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ナイアシンって何?

食品の成分表示にあるナイアシンって皆さん何かご存知ですか?
よく耳にはするけど、実際どういうものか分からないって方多いと思うので、本日はナイアシンについて書いていきます。

ナイアシンとは

ナイアシンアミド(ニコチンアミド)とナイアシン(ニコチン酸)の総称です。ナイアシンはビタミンB3と呼ばれていたビタミンB群の仲間で、水に溶ける水溶性ビタミンです。

ナイアシンの吸収と働き

生鮮食品中では、ナイアシンは、主にピリジンヌクレオチド(NAD、NADP)の形で存在しますが、食品を調理・加工する際に分解され、動物性食品ではニコチンアミド、植物性食品ではニコチン酸になります。生野菜や刺身など生の細胞を食べる食品の場合は、ピリジンヌクレオチドは消化管内で分解されてニコチンアミドになります。ニコチンアミドやニコチン酸は小腸から吸収されます。食品により分解率や吸収率が異なりますが、日本で一般的に食べられている食事中のナイアシンの利用効率は約60%と推定されています。

ニコチン酸やニコチンアミドは、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、脱水素酵素の補酵素として糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関与しています。また、補酵素として、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、ATP産生、DNAの修復や合成、細胞分化など、幅広い反応に関与しています。


ナイアシンの摂取基準量

ナイアシンはエネルギーの代謝に関与するビタミンであるため、推定平均必要量はエネルギー1,000kcalに対し4.8㎎として算出されています。半数の人が必要を満たすと推定されるこの推定平均必要量に推奨量算定係数の1.2を掛けた値が、推奨量となり、約97.5%の人が必要量を満たすと考えられる量になります。1日に必要なナイアシンの量(推奨量)は、18~49歳男性では15㎎NE、50~69歳男性では14㎎NE、70歳以上では13㎎NEで、18~29歳女性で11㎎NE、30~49歳女性で12㎎NE、50~69歳女性では11㎎NE、70歳以上の女性で10㎎NEとなっています。

ナイアシンは水溶性ビタミンですが、ニコチンアミドは1型糖尿病の治療薬として、ニコチン酸は脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われることがありますが、大量摂取した際に、副作用として、消化不良、重篤な下痢、便秘、肝機能低下、劇症肝炎など、消化器系や肝臓に障害が生じた例が報告されています。そのため、耐容上限量(過剰摂取による健康障害をおこすことのない最大限の量)は、18~29歳男性では300㎎NE、30~69歳男性では350㎎NE、70歳以上で300㎎NEです。18歳以上の女性では、250㎎NEと設定されています。

平成27年国民健康・栄養調査における日本人のナイアシンの1日の摂取量の平均は14.6㎎NEでした。食品群別の摂取量の調査によると、26.7%が魚介類、24.5%が肉類から摂取されているほか、野菜、穀類などからも多く摂取されています。

ナイアシンが不足すると‥

ナイアシンが欠乏するとペラグラ(pellagra)という病気になることが知られています。

ペラグラのおもな症状には、赤い発疹ができる皮膚症状、口舌炎や下痢などの消化管症状、神経障害の三つがあげられます。
※アルコール依存症の方は、アルコールの代謝にナイアシンがたくさん使われるため、欠乏症が起こるリスクが高いです。

ナイアシンをとりすぎると‥

一度に大量にとると、下痢や便秘などの胃腸障害や、肝機能低下などの障害を引き起こす場合があります。また、血管が拡張するので、皮膚が赤くなることもあります。

ナイアシンを多く含む食品

ナイアシンの摂取基準は、ナイアシンだけでなく、体内でナイアシンを合成するアミノ酸の一つであるトリプトファン含有量も考慮してナイアシン(ナイアシン当量)で表します。ナイアシンは、魚介類、肉類、きのこ類、穀類に多く含まれています。熱に強いため、加熱による損失は少ないと考えられますが、水溶性ビタミンのため、食品を洗ったりゆでたりする際に、水に溶けだす場合がありますので、調理の際は工夫が必要です。
他のビタミンB群と一緒に取ることで作用が強まります。

まとめ

ナイアシンは、糖質や脂質をエネルギーに変えるのに働きます。
また、ホルモンの合成やDNAの修復、細胞の分裂など、幅広い反応に関与します。
さらに、アルコールの分解を助けたりもします。体にはなくてはならないものです。
ナイアシンだけを意識して取るのではなく、他のビタミンB群やたんぱく質と一緒にとると作用が強まるので、食事を取る際は、なるべく彩りを豊かにして、バランスよく三食取るようにしましょう。

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