いつかどこかで
2019年の春、友人から、長崎川棚の「四次元パーラー あんでるせん」に、たまたま予約が取れたから一緒に行こうと誘いをもらい、足を運んだ。
そこにすでに行ったことのあるその友人は、とにかくミラクルな体験ができるからと話してくれた。
当日、店に入り、やわらかい味のする食事をいただいた後、そのショーは始まる。
ショーの内容は、店のマスターのマジック?超能力?
その日のゲストの名前を言い当てたり、ゲストがその場で紙に書いた絵を言い当てたり、私にとっては魔訶不思議なパワーを目の前で体験することになった。
マスターいわく、今日ここに来ている人は呼ばれてここにきている。
意味があって、ここに来てるんですよ、という。
ショーの3時間は、驚きの連続。不思議な世界に誘われたその時間は、あっという間に過ぎてしまった。
口コミだけで、遠方から、不思議な体験を求めてたくさんの人が訪れるらしい。
店内には、それまでに訪れた著名人のポラロイド写真がたくさん張ってある。
その中に、七田眞さんの写真があった。マスターが「右脳科学の第一人者、七田眞さん」と紹介した。
私はそれよりも以前に、たまたま図書館で手に取った本が面白いな、と思い、著者を確認したら、「七田眞さん」だったことを思い出した。
その日の帰宅後は、不思議な世界の余韻に浸り、眠れない夜を過ごす。
次の日、「七田眞さん」が気になり、市民図書館で七田眞さんの著書を検索する。七田眞さんは、たくさんの本を書かれている。私はその後、読める限りの七田眞さんの著書を読んだ。それらは、脳科学や育児の棚に分類されていたと思う。
そして2019年の秋、また別の友人と、「あんでるせんに行きたいね。」という話になり、予約の電話を入れる。
毎月1日に開始される2か月先の予約の電話は、なかなか繋がらないらしい。けれどその時、あっさりと電話は繋がり、最前列のカウンター席が予約できてしまった。
私の住む福岡から川棚までは車で約2時間。その道中から、店に入りショーが始まるまでの時間に友人と、
私が前回見た時に興味を持った七田眞さんのことや読んだ本のこと、
そして神社好きな私達は、「いつか出雲大社に行ってみたいね。」という話で盛り上がる。
ドキドキしながらショーを待った。
そして、ショーが始まる直前。カウンター席に着席する。
カウンター席の隣にいる方に挨拶をする。
その時、カウンター席の隣にいたのは、七田眞さんのご子息とその関係者の方々だった。
関係者の方は「しちだ」のロゴのあるTシャツを着ている。
お話の中で、七田眞さんはすでにお亡くなりになり、ご子息の七田厚さんがそのお仕事を引き継いでいらっしゃることを聞いた。
そして、七田眞さんの出身が出雲で、事業の本社は出雲にあり、ご子息はその日は出雲からいらしたという。
そして、一緒に3時間のショーを楽しんだ。
これまた、マジック?超能力?
七田さんの関係者の女性は、
「右脳が開くと、こちらのマスターみたいなことができるんですよ。」と話してくれた。
脳科学を理解すれば、マスターのショーは、不思議なことでもなんでもない、というふうに、私には聞こえた。
ショーが終わると、外は秋の夕暮れ。
暗くなりかけた道で、七田さんの関係者の方々とお別れの挨拶をする。
「またいつかどかで、お会いすると思います。」
そう言葉をかけてもらった。
いつかどこかでを、楽しみにしている。
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