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研究者だった私が誇れる、とある1つの爪痕

2022年9月1日に「株式会社POL」から「株式会社LabBase」への社名変更と新Purpose「研究の力を、人類の力に。」の発表がありました。
今回の発表をきっかけに少しでも「研究」について知ってもらえたらと思い、9月1日から1ヶ月間 #研究アドベントカレンダー を実施していきます。 この記事は、ついに最後の記事で、前日の記事は @kotaro iida の「研究の力が人類の力になるとはどういうことか」でした。

研究アドベントカレンダー

このアドベンドカレンダーもいよいよ最後となりました。
株式会社LabBaseで人事/ブランディングなどを担当している伊東です。
ここまで、社内メンバーが研究に関する多くの記事を書いてきてくれました。「研究ってすごいんだ」「研究ってまだまだ課題と可能性があるんだな」と思ってくれていたら嬉しいです。だからもう私は正直書くことがありませんw 
ということで、かっこよく締めることは諦めて、元々研究者(大学院生)だった時のリアルな話と唯一誇れることについて書こうと思います。


研究者としてのプロフィール

2007~2011 都内大学薬学部
テーマ:多発性骨髄腫という血液系の癌に対する新規治療薬の開発
2011~2013 都内大学院薬学研究科(薬学修士)
テーマ:希少疾患治療薬に関する薬学ー経済学横断的解析

まず、研究してこい

「どんな研究しようかな〜」
研究室選択の時期、私は迷っていました。
そんなある日ネットで色々と検索していると、薬剤師の資格を持った方がMBAを取得してビジネスの世界で活躍している記事を見かけました。
「薬学とビジネスを掛け合わせた領域ってうちの学部にはない内容でなんか面白そうだ!」
特に計画も戦略もないまま、面白そうという感覚だけを背負って、先輩に相談したところ「S先生に相談してみれば?」とアドバイスをいただき、学部内のS先生に相談をしてみました。
伊東:「S先生、この記事みまして薬学×ビジネスの内容でなんか研究してみたいです。」
S先生:「お前何も研究してないんだから、まずは薬の研究してこい、話はそれからだ。」
・・・と返されまして、私は抗癌剤を研究する研究室を選択しました。


細胞、マウス、細胞、マウス、人、細胞、マウス、、、実験を繰り返す日々

抗癌剤を研究する研究室をH研究室と呼ぶとします(当時の担当教員の頭文字)。H研究室では、多発性骨髄腫という癌に対する新薬候補となる化合物の効果を検証するため、とにかく細胞やマウスと対峙する日々でした。人と接するより多い時期もあったような気がしますw
大変なことも多かったですが、新薬候補となる化合物で癌を消滅させることができた時には、「こういった小さな成果の積み重ねが人類のためになるんだな」という思いを持てたことを今でも覚えています。新薬が開発されるまでには10年単位、数百億円の開発費用がかかると言われてますので、その小さな小さな一端に関われたことはとても大きな財産です。
薬学×ビジネスの研究をしたい思いを胸に抱えながらでしたが、H研究室では充実した研究生活を送ることができました。

それっぽい写真がこれしかなかったのですが、一応白衣を着て研究してました。


そんなことは薬学部がやるものではない

卒論を無事書き終えて、やりたかった「薬学×ビジネス」の研究を行うためS先生の研究室(S研究室)に入りました。意気揚々と何から研究しようかな〜と考えていた頃、「薬学×ビジネス」の話をとある先生にしたところ「そういうのって薬学部がやるものではないんじゃないの?ここの環境でできるの?」と言われました。がーーん。
確かに、飛び込んだはいいものの教育環境はほとんど整っていません。S先生もバリバリの理系研究者なので、ビジネスや経済のことが詳しい訳ではありませんでした。途方に暮れる中、なかなかこれといったテーマが決まらず、貴重な修士過程のうちの半年くらいをダラダラと過ごしてしまいました。


ないなら作ればいい

環境が整っていなければ、整っているところに突撃しよう。ということで、ビジネスを学ぶ場所といえばビジネススクール。同大学内にあるビジネススクールに通うことにしました。そんな制度は当時なかったのですが、おそらく初めて薬学部生がビジネススクールの授業を受けることができました。
そこで、S先生からの紹介で薬学とビジネスを関連させた研究を行っているN先生と出会いました。
N先生:「ほ〜、面白いですね〜、やってみましょうか〜」
ということでS先生、N先生と共に「薬学×ビジネス」の研究生活が始まりました。薬学部として初の試みでした。ないならその環境を作ってしまえの精神でなんとかそれらしい研究を開始することができました。


学部長室に突撃!

その後は昼夜土日を問わず一心不乱に研究に取り組み、学会での口頭発表も経験できました。それなりにユニークだったこともあり、色々な人に声をかけてもらうこともできましたし、日本薬学会で優秀発表賞もいただくことができて、10年ほど経った今でも面白い研究ができたなと思っています。
さて、研究を進めるうちに「この領域で研究する環境をもっと整えたい」という感情が芽生えました。そこで、S先生に許可を得て学部長室にノーアポで突撃しました。
伊東:「学部長!薬学部生がビジネスを学べる環境を作るべきです!」
学部長:「"#$%&'()('&%$」
・・・何を言われたか覚えてないのですがw、とりあえずこの数年後薬学修士とMBAを取得できるコースができたとS先生に教えていただきました。

あ、あった。なんとか、嘘じゃないことが証明できました


道を作れたことが私なりの誇り

さて、タイトルにある「とある1つの爪痕」についてですが、これは抗癌剤の研究のことでもなく、学会で受賞したことでもありません。「薬学×ビジネス」という研究領域をその学部内で道を作れたことです。(今ではもう当たり前のようになっていると思います。)
きっかけはネットでたまたま見つけた記事。そこからの探究心だけであれやこれやと行動してきたのですが、なかったものを作れたことは研究者として唯一誇れることだったなと思っています。


LabBaseもかくありたい

翻って、LabBaseにおいても、こんな価値提供や働き方を実現できる組織でありたいなと思っています。なかったら作り出す、生み出す。そして、研究活動の多くは日々の泥臭い地道な活動ばかりです。ここは絶対に避けては通れません。ビジネスにおいても重なるところがあるのかなと思っています。私はLabBaseでもそんな研究者のような生き方/働き方をしていきたいなと思っています。

研究者一人一人にきっと思い出深いエピソードがあると思います。きっとどれも困難なこがあったりとんでもない出会いや発明が潜んでいることも多いでしょう。もし身近に研究者の方がいたらちょっと突っついて聞いてみると面白い"爪痕"の話が聞けるかもしれません。


ここまで、株式会社LabBaseの研究アドベンドカレンダーをご覧いただきありがとうございました!
「研究の力を、人類の力に。」というパーパスを掲げ、研究エンパワープラットフォームの提供に向けてこれからも"研究"と"発明"をし続けます!

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