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ビースティ・ボーイズ・ストーリーを観た。


*ネタばれなのでこれから観ようとしてる方はいますぐ目を瞑ってください。


スパイク・ジョーンズ監督による「ビースティ・ボーイズ・ストーリー」がApple TVからオススメされたので観ました。このようなスピーチを編集した作品を楽しむことに僕は慣れておらず普段なら観なかったかもしれません。しかし一昨日の夜は他人が作ったストーリーを観る気分でもなかったし、観るのであれば(どうやらすぐに寝床につけそうもないし)ドキュメントの中で特に音楽やバンドを扱った作品であれば、僕にとって気楽だと思いました。

観てよかった。ビースティ・ボーイズのレコードなんてもう何年も聴いていないし、スパイク・ジョーンズの最近の活動も追ってなかったけど、観て良かった。今回はその感想の回です。





よく勘違いされるますが僕は映画は全然詳しくなく(というか好きかどうかも怪しい)あの時代、スパイク・ジョーンズにしても夢中になることはありませんでした。なぜなら彼がミュージック・ヴィデオの監督から映画の世界へと向かった頃は1990年代後期だったはずで(「マルコヴィッチの穴」が1999年)、僕はすでに30手前。映画大好き人間と公言できない僕がシーンのど真ん中で彼の作品に夢中になる年頃ではありませんでした。年齢は関係ないというかもしれないけど、10代の子が「スパイク・ジョーンズ!」と叫べば29歳の僕が何を知っていようが何を語ろうがひとたまりもありません。そんなの悔しいし。でも彼のミュージック・ヴィデオを集めた2枚組かのDVDは買っていたはずだし、まあもちろん彼の作品のレコードは未だにコレクトしてる(もちろん「かいじゅうたちのいるところ」のレコードもシールドされたままで)。


ビースティ・ボーイズも大ファンとは言えません。ファンとも言えないです。ただ1986年に発売された彼らの1stアルバム「Licensed To Ill」を高校1年生だった僕はレンタル・レコード屋で借りたあと、我慢できずレコードを買いなおし、町内の靴屋でなんとか見つけたアディダスの3本線のスニーカーを履き、デプトで買った背中に例の潰れた飛行機のイラストがどかっと描かれている1stアルバムのツアーTシャツとサイクリング・パンツを履いて名古屋の中心街である栄の地下街を歩いていると「おまえ、オンナかオトコか、どっちだ」とヤバそうなおっさんに絡まれ逃げた16歳の記憶はしっかりと残っています。もちろんレコードは20枚以上は持っていそうです。

にしても「オンナかオトコか」と絡まれたのは髪が長かったからか、サイクリング・パンツを履いていたからか、にしてもあの時代のサイクリング・ファッション・ブームといったものは一体なんだったのか?その後、リヴァイバルした記憶もないし(見逃していたらごめんなさい)なにか非常に世の中にダマされた気がする。ヤバい人に絡まれたり、ゲイな人に襲われたのは2,3回どころじゃないのに。誰か責任取ってもらいたいよ。


サイクリング・ファッションはこんな感じ。まあ、なんか今ぽいか。



といったわけで「ビースティ・ボーイズ・ストーリー」はマイクDとアドロックがビースティの歴史を語るスピーチをスパイク・ジョーンズが演出、編集したものでした。よかったな。Apple TVのAI機能が今の僕に観せようとしたと思えるくらい。だからもし他の時に観てたら「こんな時代もあったな。そしてみんな歳をとるのだな。」といった感想くらいしかなかったかもしれません。

話はもちろんバンド結成前の時代から始まるのですが、それら前半の話は後回しにして後半の話をします。つまり最初の方の話は有料記事で書きます。後半は2012年に47歳の若さで亡くなったメンバー、アダム"MCA"ヤウクについての話が中心となるのですが、その時の逸話が僕にとってはクライマックスでそして重要で、そこはなんだか逆に一般公開の部分で書きたかったからです。




1998年発表の彼らにとって5枚目のスタジオ・アルバム「Hello Nasty」に収録されてるアダムが作った"Song For the Man"について、マイクDがこう話しました。

「"Song For the Man"は女性が通りかかったときに多くの男性がとる行動について歌っている。ある時、インタビューアーがアダムを偽善者呼ばわりした。"(You Gotta) Fight Your Right (To Party)"と大違いじゃないか、と。」


"(You Gotta) Fight For Your Right (To Party)"は1986年に放った世界的ブレイクのきっかけとなった曲です。彼らが19歳になったばかりくらいです。親や担任などからの小言なんてくそくらえ、パーティーをする権利のために戦え、的な歌詞だと覚えてます。


こちらが12年後、アダム作による"Song For the Man"。女性に対して恥ずかしげもなく性的な目つきで眺める男たちのことに対して歌っています。



そしてアダム"MCA"ヤウクは、以前の自分たちを補うような曲を歌うのは偽善者の行為じゃないかと問うインタビューアーに対して、こう答えたと言います。


「同じ人間でいるより偽善者でいる方がマシだ」



*下記からは有料記事となります。何度も間違えて単体有料記事の方買ってしまった言われるので何度もお知らせしますが、定額マガジンの方がお得です。

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