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JEC RUSUTSU TWO DAYS - Wウイン飯塚翼 - No.237より

昨年に続けて北海道ラウンドは日高を離れてルスツでの開催。日本のエンデューロライダーのために用意されたステージは、オープンロードに展開したトラディショナルスタイルの2日間競技。


MFJ全日本エンデューロ選手権 R3/4
2021年9月18-19日 北海道留寿都村
Images : 伊井覚 off1.jp

1日32.5km×4周と距離が短かったが、2日目の最終タイムチェックでは多くの選手がタイヤ交換をする

1日32.5km×4周と距離が短かったが、2日目の最終タイムチェックでは多くの選手がタイヤ交換をする

両日5位は順当か。太田幸仁(TEAM RABBIT)、ランキングでは内山裕太郎に3ポイント差で迫る4番手。最終戦SUGOへつな

両日5位は順当か。太田幸仁(TEAM RABBIT)、ランキングでは内山裕太郎に3ポイント差で迫る4番手。最終戦SUGOへつなぐ

Cクラス優勝の後藤純

Cクラス優勝の後藤純


IA2位。ルスツでは昨年に続くポディウムの保坂ヨシカズ

IA2位。ルスツでは昨年に続くポディウムの保坂ヨシカズ


IAクラス、大神智樹(宗七音響WISE BETA TEAM)は両日4位とまずまずのリザルトで実力を示した

IAクラス、大神智樹(宗七音響WISE BETA TEAM)は両日4位とまずまずのリザルトで実力を示した


クラシックエンデューロ

 一般道路を使用して広域に展開する競技として継続してきた日高ツーデイズエンデューロが、2020年に新型コロナウイルスの影響で開催が困難となり、代わって北海道大会の開催地となったのが、ニセコに隣接し、大規模なスキーリゾートを抱える留寿都村である。しかし、急遽の開催地変更のために準備期間が短く、競技は、ビッグベアOHVパーク(モトクロスやJECエリイ選手権が行われている)というクローズドコース内で完結するものだった。今年は事前から準備を進め、日高大会と同様、村道や林道など、一般道路を走りつなぐルートを持つ競技として開催されることになった。ルートは当初、1周約40kmと告知されていたが、最終的には約32.5km、ビッグベアOHVパークとルスツリゾートのスキーゲレンデ「イゾラ」に1か所ずつ、計2カ所のスペシャルテストと、2つのタイムチェックを設定。IA、IB、NAクラスでは1日4周、NB、ウイメンズ、Bクラスでは3周、初級者対象のCクラスでは2周というオーダーの競技になった。


新たなステージ

 昨年は2日目に短時間の局地的な豪雨に見舞われ、周回数が短縮されるなどの対応にも関わらず、遅着、リタイアが続出したルスツ。今年も天気予報は「雨」を告げていたが、雨量はごくわずかで、林道の埃が程よく抑えられる程度。DAY1はドライコンディションの中で進行した。
 32.5kmのルートは、広大なスキーリゾート内のアップダウンを除いては、グラベルの林道と短い舗装路で、ほぼ「移動路」という印象。もちろん勝負はスペシャルテストで決まる。2カ所のテストはどちらも4km強で、ビッグベアのエンデューロテストは、シングルトラック、MXコースのミックスで、タイトターンが多く、路面の変化が多いテクニカルコース。スキーゲレンデ「イゾラ」のテストは完全なグラストラック。前半はハイスピードな登りが続き、後半、急なダウンヒルとタイトコーナーの連続で、こちらもタイム差が大きく出る内容。1日目のオープニングラップは、どちらのテストも計測なしの下見ラップ。どの選手も慎重にラインを見極めながら、路面の感触をバイクと身体に沁みこませて2ラップ目に臨んだ。


IAクラス、齋籐祐太朗(宗七音響 wise Beta team)は土曜日に6位。台頭するニュージェネレーションを相手にもう一歩のスピードアップが欲しい

IAクラス、齋籐祐太朗(宗七音響 wise Beta team)は土曜日に6位。台頭するニュージェネレーションを相手にもう一歩のスピードアップが欲しい

IAでのポディウムは久しぶりの内山裕太郎

IAでのポディウムは久しぶりの内山裕太郎

IA優勝の飯塚翼

IA優勝の飯塚翼

IBクラス、両日3位の富永陽平(24 Service)、IBランキングで2位につけて最終戦へ

IBクラス、両日3位の富永陽平(24 Service)、IBランキングで2位につけて最終戦へ


IBで圧倒的なスビートを示す酢崎友哉(成田MXパークwithピュアテック)。すでにIAへの昇格を確定。来季は飯塚、保坂を脅かす存在になること必至だ

IBで圧倒的なスビートを示す酢崎友哉(成田MXパークwithピュアテック)。すでにIAへの昇格を確定。来季は飯塚、保坂を脅かす存在になること必至だ


NAクラス、DAY2でクラス初優勝の泉谷之則(ビバーク大阪×ハスクバーナ)

