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連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その3

インターナショナルシックスデイズエンデューロ。毎年、世界各国の持ち回りで開催される国代表チームによるチーム対抗戦。世界中のアマチュアライダーが目標にする、オフロードバイクの祭典でもある。華やかなモータースポーツのイメージとはかけ離れた、ストイックとも言えるこの競技のなにが人々をひきつけるのだろう


Text & Photo : Hisashi Haruki


大洪水で中断ののち再開という波乱のシックスデイズに、6人の日本人ライダーが参加していた。インターネットによる情報入手がようやく便利になった頃。まだまだ海外のレースには未知の要素が多かった。ライダーたちは個人的な努力でひとつひとつ困難を克服し、スタートラインに立った。


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当時はまだレンタルマシンのシステムができておらず日本のライダーもカルネを利用するなどてしてコンテナでマシンを送っていた


1998年 オーストラリア トララルゴン


 この年は、北海道の村田竜志、伊藤聖春、八下田智之の3名、そして池町佳生、細野孝雄、榛葉靖久の3名が、それぞれクラブチームでエントリーしていた。二つのチームは、同じホテルに泊まって、一部分、サポートチーム(といっても数名だが)を共有していたが、基本的には「なんだいあいつらに負けるもんか」ぐらいに思っているフシがあって、仲が悪いわけではないのだが、親しく一緒に食事をするというわけでもなかった。池町、細野、榛葉チームは、いずれも初出場だったが、もともとライディングのスキルが高いので、日に日に疲労の色は濃くなるものの、難なく走りきって全員がシルバーメダルという結果だった。


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