Parc Ferme - プロスペクト理論 - No.238より
人間は、これから起こるであろう事、その結果を予測をする際に、与えられた情報が示す確率に比例した期待をするものではないのだそうだ。期待には、人間らしい「バイアス」がかかってしまう。それでなければ、日本は、日本人は、先の悲惨な戦争を経験せずに済んだかもしれない。
12月8日は太平洋戦争の火蓋を切った真珠湾攻撃が行われた日である。政府首脳も、軍部も、米国、英国との開戦は無謀であると考えていながら、なぜ、戦争に突入し、そして兵站(物資の補給)すら無視した作戦の遂行に没頭し続けることになったのか。
そこには「プロスペクト理論」という行動経済学の基礎的な考え方で説明可能な人間心理が深く関わっている。
これは、テレビに出演している識者が話していたことだ。
まず、下記の実験をする。
【質問A】2つの選択肢から選んでください。
1) あなたは無条件で100万円受け取ることができます。
2) 私とじゃんけんをして勝ったら200万円を受け取ることができます。負けたら1円ももらえません。
【質問B】あなたには200万円の負債があります。
1) 無条件で負債が100万円減額され、残りの負債総額は100万円になります。
2) 私とじゃんけんをして勝ったら負債はゼロになります。しかし負けたら負債は200万円のままです。
質問Aも質問Bも、期待できることは、確実に100万円を得るか、1/2と考えられる確率で200万円を得るか、あるいはゼロかということで変わらない。違うのは、借金があるかないかということだけだ。
普通程度に堅実な人だったら、質問Aでは「無条件で100万円を得る」ことを選択するのだが、質問Aで堅実な選択をした人でも、質問B、「借金がある状態」では、それをチャラにするギャンブル的な選択である後者を選ぶことが多い。実験結果がそう示しているのだそうだ。
冒頭の話に戻るが、つまり、人は置かれている状況に影響され、状況判断にバイアスをかけるということだ。その人にとっての100万円というお金の価値は不変ではない。
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