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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2020年8月の記事一覧

ライア・サンツ 「鉄の道に挑む」

「一度でいいからエルズベルグを完走したい」、その強い意志の源は何か。ウイルスと怪我に苦しめられた2年間。GASGASへのスイッチ、そして今なおダカールで成長を続けるパフォーマンスの秘密。女王ライア・サンツの肉声を聴く。 Image : Future7Media  ライア・サンツの辞書にも「苦難」という言葉はあるのだろうか。答えはもちろんYESだ。「一生に一度でいいからエルズを完走したい」。スペインの自宅でオフロード界のライブレジェンドは語る。サンツがアイアンジャイアントに

「フランス中部」 連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その6

インターナショナルシックスデイズエンデューロ。毎年、世界各国の持ち回りで開催される国代表チームによるチーム対抗戦。世界中のアマチュアライダーが目標にする、オフロードバイクの祭典でもある。華やかなモータースポーツのイメージとはかけ離れた、ストイックとも言えるこの競技のなにが人々をひきつけるのだろう。 写真/文 春木久史 2001年 フランス中部  11名の日本人選手が参加したフランス大会。中嶋宏明、大楽利之、池町佳生が複数回の参加。すでにラリーで活躍していた博田巌が初出場、

No.230より、インタビュー菅原義正「ティジカジャへ再び」

長年に渡るダカールラリーへの挑戦に一区切りをつけたレジェンドは、再びアフリカのラリーに照準を定めた。モータースポーツとは何か、ラリーとは何か。その飽くなき挑戦の先に見るものとは。 Text & Photos : Hisashi Haruki 共に初出場だった増田まみと ティエリーの足跡を追う -ダカールが南米に移転したのが2009年。同時に、菅原さんもアフリカで開催されるラリーから離れることになりました。アフリカエコレースで久しぶりにサハラを走ることになったわけですが

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.33

著 / 山田徹 第六章 最終章 其の九 遭難夜が明けた。 未着は1台。ゼッケン30だ。一日目、井戸のところで言葉を交わした選手だ。昨日は涸れ川で見かけた。大会本部のテントには重たい沈黙が占めていた。これまででも、朝になってもライダーたちが帰ってこないことは間々あった。しかし、そんな時でも情報を把握していなかったことはない。走っているのか、止まっているのか。着けるのか、着けないのか。今どこのあたりを走っているのかだ。 ルートのちょうど中間にあるRCPは通過していた。しかし、R

連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その5

インターナショナルシックスデイズエンデューロ。毎年、世界各国の持ち回りで開催される国代表チームによるチーム対抗戦。世界中のアマチュアライダーが目標にする、オフロードバイクの祭典でもある。華やかなモータースポーツのイメージとはかけ離れた、ストイックとも言えるこの競技のなにが人々をひきつけるのだろう。 4ストローク250ccクラスがスタートして3年目となり、徐々に欧州メーカーの4T250も出てきた。Husqvarna TE250はDOHCチタン4バルブ、tmレーシングのDOHC

ローレンス・ハッキング No.230より 「アフリカ、ヨーロッパ、テネレ回想」

新しい世界で仕事をすることを夢見てヨーロッパに渡った頃、人々は「パリダカ」という冒険に自分たちの夢を重ねていた。テネレはそんな「夢」を背景に生まれた新しいタイプのモーターサイクルだった。 人生を豊かに彩る それがアドベンチャーバイクだText : Lawrence Hacking Photo : Yamaha Europe ソノートヤマハと ジャンクロード・オリビエ 1988年の秋、私はカナダを離れてヨーロッパで働くために荷造りをしていた。自分自身も、またマーケットも、も

ヤマハのフォーカスは正しかったかどうか - No.230から YAMAHA TENERE700 ローレンス・ハッキング

パリダカールラリーから生まれたアドベンチャーバイクの世界でテネレは長い間そのアイコンとして君臨を続けてきた。現在の過当競争の最中、ヤマハが出したクレバーな回答がこれだ。必要充分な長距離性能と、どんなシチュエーションでもスポーツライディングをスポイルすることがない運動性能。ガレージに一台だけバイクを置くなら、こういうやつがいい。ISDEカナダ代表チームのメンバーとして複数のシルバーメダルを獲得。カナダ人初のダカールフィニッシャー。ジャーナリストのローレンス・ハッキングが語るテネ

