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短い読書感想文『「わからない」という方法』(橋本治著)

「わからないもの」って何だろうって考えてみると、「わかってしまったもの」は、完結していて、新しい展開がない。「わからないもの」って、徐々に分かりかけると、ざわざわと心が騒いで「わかること」に変わっていく、そういう瞬間が面白い。「わからないこと」が沢山あるって、「わかる未来」が、いつか、背中をたたいてくれて、生きている心地がする。。
引き出しがいっぱいある。
実は、希望が充満している。
「わかる」は、使命を全うして、もう、後片づけが始まっている。。。

などど、本のタイトルを見ながら、考えている。

                           「わからない」という方法 橋本 治

暫く、キッチンの本棚に飾っていると、家にやってきた友人が、本に気がついて、「「わからない」という方法ねえ...」などと、つぶやいている。そのつぶやきの中には、その本の中には何が書いてあるのっていう好奇心が含まれている。

今、またお昼を食べて、食卓で『熊谷守一画文集』を読んでいると、自画像に添えてこんな文章に出会った。

 絵を描いていてどうかすると、思い違いで、何でもないと思っていたのがひどく難しかったりすることがあります。そんなときは、ひとりでベソをかくんですわ。そのベソをかくのを、自分がもうひとりいて見ているんです。その見ている方のが、ベソをかいているほうに「このバカヤロー」っていうんです。それが面白いんです。それはそうでしょう。自分が承知で、そんなこと気がつかないでわからなかったのかってね。片方で笑ってやがるんです。できないことは面白いです。かあちゃんにいわせると、そんなときは、面白いって顔してないそうですけどね。

熊谷守一画文集 ひとりたのしむ


橋本さんも熊谷さんも、「わからないこと」や「できないこと」を面白がって、方法に変えてたんやねと思います。

ところで、橋本さんの『「わからない」という方法』の前半には、素敵な「セーター本」の話があったり、「わからない」「わからない」といいながらバレーのレッスンに励む熊川哲也さんの札幌時代の話などもあり、興味深いです。 

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