NAクラス、DAY2でクラス初優勝の泉谷之則(ビバーク大阪×ハスクバーナ)

NAクラス、DAY2に4位入賞の松山哲也(高見道)

NAクラス、DAY2に4位入賞の松山哲也(高見道)


飯塚と保坂、IBは酢崎

 計測が始まった2周目、2本のテストでベストタイムをマークしたのはShercoの4ストロークを駆る飯塚翼。「今回は釘村さん、ケンジさんが出走していないし、ヨシカズ(保坂)も怪我をしているので、前半は抑え気味に走った」という飯塚だが、この時点で24秒差をつける。一方の保坂修一(GASGAS)は、2週間前のJNCCでクラッシュして負傷。骨折した鎖骨をかばいながら、今回はタイトルをかけての出走。「(怪我のために)前半は様子を見ながらしか走れなかった」とコメント。それでも次第にペースを上げて、最終ラップは2本とも一番時計を奪取し飯塚を脅かしながら結局2位でフィニッシュ。3位にはベストタイムも記録した内山裕太郎(YAMAHA)がつけるという初日のIAクラスのポディウム。4位大神智樹(Beta)、5位に太田幸仁(KTM)、6位に齋藤祐太朗(Beta)と続いた。
 IBクラスは、このルスツのために免許を取得したという16歳の酢崎友哉(Kawasaki)が圧勝。IAでも6位に入るタイム。マディに強い成田MXパーク育ちのライダーだが、ドライコンディションでも鮮やかな走りを見せた。2位は地元北海道の馬場崇行(Beta)、3位に富永陽平(KTM)と続く。


 

大型ルーキー、高橋吟

 土曜日の後半から、空には青の面積が多くなり、日曜日のDAY2は朝から雲一つない快晴となった。ビッグベアOHVパークのパルクフェルメは標高700メートル。スキーゲレンデのイゾラ山頂は約1000メートル。遠くに羊蹄山を望むルートがライダーを歓迎した。
 スペシャルテストは1周目のスタート直後、1本目から計測開始。前日を首位で仕上げた飯塚翼(Sherco)も、序盤からプッシュしていく。
 「昨日はヨシカズが思ったよりもタイムが良くてマージンを稼げなかったので最初からプッシュしました」という飯塚。一方の保坂修一(GASGAS)も怪我の痛みに耐えながらペースアップ。「昨日より路面が荒れているので怪我に響きました」といいながら、イゾラエンデューロテストでは飯塚を押さえて一番時計を連発、合計では10秒弱の差に抑えて2位でフィニッシュという結果。
 2日間をダブルウインで仕上げた飯塚は「荒れたコースのほうが得意なので今日は快適でした。最終戦のSUGOもモトクロスコースが荒れてくれることに期待しています」とコメント。ポイントリーダーとしてSUGOの最終戦に期待を寄せる。3位は前日に続けてベテランの内山裕太郎(YAMAHA)。「やっぱり道路も使ったエンデューロはいいですね。テストもスケールが大きくて楽しめました」という初代のISDE日本代表チームから何度もトロフィチームを経験したライダーのコメント。
 IB優勝の酢崎友哉(Kawasaki)はすでにIAのタイムだけを意識「IBでは優勝できましたが、IAのトップ3に届かないので…。今、MXの関東選手権で練習しているので、最終戦のSUGOではその成果を出したいです」と話した。
 NAクラスは初日優勝の大学3年生、向坊拓巳がマシントラブルで脱落、代わって泉谷之則(Husqvarna)が、森慎太郎(Husqvarna)に競り勝って優勝。「本当は向坊君にも勝って優勝したかったんですが、それでもNAでの初優勝なのでうれしいです!」という泉谷は、ハードエンデューロのトップランカー。NBクラスは、スーパールーキーの高橋吟(YAMAHA)が、IBクラスでも上位に入るタイムで2日間ダブルウイン。ウイメンズクラスは、エントリー1名だが、17歳の保坂明日那が、やはりJECのために免許を取得して出走。「初めての公道イベントなので不安は大きかったですが、2日間完走できてうれしいです」とコメント。ポイントでも大きくリードして最終戦に臨む。


NAクラス43位の野頭勝敏(chickenracing盛岡 with MOTUL&N

NAクラス43位の野頭勝敏(chickenracing盛岡 with MOTUL&N

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