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3次元設計の精度と誤差

3次元設計に立ち向かう勇者が必ず立ち向かわなければならない問題のひとつに、モデル作成精度と誤差の問題があります。
合う、合わない。3次元をしたのに合わない。
断面切ったらズレてた。もう3次元いやだ。意味がない。
そんな闇に落ちそうなあなたに、この言葉を捧げます。
「仮にその通りにモノができたとして、困る程度の誤差ですか?」

モデルに必要な精度(土工構造物)

モデルに必要な精度は、設計対象物に必要な精度です。
土工構造物の場合は、以下の基準を参考にするとよいでしょう。

LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交換標準 の運用ガイドライン(案)Ver.1.4  P22~23

https://www.mlit.go.jp/tec/content/001395567.pdf

これより、道路の土工構造物においては基準位置において誤差2cm以下が目安となります。なので線形に沿った計画部分では、まあ1mピッチで点を作っておけばだいたいOKです。使うときもわかりやすいし。
ちなみに上記の算式で計算すると、近似線の長さ1mのときに円弧と近似線の差が0.02mとなる円弧半径は6.25mです。
ちいさな交差点の巻込部とかは、少し密に点を作る方がよさそうですね。

逆読みするとモデルの誤差はある程度許容される

上記のもう一つの読み方ですが、モデルの誤差は基準位置においても2cm程度を許容するということです。
よくあることとして、横断面図を作成する際に下二桁または三桁メートル丸めの道路中心高から作図しますが、三次元モデルはフル桁で作図しないと凹凸が出るためフル桁で作図します。そこでまず誤差が発生します。
※丸め誤差というやつです
また、面と面を干渉したりすると誤差が倍々ゲームのように増えていきます。ですので、検証のために断面を切ると誤差が発覚したりします。
たとえば、上記の2cm(のり肩部で)を満足するようにモデルを作成しても、のり面の端に行くにしたがってどんどん誤差が増えていきます。
でも、そんな端の方での誤差ってそんなに重要ですか? 土木で扱うのはだいたい土ですから、草が生えたらもうどこが端かもわからなくなります。また、土木で扱うもの(土とかコンクリートの塊とか橋etc)って意外と変位しますからね。基準とするもの自体が動いているなんてことも多々あります。
ですから、誤差が発生しているという事実よりも、その誤差がなぜ発生しているかが重要なのです。土工関係のモデルにおいて誤差が少々出ても、その原因がわかっていれば許容できる場合が殆どでしょう。

ということで。

2次元の断面位置でのミクロな誤差を云々語るよりも、3次元で全体的な不整合をなくすことの方が重要です。

「仮にその通りにモノができたとして、困る程度の誤差ですか?」

3次元モデルから切り出した2次元図面に誤差がみられても、それは3次元設計を行った証です。誤差の原因がわかっておりそれが許容できるものであれば、堂々と提出してやってください。

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