見出し画像

これまでの人生で、アートが自分の指針になってきた

こんにちは。『アート・イン・ビジネス』で、アートの効果を測るための指標づくりや定量調査を担当した大西と申します。東京理科大学経営学部で、マーケティング・サイエンスを専門に研究をしながら、講義で大学生にマーケティング入門などを教えています。

自分が何をしたいのか、分からない学生たち

先日、文化の日(11月3日)にゼミの学生たちと一緒に、地元イベントへボランティア参加しました。そこでは、神楽坂の坂道いっぱいに大きな模造紙が広げられ、子供たちは絵筆で自由に絵を描くことができます。子供たちは、熱中して体中を絵の具まみれにしながら、楽しそうに絵を描いていました。学生たちは、理科大っぽく、子供たちに色の三原色について解説したりして、作品を描きながら科学も学べる企画を実施しました。

画像1

そのとき、参加していたある学生が「子供たちは、筆をもつとすぐに何か描き始めていてすごい」と関心していました。「自分では、何を描いていいか分からないし、こんなに熱中してずっと描き続けられないだろう」というのです。

また、就職活動を始めた別の学生からは「自分はどんな仕事についたらいいのか分からない」とか「どんな業界が自分に向いているか教えて欲しい」などということをよく言われます。最近では、他の大学と同じように、私の務める東京理科大学でも、学生の起業支援を行っています。しかし、毎年、何千人も学生は卒業していきますが、起業しようという学生はごくわずかです。

自分自身を振り返ってもそうでしたが、大学生のときは自分の将来に可能性が無限に広がっているように感じられる一方で、知識が圧倒的に少ないので、、、何から始めればいいのか分からなくなってしまう、ということがあるように思います。

人生の指針を考えるヒントは、アートのなかにある?

本書を執筆するために、「ビジネスはアートに似ている」という信念で、Soup Stock Tokyoや檸檬ホテルなどの新しい事業を次々と創造しているスマイルズの遠山社長をはじめとして、様々な起業家や新しい製品・サービスを生み出しているビジネスパーソンの方々からお話しを聞きました。これらのみなさんに共通しているのは、アーティストが作品を生み出すのと同じように、モノゴトを深く考え、本質をとらえ、それらを自分ごととして「内在化」したうえで、ビジネスや自身の仕事の指針として実践していることだと感じています。内在化とは本書の重要キーワードで、平たく言うと、多様な視点で考えられたり、本質を見抜く力が、自分自身の血肉となって身につくことを指します。

私自身も、ずっとアートが好きで、美術館に行ったり、ギャラリーに行ったりして、趣味としてよく美術鑑賞をしています。アーティストが、独自の視点で自分の考えや社会をとらえ、それを鑑賞者を魅了するようなプレゼンテーションとして作品に表現するという行為に、とても関心し魅力を感じています。それは自分自身の仕事への取組みにも反映されていてると思っています。私は、マーケティング・サイエンスという社会科学研究の分野で、真理を追究し、他とは違った視点で新しい研究をしていきたいと日々努力しています。(まだまだ、努力が足りなくて、大きな成果にはなっていませんが。。。)

とはいえ、前述の学生たちのように、まずは何から手をつけたらいいのか分からない、という方々も多いのではと思います。この本では、多くの方々が自分でも実践できるように、「アート・イン・ビジネスの実践法」にも多くのページを割きました。具体的な事例も交えつつ、執筆者である我々も悩みながら実践してきた方法論をタイプに類型化したりしています。

将来に思い悩む学生たち、さらに、仕事で新しいことを始めたいと思っているビジネスパーソンの方々にも、ぜひ読んでいただければ幸いです。

アート・イン・ビジネス_cover


P.S. マーケティングの視点から、企業とアートの関わり方について考察した記事も書いております。よろしければご一読ください。

画像2

▶︎経営学の知見を生かし、「アート・マーケティング」という新たな分野の研究もしています。


この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?