廃人、山に登る

7月、心がボロボロになった廃人は、山に登っていた。
山と言っても、頂上まで40分ほどの低い山。
全身から汗が吹き出し、服もビショビショ。
すれ違う人達と交わす「こんにちは」が、廃人の砂漠の心に、恵みの雨の如く染み渡る。
見ず知らずの人達がくれた、たったひと言のプレゼントが、廃人をひとりの人間として認めてくれたように感じた。
心が震え、そして、廃人は思った。
「言葉は、人を元気付けたり、人を肯定する為に使いたい。できるだけ」。
独りよがりの考えかもしれないけど…、偽善者と言われても、それが廃人の真の声。