令和2年論文本試験の感想②

 前回の記事の続きとなっています。②では、2日目の科目である、会計学・選択科目(経営学)について述べていきます。①をご覧になっていない方は是非①も読んでみてください。
https://note.com/billion_billion/n/n334d7d96d647

 それでは、早速書いていこうと思います!

【会計学(管理会計論)】
 第1問について、計算は典型的な論点の出題が多くを占めた印象で、解答困難な問題の出題はありませんでした。ただ、1-2の計算では、端数が複数の計算段階で発生したため、緊張状態の中で処理させるには意地悪な出題だったと思います。また、理論について、1-1はド典型でしたので、高クオリティーが求められた印象です。一方で、1-1・1-2のいずれについても会話形式であったため、苦手な方は困惑されたと思います。しかし、後にも述べるように、第2問が相当難しかったので、本年度においては、第1問である程度稼ぐ必要があったと思います。第1問としては比較的易しめの難易度であったといえるでしょう。

 第2問は、推定が多く、その中でも2-1は相当難しい推定問題であったので、ほとんど解けてない方が多くいたと思います。従来は予算管理(差異分析)というと、比較的取りやすい印象があるため、上手く撤退できずに時間を浪費した方もいそうですね…個人的には、2-1の問1と2-2の計算で部分的に点数を獲得できれば問題ないと思います。レベルの低い戦いとなると予期しています。

【会計学(財務会計論)】
 第3問は、個別CFとソフトウェアが出題されました。例年と同様の出題形式でした。個別CFの計算は標準的な問題であり、特に目新しい論点もなかったので確実な正答が求められた印象です。もっとも、CFは苦手な方も多いので、意外にばらつきが出るかもしれません。理論については、多くの方が部分点を獲得できていると思います。一方、ソフトウェアの計算問題は多くの方が驚かれた出題だったと思います。論点も非常に細かいものが多く、第3問としては難問だったと思います。部分点を確保できれば十分でしょう。理論については平易な出題でした。

 第4問は、収益認識基準・固定資産の原価配分・有価証券・外貨換算が出題されました。非典型的な論点からの出題が多く、昨年と比較して相当難しかったと思います。
 収益認識基準は、代理人の履行義務と変動対価について出題されました。代理人の履行義務は基準では記載されておらず、適応指針の論点であったので、準備した方とそうでない方で大きく差が開いたと思います。変動対価については、事例からの読み取りも求められたので、書きにくい印象でした。基準の文言を引用できてれば十分だと思います。
 固定資産の原価配分の論点は、論文重点出題項目外からでしたので、ほとんどの方が対応できなかったでしょう。いわゆる埋没問題と考えています。昨年度も第4問に本問のような非典型問題が1つ出題されていたので、試験委員が意図的に作問していると思います。白紙にして他の問題に時間を回すのも戦略の一つだったと思います。
 有価証券の論点では、仕訳について問われました。確実に正答したいところですが、意外なミスが多発していそうでもあるので、ここで得点するのは大きな意味を持つと思います。理論については、典型・非典型が混ざっていたので典型部分で部分点を取れれば十分だと思います。
 外貨換算については、難問が多く占めた第4問の中でも唯一典型的なサービス問題だったと思います。さらに、記述以外にも記号や換算方法を問う簡単な問題もあったので、問題4で点数を積み上げるのが、今回の勝負だったと思います。

