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【沖縄→北海道】Day03 瀬戸内から日本海へ

【山口県周南市から鳥取県倉吉市へ】日常使いしている110ccのSD(ベトナムHONDA製スーパーカブ、Super Dream)号で、沖縄から北海道まで6泊7日で走りきる? 机上では大丈夫そうなので、実際に走ってみました。……3日目も快晴。瀬戸内から日本海に抜ける中国山地越えは、予想以上にタフでした。

3日目も快晴、申し分のないツーリング日和です。シングルルームのカーテンを開けずともそれはわかるのですが、残念ながら起き上がれません。二度寝三度寝と繰り返し、結局ホテルをチェックアウトしたのは10時過ぎでした。

ホテル前で出発準備も日々要領を得、毎朝時短

本日のゴール、宿は鳥取県中部の倉吉市です。瀬戸内から日本海側に出るわけです。SD号は原付二種ゆえ自動車道に入れませんから、本州北上に背骨側の日本海ルートを選びました。京阪神、中京、そして首都圏の国道は常に交通量が多くストレスフルだからです。倉吉で日本海側に出てから、秋田の牡鹿半島手前まで日本海を左手に走る予定です。

山口県周南市から鳥取県倉吉市へは中国山地を越えつつ東に進むのですが、距離感がよくつかめません。広島、岡山を経由する一般道ルートをナビで検索したら400㎞強。案外あるなあ、というのが正直な感想です。

山口県内のガードレールはなぜか山吹色

中国山地を貫く三桁国道は交通量も少なく走りやすいのですが、結構険しいです。考えて見ればこのあたり、飛行機か新幹線、中国自動車道等で通過することばかりで、丹念に走るのは初めてな気がします。それにしても山口県の道は、舗装の美しさは印象的でした。やや濃いめのイエローでガードレールが塗色されているのも独特です。

中国山地に分け入れば川の美しさに目を奪われる

広島県安芸高田市で昼となったので、国道54号線沿いにあった『お好み焼 大ちゃん』に入りました。広島だからお好み焼、と素直な選択です。女将さんがひとりで切り盛りしています。正直ほっとしました。お昼の休憩時間は貴重です。この後、宿までほぼ走り詰めなので、道の確認やメールのチェック、返信など、走っている時より忙しいのが実情。放っておいてもらえると助かります。

安芸高田市『お好み焼 大ちゃん』の豚ネギは750円
外装メンテ中の店はクリストとジャンヌ=クロード作品のよう

旅先、一期一会の店でそんな不粋な、とは思うのですが、スマホの便利を受け入れた途端そうせざるを得なくなりました。……やがて鉄板の上にやってきた豚ネギは、さすが広島、の美味でした。それは女将さんの善意による小さな宇宙のよう。連日の移動で疲れが累積していたところ、優しく腑に落ちました。

JAのGSが中国地方には多い。鳥取県日野町にて

そこからは淡々走り続け、19時すぐにはJR山陰線 倉吉駅近くのホテル『ホテルアーク21』にチェックイン。さて夕飯です。でも店でひとり食べる気力がありません。フロントで聞いた近くのスーパーマーケット『新あじそう パープル店』で何か買って部屋で食べようと思います。

カゴを下げ鮮魚コーナーを眺め「ああ」と声が漏れました。並んでいるイカと海老が見事です。トレーへの盛りも豪快、ひと目で鮮度の良さがわかります。それでいて価格は二度見するほど安い! ああ日本海に出たのだと実感できました。

しばし立ち止まったのは、缶ビールコーナーの前です。どれをカゴに入れるべきかが分かりません。迷うのではなく、手が伸びない。……もうビールはいらないようです。疲れてはいますが妙なストレスは無く、気晴らし不要になっていました。そういえば沖縄を出てから、コーヒーも飲んでいません。喉の渇きには水だけで十分です。 (つづく)

――この沖縄 喜屋武岬から北海道 宗谷岬への6泊7日旅の全貌は本誌特集「走って走って日本縦断記」でお読みいただけます。とにかく目まぐるしく慌ただしく、時に均一化進む郊外景色に自分自身を見失うことも……。旅は2022年5月、スタートした喜屋武岬の気温は27℃、ゴールした宗谷岬は6℃台でした。

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出典:バイカー春秋 創刊4号

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