監督の合理的な戦術も注目される。

 南雲監督の理論は「高校野球とプロ野球では、正しい打順の組み方が違います。トーナメント式で、選手の能力差も大きい高校野球は1番に最強打者を置くのが最も効率がいい」や、「無死一塁からの送りバントが効率的かどうかは、相手チームの外野の守備力で決まります。走者二塁からワンヒットで生還できるか、その確率による」など。

 女子選手の出場を認めるにあたり、実験的に導入された新ルール「ヴィーナスポイント制度」も賛否両論があった。
 女子選手の出場イニングの総計により、得点が与えられるルールで、女子1人が9イニング出場すれば1得点になる。女子3人がフルイニングで出れば3得点。
 このルールを利用して得点を稼ごうとする学校が出てきたり、ヴィーナスポイント獲得のために試合中に負傷した雪矢がそのまま無理して出場を続ける、といったシーンが出てくる。そもそもこのルールは男女平等に則ったものなのか、議論が噴出する。

 廃部寸前だったのに、女子の出場によって活動を再開した弱小野球部があったり、さらに、強気な性格の雪矢に憧れ、野球部に入部を希望するジェンダーレス女子のサニー(性別自認は男)も登場。ますます個性的なメンバーが集った信濃川学園は、秋の大会の決勝へ進出する。
 優勝すれば、来年の春のセンバツ甲子園に出場できるかもしれない。決勝の相手は、夏の決勝で没収試合になった因縁の相手と同じだった。

 雪矢の実家は花火づくりを仕事にする花火師で、祖父は地元で名人とうたわれる有名な職人花火師。
 雪矢は高校を卒業したら野球をやめて、本格的に花火師の修行に入る予定だった。祖父の新しい花火をヒントに、雪矢も新しい変化球のアイデアを思いつく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?