 第5問は、例年通り連結を中心とした問題が出題されました。計算については、例年よりも易しめな問題でした。昨年は、支配獲得時における子会社の識別可能資産の取り扱いや、全面時価評価法により評価替えされた資産の親子間取引の取り扱いなど、現場対応が求められる問題が出題されていましたが、令和2年は、基本的にストレートな論点が目立ちました。正直、目新しい論点がないので、21年目標の方であっても、現段階である程度点数が取れるかもしれません。しかし、僕自身は、本年度の問題は簡単そうに見えて、意外にも実力差が出る良問だったと思います。
 今回のテーマは基礎力を問う出題だったと思います。例えば、2年分のB/Sの数値が問われましたが、連結の範囲が頻繁に変更されていたので、冷静に単純合算ができない人が一定数を占めていると思います。また、連結包括利益計算書の数値を求める問題でも、①非支配株主持分相当を含めるか否か、②支配の喪失を伴わない一部売却で取り崩したその他の包括利益の取り扱い(包括利益概念)が論点として絡んでおり、基礎的ながら冷静な対応が求められていました。連結会計について、論文期では、各予備校は細かい論点を問う印象がありますが、本試験は基礎的ながら考える問題も多く、令和2年でも、そのような方向性を感じられたので、僕自身は楽しかったです。
 理論については、例年通り、計算に絡んだ会計処理を問う問題が出題されました。ただ、書きにくい問題が多かったと思います。時間の制約を鑑みるに、本年度においても、第5問は計算の出来が勝負を分けると予想しています。

【経営学】
 話題のとおり、相当難しい回でしたね…僕は平成26年以降の過去問には目を通していたのですが、令和2年は計算・理論ともに過去最難関レベルだと思います。事前の準備があまり功をなさず、現場対応力が強く求められました。ポケコンを必死に覚えた時間を返してほしいですね…笑

 第1問(理論)において、1-1はイノベーションが問われました。イノベーション自体は警戒されていたものの、大原で学んだ方向から外れた出題が多くを占め、説明問題は前後の文から推測することしかできない作文問題でした。また、単語系もほとんどテキストに載っておらず、載っていたODMについても、文中の表現と相まって、EMSと困惑された方が多数いると思うので、大原生として簡単と思う問題はありませんでした。新試験委員対策がとことん外れましたが、ファイナル答練や公開模試②で初見として出題された問題が多かったのでびっくりしていました。
 1-2では、組織論が出題されました。ただ、こちらも非典型問題が多かったです。数学的な問題も2題出題されて驚きました。ただ、1-1と異なるのは、現場対応で何とか対応することは可能であったということです。そのため、差が開くのは1-2の現場対応の出来だと思っています。

 第2問(計算)において、2-1ではマルチファクターモデルが問われました。正直、解いてて訳が分かりませんでした笑 ただ、指示通りに数式に当てはめれば、ある程度は点数が取れる形式でしたので、冷静さが問われましたね…それでも一部の問題は埋没問題だと思います。
 2-2は利回り系が問われました。比較的基礎的な問題も多かったですが、一部資料を上手く利用することが求められる出題も見られて、良いバランスだったと思います。
 2-3はペイアウト等が問われました。こちらも2-2と同様、基礎的な問題が多かったのである程度点数を稼ぎたかったところだと思います。
 2-4はボーモル・モデルとEOQが問われました。正しく、非典型的な問題であり、現場対応力が求められました。できる人は稼いできそうですが、全然できていなくても問題ないと思います。勝負は2-2と2-3だったと思います。


 以上となります!前回より長文になっているかもしれませんが、読んでいただきありがとうございました!
 ①でも述べたように、これはあくまでもdyeの個人的な感想に過ぎず、実際の感想等は受験生ごとに異なったと思います。中には、問題の難しさに心が折れてしまっている方もいると思います。しかし、この試験は相対試験です。自分が難しいと思っている問題は、他の受験生も同じように感じているはずです。なので、必要以上に落ち込む必要はないと思います。切り替えはなかなか難しいものだと思いますが、過去の結果は埋没であり、いくら悔やんでも変えることがありません。そのため、過去の経験を生かしてこれからどうあるべきかを考えることが大切だと思います。管理可能なのは過去や他人ではなく、これからや自分自身だと思います。
 僕自身も、今回の記事をもって、合格発表までは論文式試験のことは考えない予定です。合格発表まで不安はありますが、就活に向けて精進しようと思います! 20年目標の皆さんもあと少しだけ頑張りましょう!

 ここまで読んでいただきありがとうございました!時間がかかるので、次回の更新は未定です🤢 最後の更新にならないよう頑張ります…
 

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