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バイクのインジェクション化は、歓迎です。だがしかし...①

 以前に少々触れたと思うが、バイクのインジェクション化には、未だに馴染めない。とは言うものの、所有していないわけではない。多分知らない方が多いと思うが、イタリアで生産されていた、マラグーティというメーカーのマジソン3というビッグスクーターである。

 インジェクションで乗るのは、スクーターが良いと個人的には思っている。乗り味よりも使い勝手や、利便性が優先される乗り物だと思うからだ。
 そこで、選んだのがマラグーティマジソン3だった。国産のビッグスクーターも考えたのだが、スポーツスクーターと呼べるものが無かった。確か、まだHONDAフェイズがデビュー直前だったと思う。
 
 選択する理由の一番は、ヨーロッパのスクーターレースの常勝ユニットであるクォーサーエンジンを搭載していることである。キャブ車時代から、パワーと頑丈さには定評があったエンジンだ。
 バイクのインジェクション化は、排ガス規制の強化に伴って、必要不可欠なテクノロジーとなっている。自然吸気のキャブレターでは、細かい燃料供給ができず、高度なエミッションコントロールが不可能なのだ。インジェクション化の副産物として、エンジンの始動性が格段に向上した。

 インジェクション化されたエンジンは、澱みなく吹け上り、トルクやパワーの谷間もほぼ無い。でも、キャブ車にあるトルクやパワーの厚みが無いように感じる。
 確かに排ガスを絞るために、ガソリンを食わさないわけだから、トルクや、パワーに厚みが無いように感じるのは当たり前なのだが、こうもあからさまになると少々辛い。しかし、4輪がそうであったように、高効率エンジンが開発され、パワーを取り戻してゆくだろう。その前に電動化しないことを祈るのみである。

 エンジンの始動に関しては、特に年式が古くなればなるほど、「儀式」と呼ばれるくらい厄介なものになることがある。
 チョークを引き、キックアームを出し、圧縮上死点を過ぎたあたりを探し、探り当てたらキーをオンにして、一気にけり下ろす。けり抜けず失敗すると、ケッチンという恐ろしい現象が...。
 無事にエンジンが掛かったら、かぶらせてエンジンを止めないように、チョークを少しづつ戻してゆく。
 その昔、ライダーがエンジン音を聞きながら、キャブに付いているチョークを戻してゆくそのスタイルが、子供の私には、ものすごくかっこよく見えたものだ。チョークを操作している反対側の手で、時々シリンダーに手を当て、温度を感じたりできるのは空冷車ならではだ。水冷車では水温計が付いていたり、水温ランプがあるので(マグナ250は、オーバーヒートランプしか無い)、ほとんど意味が無い。趣味性の強いギア車となると、儀式も、面倒くささも、個々のエンジンの癖も必要だと思う。自分だけしか上手く始動できないバイクなんて最高だし、最高のセキュリティシステムだと思うのだがいかがだろうか。

 蛇足ながら、アイドリングについて簡単に。昔は、エンジンの工作精度等の問題で、すぐには走れなかった。エンジンがある程度暖まるまで、アイドリングを余儀なくされていた。しかし今は、主にバッテリーの保護のためにアイドリングという行為が存在する。セルモーターが稼働すると、12.7Vくらいあったバッテリー電圧が、セルモーターが稼働中は11.7Vくらいまで降下する。その消費した電気を取り戻すために、ファーストアイドルの回転数を高めに取り、バッテリーチャージを始める。なので、アイドル回転数が高い間は、車ならば空調、オーディオ等は全てOFFである。アイドル回転数が落ちてきて、水温計が1セグメント上がればスタートOKだ。これだけでもバッテリーの持ちは随分違う。

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