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古参兵が「シン」を観て思うこと/アスカ中心あーてぃくる。

パラレルワールドってありますよね。SF設定御用達な。これ、根も葉もない事でもなくて、偉い学者さんが真剣に研究していることでもあるそうです。
平行宇宙(パラレルワールド)について詳しく理解しているわけではないし、触りしか知りませんが、基本的な概念は、「有り得ることは全て有り得る」と言うことだと理解しています。可能性が有るものは全て起こったこと、もしくはこれから起こる、と言うことです。
(単一宇宙のユニバースに対する、マルチバースという考え方だそうです)


という考え方をベースにして、エヴァンゲリオン世界を妄想するワケですが。
エヴァの世界では、無数の平行宇宙が存在します。それは無数に分岐し、無限に拡散(インフレーション)していきます。例えば、朝食を食べるときにパンを食べるかご飯を食べるかで分岐する、と言う感じです。
その平行宇宙の上位概念として、マイナス宇宙が有り、ゴルゴダオブジェクトが有ります。上位概念(つまり神の世界)から見れば、数多有る世界は全て同じように見える。我々が蟻の世界を区別できないように。もちろん、興味の対象をよ~く観察すれば違いは分かるんですけどね。カヲルの「変わらないな、君は」とか「円環の~」の台詞はそういうことだと。
(このマイナス宇宙とゴルゴダオブジェクトはウルトラマンエースからの引用だと思われます。エースではゴルゴダ星だったようですが)
上位概念なので、そこで起こったことは全ての平行宇宙に影響を与える。そこに突入できるのは適格者(チルドレン)とアダムス(使徒やエヴァ含む)とリリス。
神の子であるアダムス(コピーのエヴァも)とリリスは当然として、なぜチルドレンがそこに入れるのかと言えば、それはもう「神が選んだ適格者だから」です。
そこでシンジは、最後にエヴァの無い世界を願い、ユイはその想いを引き受けて神となった。

っという感じのフンワリとした妄想をしています。
カヲルが円環の物語と言ったこともあってループ説が定番になっていますが、ループだと旧劇のアスカやシンジはリセットされてしまったのか?それじゃ救われないじゃないか、という誠に個人的な想いから来る妄想です。はい。

もうちょっと言いますと、これは貞本エヴァやTV版最終話の「遅刻遅刻ぅ」の世界、また鋼鉄のガールフレンドや数多の同人誌作品でさえも内包して、同時に存在すると捉えています。これもひとつの可能性、ってヤツです。


惣流アスカラングレーも式波アスカラングレーもひとつの可能性。お互いに相反し合うわけではない。双方とも「アスカ」です。
今回はたまたま「式波」が舞台に上がることになったのだと考えています。



前置きが長くなりましたが、式波・アスカ・ラングレーです。
2回目を観ました。1回目は初日の月曜日、2回目は4日後の金曜日です。
流石に2回目は少し冷静になってまして、ようやく全貌が理解できた感じです。1回目はもう、感情と情報の大波にさらわれて難破しちゃいましたよ。アレはもうムリ、いろいろと。もうね、TVリアタイ組(つまりオヤジ)としては25年半の想いの防波堤が一気に決壊ですよ。
そういえば25年前は毎週のようにこんな思いをしていたんだよなぁ。そりゃ水曜日の18時半が1週間の中心になりますって。

1回目直後はアスカxケンケンというラストに納得していましたが、少々時間が経つとなんとなくこう、モヤ~っと来るものが有りまして。ええ、ワタシはアスカ人なので。
1回目を見た後、アスカを支えてあげられるのはケンスケだと思いました。が、なんかちょっと違うな~と。微妙な違和感もあったんですよね。もちろんあの時点で恋愛感情はお互いに無かったと思いました。アスカは単に居心地が良かっただけだろうし、ケンスケは奮闘するアスカを見守る立場だった。もちろんアスカはケンスケに多少なりとも心を許していたのは間違いないですが、それは仲の良い従妹のお兄さんに対する感情に近いんじゃないかな。

とするとですね。いきなり28歳になった式波アスカさんがケンケンの所にエントリープラグごと飛ばされたところで、困るワケですよ、お互いに。「何考えているのよ(んだ)バカシンジ(碇)!」ってね。
どう考えてもこの二人が手を取り合って歩み始めるっていう展開は想像できないです。ハチクロのはぐと修ちゃんじゃないんだから。同じくらいエヴァにハマっている妻(リアル妻)に女性代表として聞いたところ、同様の感想でした。ですよねぇ。

