これが川崎の「11番」。 〜川崎フロンターレVSコンサドーレ札幌〜 マッチレビュー
試合前プレビューはこちら。
試合結果
川崎フロンターレ5−2コンサドーレ札幌
本当に心が震える試合。
川崎サポが待ち望んでいた瞬間がやってきた試合でした。
興奮冷めぬままですが、今回の勝因を3つほど挙げさせていただきます。
勝因①:原点回帰
今節、大島僚太とチャナティップが怪我から復帰し即スタメンとしてメンバーに名を連ねた。
プレビューでも書いた通りメンバー的に3−6−1を予想していたがフォーメーションはいつもの4−3−3だった。
しかし、開始直後から違いが現れた。
最終ラインから中盤を経由したボール回しがとてもスムーズなのだ。
フロンターレの4−3−3は最終ラインからアンカーを経由したパス回しが肝で、ここ最近の試合はアンカーを封じられて攻撃がうまくいかないことが多かった。
今節はアンカーの位置に復帰した大島、左サイドバックに普段アンカーを努める橘田が配置された。
そしてアンカーの大島が見事な役割を果たした。
コンサドーレ札幌は予想通りマンマーク気味で守り、フロンターレ対策では定番となった執拗なアンカー潰しも狙ってきた。
そこを大島はアンカーという役割にとらわれず、攻撃が停滞しそうになればポジションを変えディフェンスラインに入ることがあれば前線まで走り相手ディフェンスラインを押し下げる。
攻撃がうまくいかない時に家長がよくやる自由にポジションを変える動きを大島が効果的にしていた。
そうすることにより停滞しがちな真ん中を整理させ、そこに家長、脇坂、橘田などが顔を出すことでマンマークで来る相手に比較的スムーズなパス回しを披露して見せた。
この動きは大島の判断なのか中断期間中にチームで仕込んでいたものかはわからない。
だが、いつもと違う組み立ては前半終了時点のボール支配率64%というデータに現れていた。
4−3−3を主流で戦うようになってからはフロンターレは縦に速いサッカーになった。
しかし同じ4−3−3でも今節はあまり急がずポゼッションを高めて崩していく、リーグ初制覇を果たした時のようなサッカーに感じられた。
フロンターレの根幹は「止めて蹴る」に拘るボールを大事にするサッカーだと私は認識している。
原点回帰。今節はその言葉が頭に浮かんだ。
勝因②:ベテラン勢の意地
フロンターレは2017年リーグ初制覇以降毎年タイトルを取ってきた。最近では常勝軍団と称されることもある。
しかし、リーグ初制覇まではシルバーコレクターと揶揄されている時代もあった。
その時代を知るいわゆるフロンターレでのベテラン勢は現在9名のみである。
今節怪我の登里と安藤を除いた7名がメンバー入りし、6名がスタメンでの出場となった。
リーグ3連覇を狙うためにも選手全員が気合が入っていたが、特にベテラン勢が気を吐いていたように感じる。
復帰明けの大島はもちろん、家長はスタートから運動量豊富でいつも以上にディフェンスでも奮起していた。
開始すぐに山根のパスミスでピンチになりかけた際も家長がしっかりプレスバックをしてピンチを防いでいた。
2失点したものの特別崩された感じはなく谷口、車屋、チョンソンリョンの守備は絶対に崩れないという意志を感じた。
特に普段あまり感情を表さない車屋の今節のプレーや表情は鬼気迫るものを感じ、プレー内容も完璧だった。
常勝軍団になる前の、うまくいってない時期を長く過ごしたベテラン勢の「絶対に自分たちで崩れない」といった意志が二度のビハインドを跳ね返す結果に繋がったと感じる。
勝因③:頼れる「11番」の復活
エースの定義。
これは人それぞれあるだろうが、私は「チームのピンチを救い勝利へ導く者」それがエースだとおもっている。
フロンターレ背番号11:小林悠
今節の彼はまさしくエースと呼ぶに相応しい選手だった。
2016年以降毎シーズン二桁ゴールを記録し、2017年はキャプテンとしてシーズンを過ごし、最終節にハットトリック、チームに初タイトル小林個人はリーグMVP &得点王を達成した。
今シーズンの小林は今節までリーグ戦無得点。
前節0−1で敗戦した京都戦もスタメンフル出場も得点を奪えず周囲からの落胆の声も増えていた。
しかし、フロンターレの11番はやはり死んでいなかった。
今節ベンチスタートとなった小林は58分に1−1の状態でピッチに投入された。
その後チームは失点を喫し二度目のリードを奪われた。
「もしかすると今日もこのまま・・・」そんな不安がサポーターの頭をよぎった。
が、3分後その不安を希望へと変えるゴールを小林悠がやってのけた。
混戦のこぼれ球をバイシクル気味のボレーシュートでゴールへ叩き込んだ。
「俺はストライカーだ!俺がエースだ!!」
そんな小林悠の魂が全面に出たようなゴールだった。
そこからのチームの勢いは最高潮に達するも試合終盤まで2−2でスコアが動かず。
このまま終わってしまうかと思われたがそこでも小林。
86分にこぼれ玉を押し込み逆転のゴールを奪う。
エースの完全復活の瞬間、サポーターの待ち望んでいた瞬間だった。
フロンターレサポーター全ての心が震えた瞬間だった。
その後家長のゴールをアシストし途中出場で2ゴール1アシストという記録を叩き出した。
ベテラン勢全員の奮闘もあるが、やはりこの試合のMVPは小林悠であろう。
リーグ戦はまだ半分
今節は今シーズンで最高の試合だった。
しかし、優勝したわけでもリーグが終了したわけでもない。
あくまで長いシーズンの内の1試合。
今節終了でちょうどリーグ前半戦が終わりフロンターレは首位と勝ち点差1の3位。
十分リーグ3連覇を狙える位置にいる。
リーグ終了時、「今節の勝利が優勝のターニングポイントだった」そう語れるように残り半分戦い抜いてほしい。
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