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”ありがとう”を浪費しない~セルビアにおける感謝の受け止め方

セルビアでいいなーと思う事の一つが、人々のホスピタリティの高さです。

随所で良くしてもらう、おもてなしをして頂くので、感謝の意を示すために、Thank youとかI appreciate xxxと伝えるのですが、、、、

そんな中で、何度か『そんなにThank youって言わないで』って言われるがありました。


■仕事が忙しい中、先方にメリットもないのに、時間作って会ってくれる
■こちらから頼んで会って頂いたのに、『セルビアに来てくれたから、ここは絶対私がもつ!』とコーヒー代を払わせてくれない。
■定番の共和国広場で待ち合わせしても、カフェ入る前に、『時間があるなら街も案内するよ!』って言って、色々案内してくれたり。

その度に、『会ってくれてありがとう!』『話聞かせてくれてありがとう』『コーヒーありがとう』と伝えるのですが、
数名の方から『そんなにThank you!って言わないで~』と言われます。


『どうして?』と聞くと、、、

『当たり前の事をしているのに、必要以上にThank youって言わないのよ!』との事。


必要以上にThank youを連発すると、罰金で数十円空き缶の中に入れるって風習?ゲーム?もあるとの事です。(どこまで本当かは分かりませんが


『私たちはメディテレニアン(地中海)の文化だから、西欧文化とは違うのよ』と言う人もいました。

セルビアは内陸国。地中海からは離れていますが、南欧の文化ということなのでしょう。

Thank youと言葉で表せないならば、、、
『どうやって感謝の意を示せばいいの?』って聞くと。。。


『うーん。普通にただただ、受け入れればいいんだよ。』と返ってきます。


なるほど~!文化ですね。

当たり前の事をしているのだから、感謝の意を示す必要はない。


とっても素敵だなと思いつつ、逆にこの方々が違う文化圏に行ったらどうなるか?気になるところです。


『ありがとう』を連発することで感謝の意を示す文化圏へいったら、どうなるのか?
『ありがとうもないのかよ。無礼だな』と誤解されてしまうかもしれません。


ちなみに、私が元々いたウガンダの公用語ルガンダには、『ごめんなさい』を表す言葉がないと言われています。
『お気の毒に』を表すSorryや、『許してほしい』を表すForgive meはありますが、相手を迷惑をかけた際に謝る『ごめんなさい』に当たる言葉がありません。

最初の頃は、謝らない人に対して、『なんだよ!』と憤りを感じる事もありました。
もちろん、英語のコミュニケーションなので、Sorryと謝る人も多くいますが、言わない人もいます。最初は『謝らない人だ。無礼だな。』と個人の性格や誠意のせいだと思っていましたが、上記を知り、考えが改まりました。

こういう直訳できないコミュニケーション、表現は、機械翻訳では難しいところ。

これだから、異文化に触れるのはおもしろいです。

スキンシップやボディタッチにも同じ事が言えます。
例えば、日本人はラテン文化と比べてスキンシップやボディタッチが非常に少なく、パーソナルディスタンスも広い。


スキンシップが少なく、相手との距離が遠いからと言って相手と親しくないとは言えないわけです。

さて、ここからは私の完全な私見ですが、セルビア人がなぜ、こんなにもホスピタリティが高いのか?を文化や歴史的背景から考えてみることにしました。


(歴史的、文化的な理由を考える以前に、非常に良くしてくれたセルビア人の友人達に感謝をしており、敬意を持ちつつ、ここまで皆が良くしてくれた事に、集団として文化的背景がないか?の好奇心からの考察です。気を悪くされた方がおりましたら、すみません。)

このバルカン地域、特に今のセルビアのある地域は、いにしえの時代から大国の狭間で争いの拠点になる場所でした。
近代においても、北のオーストリア帝国(ハプスブルグ帝国)と南のオスマン帝国(イスラム帝国)の狭間で揺れた地域です。
大戦後の旧ユーゴスラヴィア時代においても、西側(アメリカ・西欧)と東側(ロシア・中国)の狭間にある中で、どちらにもつかず、社会主義だがソビエト連邦には入らず、西側とも仲良く付き合う、非常に卓越したバランス感覚のある外交政策をとってきました。

現代においても、ヴチッチ大統領は八方美人外交と言われ、EU加盟を目指しEUとも良い関係を保ちながら、中国・ロシアとも非常に良い関係を保っています。

この歴史的、文化的背景から、外国人、他民族に対して偏見を持たずに接する。おもてなしをもって迎える精神が発展したのかもしれない。とも感じました。

私自身は、今回が初めてのセルビア滞在ですし、セルビアが旧ユーゴスラヴィア連邦の一国だということも、渡航時に調べて思い出した程度の知識です。文化人類学、社会学、民族学などにも触れていません。

ただ、外国で異文化に触れた際に、違いを認識し、
その違いの根本となる要因を歴史や文化、社会の背景から思いを馳せることが、異文化体験の醍醐味だなと思います。

上記が事実かどうかが大事なのではなく、この思考のプロセスを繰り返す事で多面的に文化を捉え、相手文化への解像度が上がることが、異文化理解なのかなと思っています。

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※以前に、異文化コミュニケーションについての記事も書いています。


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