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ITALIA 1997 「トップを走ったジャポネーゼ」- エンデューロ日記 No.53


街中の小道をライダーたちが通過していく。誰かが観ていると、陽気にウイリーを決めていくライダーたち。このライダーは、ジョルディ・ビラドムスといって、その後、KTMファクトリーチームのラリー選手としても活躍した。当時は、スペインのジュニアトロフィチームで活躍したエンデューロライダーだ

 イタリアの名門「モトクラブベルガモ」の本拠地がこの年の6日間の舞台となった。ブレシアという街の国鉄駅から、氷河地形の山岳地帯に少し入ると、そこにルメヅァーネという山村がある。サッカー競技場ががパルクフェルメとなり周辺の空き地がパドックになっていた。山間部らしく、午後になると毎日雷雨が来た。保水力のない岩山なので、雨が降るとあっというまに、あちこちで洪水が起きる。幾度も、区間のキャンセルが行なわれた。増水した小川を、腰まで水につかりながら、3人一組でおみこしのようして一台ずつバイクを渡したなんていうライダーたちもいた。だからといって荒れた展開だったというわけではない。自然を相手にした競技ではこのぐらいのことは折り込み済み。つつながく競技は進んでいった。

 モータースポーツの認知度が高い国である。エンデューロは比較的マイナーな分野であるとはいえ、日本とはと次元が違う。北イタリアは伝統的に工業が盛んで、自動車文化においても世界の中心地のひとつだが、モーターサイクルの歴史も旧い。このあたりはベルガモとも呼ばれるが、ここには、KTMファクトリチームの本拠、名門ファリオーリもある。

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