BPMについて
はじめに
Box Plus/Minusは、Daniel Myersによって作られたボックススコアのデータを基にしたオールインワンメトリックです。BPMの計算で必要となるデータは、ボックススコアのデータに加え、ポジション、そしてチームのORTG/DRTGです。Play-By-Playなどの特殊なデータは一切使いません。
BPMはO-BPM(オフェンス)とD-BPM(ディフェンス)に分けることができますが、二つを足したBPMが総合的な値として算出されます。算出された数値は100ポゼッション換算のチームの得点への「貢献」です。
BPMのリーグ平均は +/- 0.0と定義されています。ただ、リーグ平均を超える選手が長くプレータイムをもらうので、リーグ平均以下(つまりBPMがマイナスの選手)の選手の方が数としては多くなります。
Basketball Referenceに記載されているNBAでのBPMの参考値は以下となります。
+10.0 は史上最高クラスのシーズン(ジョーダン、レブロンの全盛期程度)
+8.0 はMVPに値するシーズン(ノビツキー、シャックの全盛期程度)
+6.0 はAll-NBAに値するシーズン(シーズンでトップ15程度)
+4.0 はオールスター程度のシーズン
+2.0 はスターターの中でも上位のレベル
+0.0 はスターターレベル、もしくは上位のシックスマン程度
-2.0 はベンチプレーヤー(Replacement Levelと定義されています)
-2.0 以下はベンチエンドの選手
あくまでもNBAでの話なので、Bリーグではここは参考程度と考えてください。
計算方法の概要
BPMは、まずチームのパフォーマンスを見て、そのチームに所属している選手を均等に評価します。言い換えると、まず最初のステップで、チームが良ければみんな活躍をしていて、悪ければみんな悪い、というような仮定を一度しています。
次に、ボックススコアのデータのデータを見て、均等に評価した選手たちに差をつけていきます。この時に、BPMは選手のポジション(1.0がポイントガード、5.0がセンター)とオフェンスの役割(1.0がクリエイター、5.0がレシーバー)を推定します。センターが1ブロックをするのと、ガードが1ブロックするのでは、ガードの方がポイントが高く設定されていたり、クリエイターがシュートを一本外すのとレシーバーが一本シュートを外すのでは、レシーバーの方が大きく罰せられたりします。このポジション推定とオフェンスでの役割の推定はBPMの特徴であり、興味深いところです。選手の特徴を2つの軸でとらえることから、ポジションを二次元で見るとも言われます。
BPMは、意図的にシンプルなボックススコアスタッツだけで計算できるようにデザインされています。NBAでは、歴史が長く、データ分析の進化や、テクノロジーの進化によって最近とられ始めたデータがありますが、それらをあえて使わないようにできています。Bリーグにおいても、BPMはほとんどのデータがBリーグ公式のスタッツのページに載っているものから計算が可能になっています。
このような背景もあり、BPMには課題も多くあります。ボックススコアにはオフェンスに関する項目はたくさんありますが、ディフェンスに関する項目はスティール、ブロック、リバウンドの3つほどしかありません。これだけではディフェンスの評価は難しく、限界があります。
BPMではオフェンスの評価は比較的よく反映されており、総合的な値であるBPMもよくできていると感じますが、ディフェンスの値は参考程度と考えてください。
計算の大まかな流れは以下になります。
1. シーズン全体のデータを使って、選手のポジションの推定(1.0がポイントガード、5.0がセンター)とオフェンスでの役割(1.0がクリエイター、5.0がレシーバー)を計算する。
2. ポジションとオフェンスの役割の推定値に基づき、計算で使われる係数が決定される。係数は、ポジションとオフェンスの役割に基づいて変化するものもあれば、変わらないものもある。
3. 選手の得点を、チームのコンテキストに合わせて調整する。
4. 与えられた係数と調整した得点を使い、一次的にBPMを計算する。
5. チームのBPMを合計し(出場時間の%で重み付け)、これをチームのネットレーティングと比較する。
6. 上記チームの合計がチームのネットレーティングになるように、チームのすべてのプレーヤーの一時的なBPMに定数を追加する。
7. 一次的なBPMにチーム調整を加えたものが、最終的なBPMになる。
具体的な係数や計算方法はBasketball Referenceのページと、以下のSpreadsheetをご覧ください。
また、BリーグのBPMは、ウェブサイトの方で公開をしています。2017-18シーズンまで遡れるので、興味のある方は是非見てください!
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