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"ロサンゼルス"エンゼルスのあるべき姿

みなさんはエンゼルスがどこに本拠地を構えているかご存知でしょうか。

日本ではすっかりお馴染みになりましたね。カリフォルニア州アナハイムです。

NHKの中継でも、「ロサンゼルスを名乗ってはいるが、本拠地は40kmほど離れたアナハイムにある」と度々紹介されていましたよね。

エンゼルスは1961年に創設されましたが、球団創設から改名を繰り返してきました。

Wikipediaより

1961年から1965年までは実際にロサンゼルス郡ロサンゼルス市内に本拠地があったそうなのですが、ドジャースの人気には敵わずオレンジ郡アナハイム市へと移転。それに伴い『カリフォルニア・エンゼルス』へと球団名を変更しました。その後『アナハイム・エンゼルス』、『ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム』を経て、現在の球団名にして創設当初の名前でもある『ロサンゼルス・エンゼルス』に変更されました。

名前はその球団の経営方針を示すものです。2004年シーズン終了後、『アナハイム・エンゼルス』から『ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム』に変更された際、その趣旨は「商業圏をロサンゼルス全域に広げたい」とのことだったそうです。

本拠地がアナハイムなのにも関わらず、ロサンゼルスを冠した球団名にするという戦略は、大谷翔平がエンゼルスに在籍していた時期においては上手く機能していたと思います。「LA行くついでにオオタニサン見に行こ!」と考えた日本人観光客がどれほどいたことでしょう。仮に球団名が『アナハイム・エンゼルス』だった場合、LAとエンゼルスをすぐに結びつけられる人は少なかったのではないでしょうか。

しかしながら、知っての通り彼は今シーズンから"ロサンゼルス"ドジャースでプレーします。マジもんのLAです。LAで観光&オオタニサンの活躍を楽しむという行為は、ロサンゼルス市内で完結してしまいます。そこからアナハイムまで足を伸ばすのは、せいぜいディズニーが好きな人に限定されてしまうのではないでしょうか。

となると、エンゼルスはドジャースとロサンゼルスでまともにやり合っていてはいつまで経っても優位を築くことはできないでしょう。日本人は憧れのLAキャップを意気揚々と被り、オオタニサンの活躍を観に行くはずです。

そこでエンゼルスに求められるのは経営方針の転換です。エンゼルスは『アナハイム・エンゼルス』へと改名し、地域に根差した球団を目指すべきです。

エンゼルスが本拠地を置くオレンジ郡は、都市圏人口300万人以上を誇っています。この数字はボルティモアやセントルイス、ピッツバーグなどの都市圏人口を上回っています。

つまりエンゼルスは、ロサンゼルスの名を借りなくとも十分にやっていけるだけのマーケット規模を有しているのです。実際『アナハイム・エンゼルス』時代のエンゼルスは、アメリカン・リーグでも上位に食い込む観客動員数を記録していました。

また過去のデータから見ても、無理にマーケット規模を広げようとするよりも、地域に根差した経営を行った方が良いということがわかります。試しにマイアミ・マーリンズのデータを見てみましょう。

改名前3年間と改名後3年間を比較

マーリンズは球団創設から州名の『フロリダ』を冠していましたが、2011年オフに『マイアミ・マーリンズ』へと球団名を変更。変更後チームはさらに低迷したにも関わらず、観客動員数はフロリダ時代と比べて100万人ほど増えています。

他にも「対象とするマーケットの規模を縮小させる」という点で共通の、ビッグマーケット地域からスモールマーケット地域へと移転した球団を見てみましょう。ブルックリンからロサンゼルスに移転したドジャースと、マンハッタンからサンフランシスコに移転したジャイアンツです。

移転前3年間と移転後3年間を比較

1950年代のニューヨークは、ミッキー・マントルやヨギ・ベラといったスター選手を擁するヤンキースに熱狂していました。その一方で古くからニューヨークに本拠地を構えていたドジャースとジャイアンツの人気は低迷。二球団は西海岸への移転を決定しました。当時のロサンゼルスとサンフランシスコはニューヨークと比べればスモールマーケットでしたが、それでも観客動員数は二球団とも倍増しました。

他にもレッドソックスにボストンから弾き出されたブレーブス、カーディナルスにセントルイスから弾き出されたオリオールズについて調べてみましたが、いずれも観客動員数の増加という観点からは成功したといえそうです。

以上を踏まえると、エンゼルスは無理にロサンゼルスでドジャースと競合するよりも、地元に密着した球団経営を目指すべきではないでしょうか。繰り返しになりますが、エンゼルスの本拠地はロサンゼルスではなくアナハイムです。ディズニー・ランドがあります。Vansがあります。穏やかで心地良い南カリフォルニア文化が根付いています。何より、チームが弱くても球場に足を運んでくれる素晴らしいファンがいます。大谷翔平なき今、エンゼルスは足元にある経営資源を一つひとつ大切に活用していく必要があるのではないでしょうか。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

【References】

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