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アンデルセンと歩くデンマーク文学の歴史

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今さらアンデルセンの話なんて……と思われる向きは少なくないのではないでしょうか。いったい私たちは、次のようなお定まりの書き出しを何度目にしたことでしょう。
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2022年4月の記事一覧

第8回「ナイチンゲール」を読む(後編)

 ここで物語世界の構成をもういちど確認しておきましょう。宮廷の中の世界は皇帝の支配の下に置かれた人為的制度の領域で、廷臣や従者たちはその秩序に従って生きています。その支配を象徴する文明的な装置が、整然と設計された巨大庭園です。世界の諸物を集約し人びとに誇示するという、近世以後のヨーロッパにみられたコレクションの欲望を具現化したこの庭園は、皇帝の支配領域の広さを示す指標になっているのです。  ナイチンゲールの生きる森の世界は宮廷的秩序の外側に広がる自然の領域で、そこには漁民