マガジンのカバー画像

BIGTANKオンライン

BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。
¥740 / 月
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.2

ボクはそこに、生涯をかけて「追い求めるなにか」のうしろ姿を見た。 あの日から三十年もの時間を費やしながら「追い求めるなにか」のうしろ姿をたびたび見えたものの、まだ指がかからない。 そのうしろ姿は、きっと砂漠の陽炎のようなものなのか。 追うほどに遠ざかり、あざ笑うかのように、でもたしかに微笑みながら遥かな「彼方」に存在する。 著 / 山田 徹 第一章パリ・ダカールの時代 其の二 一九九一年一月、パリ・ダカール 話はサハラ砂漠に戻る。実はこの年のこのイベントは一九七九年の第一

パウロ・ゴンサルベスを悼み - 2016年のインタビューより

Paulo Goncalves2020年ダカール。ステージ7のアクシデントでこの世を去った、ポルトガルのダカールヒーロー。2016年に行ったインタビュー。  ダカールは特別なイベントです。5日間のラリーだったら、ある程度リスクを冒しても、なんとか優勝することができないことはありません。そうしたラリーは距離もせいぜい2000km程度で、毎日あっというまに終わります。ダカールは14日間で9000kmを走る長くて冒険的なラリーです。ダカールでは常にスピードとナビゲーションをバラン

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.1

ボクはそこに、生涯をかけて「追い求めるなにか」のうしろ姿を見た。 あの日から三十年もの時間を費やしながら「追い求めるなにか」のうしろ姿をたびたび見えたものの、まだ指がかからない。 そのうしろ姿は、きっと砂漠の陽炎のようなものなのか。 追うほどに遠ざかり、あざ笑うかのように、でもたしかに微笑みながら遥かな「彼方」に存在する。 著 / 山田 徹 【編集部より】 2017年12月に出版された山田徹氏の著書「彼方へ」を、このオンラインマガジンで連載させていただきます。パリダカール

地名の記憶 - 百本の木の井戸

誰かが生きた時間は、過ぎ去っても消えるということがない。地名はその土地の記憶そのものだ。土地の姿形、そこに生きた人たちのこと、そこで起こった出来事、その土地に関わるすべてのことが、地名という媒体に刻み込まれている。

夢の在り処 - パリダカの断片を求めて

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

エンデューロに取り組む真の価値とは何か - 1999 ISDEポルトガル大会から

誰かが彼を手伝ったからといって、咎める者などいるはずもない。それでも彼は一人のアマチュアライダーとして、黙々とタイヤレバーを動かし、汗をしたたらせる。世界中のエンデューロライダーたちと、正々堂々と渡り合い、自分の実力を試す、その唯一の方法が、ルールを大切にし、そのもとで戦うことだからだ。(本文抜粋)

モンゴル、モータースポーツ界の英雄- - ガントルガ選手 命日

写真 SSER ラリーモンゴリア、マスターラリーをはじめ多くのモータースポーツイベントで活躍した、偉大なラリーチャンピオン、ガントルガ・ビャンバー氏が逝去されてから、この2020年1月24日で、丸3年が経ちました。 先日のアフリカレース、イタリアからタンジェに向かう船上で、エキップスガワラのスタッフとして参加していたバイラーさん(モンゴル)と、彼の思い出話をしました。バイラーさんは、ライダーとして、ガントルガ選手と一緒にラリーを走った経験もあります。 ガントルガ選手が亡

No.226より - 連載 レゴラリータ 「アッセンという街」 佐藤敏光

Toshi & Kayo のエンデューロ的コラム 第145回 Text & photo : Toshimitsu Sato 2019年のモトクロス・オブ・ネイションズは、オランダのアッセンで開催され、初めて開催国オランダが地元での優勝を成し遂げた。アッセンは、オランダの北にある町の名前で、ここにロードレースのサーキットがあり、ずっと昔からTTレースで有名なところでもある。TTレースとは、ツーリストトロフィーの略で世界選手権ロードレースが始まる前の名称なのだが、アッセンのロ

No.226から - ENDURO GP 最終戦フランス - 激戦は幕を閉じる

WESS(ワールドエンデューロスーパーシリーズ)に翻弄されるように、新しいフォーマットにチャレンジした2018シーズンの失敗を糧に、ENDURO GPは伝統的なエンデューロへの回帰を期して2019シーズンを迎えた。開催地も同様に、ここのところ続いていた拡大路線を改めてクラシックなスタイルのエンデューロが盛んな地域に絞って、いわば「立て直し」を図ったことになる。相変わらず、KTMグループの参戦はないが、落ち着きを取り戻したENDURO GPは、再び注目されるチャンピオンシップに

No.226から - Parc Ferme 起源についての諸説

都市間競走の時代 モーターサイクルという道具が発展するその黎明期においてどのような競技が行われていたか、それを探るには、まさに草の根をわけるような努力が必要である。確かなことのひとつは、オフロード、ロードレースという区別が無かったことだ。道路はもっぱら未舗装で、アスファルトが敷かれたサーキットも存在していなかった。 文 / 春木久史

No.226から - JEC FINAL - 終盤の接近戦

MFJ全日本エンデューロ選手権 R5/6 2019年11月30日~12月1日 福岡県・スピードパーク恋の浦 Photo & Report : ENDURO.J JECが九州で開催されるのは2010年の山都ツーデイズエンデューロ(熊本)以来。スピードパーク恋の浦に特設されたコースは、全体が約11km、その中に2つのスペシャルテストが含まれたもので、テストの合計タイムは1日あたり1時間強とボリュームのあるものになった。雨が降ると途端に難易度が高くなるという評判のコースでもあるが

No.226から - WESS 2019新チャンピオン - マニ・リッテンビヒラー

微笑む若き皇帝 WESS 2019 Champion Photos : Future7Media ひとつひとつ 慎重にクリアすることに集中した 伝統と格式あるハードエンデューロのゲッツェンロデオ。リッテンビヒラーは朝の予選から決勝レースを通じて、他を圧するパフォーマンスを披露した。その模様はレッドブルTVで生中継され、世界中のファンに新チャンピオンの誕生を印象付けた。数千人の観客が取り囲むポディウム。疲れ果て、これ以上は祝福の言葉を聞く体力すらない、という様子のリッテンビヒ

No.226から - 激怒するFIM委員 ヴィンテージエンデューロ - ISDEポルトガル大会より

Text : Hisashi Haruki  「ヴィンテージトロフィの連中はどうしようもない。今のままだったらもう2度と開催できない。彼らは成長しなければならない!」と、ポルトガルの審判員会議でFIMの役員は激昂したという。  曰く。

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - 雷鳴、頂上に響く。総合優勝のダニエル・サンダース

ポルトガルの主役は、間違いなくこの二人だった。 ジョセップ・ガルシアとダニエル・サンダース。マシンもライディングスタイルも異なる二人の走りに観客は釘付けになった。霧の中、ダストを向こうから、二つのエクゾーストノートが近づいてくる。 Photos : Future7Media 失われた優位、しかし オーストラリア代表、ワールドトフィチームの一員として再びISDEに参加したダニエル・サンダースは、猛烈といっていいパフォーマンスを見せて6日間のレースで、オーバーオールのトップタ