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【神奈川のこと102】平成、昭和それぞれの象徴(横浜市西区/インターコンチネンタルホテル、中区/ホテルニューグランド)

生暖かい風が吹く1月最後の日曜日。昼下がりのJR桜木町駅に降りた。

よって、これを書く。

職場同僚の結婚披露宴に出席するため、インターコンチネンタルホテルに向かって歩く。

新郎新婦は共に在日韓国人。席次表を見ると、日本の苗字が圧倒的に少ない。女性の出席者にはチョゴリ姿が目立ち、美しい。そして、気になる司会者は、日本語と韓国語の両方で進行する。聞けば新郎の大学時代の先輩という女性。素敵だった。透き通った声で語る韓国語、今でも耳の奥に聴こえる。

横浜を舞台に溶け合う韓国文化と日本文化。それはふだん味わうことのできない不思議な感動を覚えた。

過去に似た経験をしたはずだと記憶を辿る。すると12年前の平成24年(2012年)、大阪単身赴任時代に観た韓国舞踊に行き着いた。場所は大阪国際交流センター。あの観客席に座り、込み上げてきた熱い想いを思い出す。

それにしても披露宴会場の天井は高く、まるで大きなカテドラルにいるような気分となる。平成3年(1991年)開業。当時、東海大学の3年生。そう、あの半月形、いや当時は確か三日月形と言っていた外観を、新しい時代、平成の象徴として見ていた。

そんな感動と祝福の内に宴はお開きに。「でもまだ4時半だぜ」ということで、列席の二人とタクシーに乗り込み、山下公園へ向かった。

ホテルニューグランドのバー、シーガーディアンに行こうという。

到着してみると開店までまだ15分ほどあったので、山下公園をぶらぶらと歩く。1月下旬にしては生暖かい潮風には皮肉な優しさがあり、横浜の空はやけに遠く感じた。

1階にあるバー、シーガーディアンⅡ。静かに飲んで、静かに酔った。

帰り道、連れの二人をホテル前でタクシーに乗せて見送ると、中華街を通ってJR石川町駅まで歩くつもりだった。だが、夜になってもなお生暖かさの残る風の中を往くと、このままでは駅までたどり着けないのではないかという心細さに見舞われた。だから近くのバス停で市営バス20系統に乗り、JR山手駅まで運んでもらった。そして無事、大船まで帰ることができた。

ホテルニューグランドの1階は天井が低く、歴史と趣が伝わってくる。
昭和2年(1927年)開業。マッカーサー元帥も泊った昭和の象徴とも言える建物。東海大相模高校3年生の昭和63年(1988年)、昭和が終わるその年に、従姉の結婚式で訪れたことを思い出す。

いつか、いつの日か。シーガーディアンⅡのバーカウンターに独り腰かけ、「横濱開港カクテル ウイスキートディ」を舐めつつ、バーテンダーとちょっとした会話を交わす。

そんな粋をやりたければ、まずは、常連客だった大佛次郎を読むことから始めましょうかね。

平成と昭和の象徴を巡った1月末の生暖かい日曜は、このように暮れた。

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