とするとだね。ケンスケは置いておいて(ひでえ)、式波アスカさんの補完ですよ。ラストシーンもひとりでゲームしてたし、駅で。どうすんだよオイ。


ところで式波アスカラングレーのオリジナルは誰かと言う件。巷では惣流だと言われていますが、すごく違和感。だって惣流には式波を捕り込む理由が無いです。ゲンドウとしては、アディショナルインパクトを起こすために式波アスカを使徒化して13号機に取り込む必要が有ったワケですよね?それに惣流アスカが従う理由はないでしょう。なので式波アスカのオリジナルは、あくまでもキョウコであると考えています。
あそこで出てきたのはアスカの姿をした第9使徒そのものじゃないかと。式波アスカの意識の裏返しと言うか。TV版第弐拾参話「涙/Rei III」のイメージです。ここのシーンはまだ曖昧なので、もう何回か観て確認します。


シンジが願うことにより、「エヴァのない世界」が訪れます。そしてワタシの呼吸が止まったあのシーン。そう、あの砂浜のシーンですよ。


あのシーンは、いわゆる旧劇の世界のその後だと思っています。(恐らく)14年、彼女と彼はずっとそこにいた。決して触れ合わないままに。

しかし時の流れは偉大です。時間は人の心も癒します。そこに「マイナス宇宙(上位概念)」からの干渉もあれば、彼らが分かり合えることもできるでしょう。これもひとつのカタチです。ええ、妄想なのでなんでもアリなのです。最初に書きましたよね?「有り得ることは全て有り得る」って。(予防線)


今回の「シン」を観て殊更思ったのは、「時間」の大切さでした。「破」から「Q」で14年経ったと知った時はクラクラしましたが、今ようやく、物事が解決するためにその時間が必要だったと知りました。式波アスカが、自らの想いをシンジに伝えることが出来るようになるまでにも。


同様にシンジ君です。田植えアヤナミ(この表現が非常にカワイイ)が植えた稲の成長具合からみると、少なくとも2ヶ月は第3村にいたことでしょう。シンジ君のあの症状は重度の鬱だと言えますが、閉ざした心を再び開くまでに、やっぱり時間が必要であると描かれています。

(私自身、鬱病を患ったことが有ります。シンジ君ほどには重度ではありませんでしたが、何もしたくない、食べることもしたくない、の気持ちはよくわかります。でもお腹は減るんですよね、生きているから。泣きながらレーションを食べるシーンは心に刺さりました。でもそれすらも、回復するひとつの必要条件だったと思います。生きることを認めることですから)

幸いにしてシンジ君には理解者が多くいました。それはとても幸福なことですよ、シンジ君。みんなあなたのことが好きだったんです。


それにしても、第3村のパートには心底驚きました。トウジやケンスケがが出てきたときはもう、マジ泣きですよ。まさかこうやって市井の人たちの暮らしが描かれるとは。もちろんシナリオとしてシンジの回復に必要なパートだったんですが、それでもいわゆるセカイ系から脱却したエヴァが描かれたようで、とても嬉しいパートでした。



惣流アスカについても、時間が解決することは、多分にあったと思います。「シン」のシンジと違って、たったふたりしかいなかったけれど、幸か不幸か、あの世界のアスカとシンジにも、時間だけはたっぷりあったでしょうから。


この時間の捉え方については、安野モヨコさん作の「おおきなカブ」を観ると、更に想いが強くなりますね。



シンジは、最後にマリの手を取って、駅から駆けだします。
シンジとマリはマイナス宇宙(上位概念)に行って戻ってきた、つまり世界を再構築した訳ですね。再構築の中心はシンジでしたが、サポートしていたのはマリ。ちょっと強引ですが、新世紀(エヴァのない世界)におけるアダムとイブとも言える。メタファー的にはシンジは旧世界、マリはそこに現れる異分子。その融合によって生まれたのが新世紀。
劇中、マリが8号機で迎えに来たシーンでセルの色が抜けて線画になっていくのは、新世紀への昇華を現していると捉えました。そう考えると、あのラストは必然かなと思います。


だからですね、アレは別にシンジとマリがどーだこーだとかいうことじゃないんだと思いますよ、ええ。(無意味に力説)


もう一度式波アスカさんに戻りまして。
ハッキリ言えば、カップリングとかどーでもいいんですよ。アスカが幸せに歩んで行くことが出来ればいい。望みはそれだけ。28歳なりに成長できたということは、自らの道を自分で選べるということ。それでもう充分です。

それに、もしかしたらこの後、焼けぼっくいに火が付くかもしれないしな!(妄想を誰か補完してください)



終わっちゃえ。



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