No.230から ParcFerme コツがいるのは難しい証拠

「いや難しくないよ。コツさえつかめば簡単だから」と言われることがある。例えば、ヘルメットの内装の脱着。ゴーグルのレンズの交換。タイヤ交換もそうだ。確かに、それらはコツさえつかめばできるようになる。でも、コツっていうのは、つまり特別な技術のことである。「簡単」というのは、特別な技術の習得ナシでできることを言う。「コツをつかめば大丈夫」というのは、道具の進歩を停滞させる危険な言葉である。 KTMのエンデューロバイクを例証に、ヒマつぶしの考察をした。 Text : Hisas

連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その4

インターナショナルシックスデイズエンデューロ。毎年、世界各国の持ち回りで開催される国代表チームによるチーム対抗戦。世界中のアマチュアライダーが目標にする、オフロードバイクの祭典でもある。華やかなモータースポーツのイメージとはかけ離れた、ストイックとも言えるこの競技のなにが人々をひきつけるのだろう 名産のぶどう畑を縫って走るトレイル Text & Photo : Hisashi Haruki  伝統的に「ポルトガルのエンデューロは過酷」と言われており、この1999年もその

連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その3

インターナショナルシックスデイズエンデューロ。毎年、世界各国の持ち回りで開催される国代表チームによるチーム対抗戦。世界中のアマチュアライダーが目標にする、オフロードバイクの祭典でもある。華やかなモータースポーツのイメージとはかけ離れた、ストイックとも言えるこの競技のなにが人々をひきつけるのだろう Text & Photo : Hisashi Haruki 大洪水で中断ののち再開という波乱のシックスデイズに、6人の日本人ライダーが参加していた。インターネットによる情報入手が

連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その2

インターナショナルシックスデイズエンデューロ。毎年、世界各国の持ち回りで開催される国代表チームによるチーム対抗戦。世界中のアマチュアライダーが目標にする、オフロードバイクの祭典でもある。華やかなモータースポーツのイメージとはかけ離れた、ストイックとも言えるこの競技のなにが人々をひきつけるのだろう Italia 1997 街中のパルクフェルメをスタート、氷河地形の山岳地帯を走り、そして再び街に戻ってくる、クラシカルなシックスデイズの姿があった

連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その1

インターナショナルシックスデイズエンデューロ。毎年、世界各国の持ち回りで開催される国代表チームによるチーム対抗戦。世界中のアマチュアライダーが目標にする、オフロードバイクの祭典でもある。華やかなモータースポーツのイメージとはかけ離れた、ストイックとも言えるこの競技のなにが人々をひきつけるのだろう Text & Photo : Hisashi Haruki エンデューロの世界

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.32

著 / 山田徹 第六章 最終章 其の八 未着ゾーモットは特別だ。暖かい南の島にいるような、そんな感じだ。 一日の短い恐竜の谷への行程のあと、いよいよラリーは終盤の山場、600Kmの長丁場を迎えた。空気が震えた。 最後のラリー。ゾーモットをあとにしたら、ここに再び訪れる日があるのか。ビバークの小さな丘の上に登れば、スタートに並ぶマシンたちが朝の光に包まれていた。朝のブリーフィングで、今日のステージが、一筋縄でいかないことを注意してあった。前半の砂漠地帯から抜け出し、超高速のピ

コンプリートライダーへの道。トレイルの思想

例えるならば、モーションプロの携帯用ツールは、「トレイルの思想」から生まれた製品だ。だが、このブランドの製品に限らず、あなたが次の週末のために、改めてウエストバッグに入れるツールを選ぶ時、実は、それこそがトレイルの思想の探求なのだ。(本文抜粋)パークやMXコースで走ることと、トレイルを走るという行為の間には根本的な違いがある。ひとりで行って、ひとりで帰ってくること。そのことをどう考えて、どう実践するか。トレイルを走るために必要な用具=イクイップメントから考察してみよう。 T