2023年秋の新譜紹介、その8(ゴール前の急勾配)。
最後の直線は短くも強烈な急坂を駆け上がらなければなりません。
スタミナ勝負です。
つまりマネー勝負です。
レコード好きの世界は昔からこの汚い世の中を象徴するかのごとくのマネー次第なのであります。
だって金がなければ無限に増えていくレコードを置く場所もありません。
例えばあなたが男子の場合、家賃や子供の養育費はもちろん、ガールフレンドとの食事代、嫁へのプレゼントなどがレコードのせいで払えないなど言った瞬間に生きてる価値ゼロ男の烙印100個です。
レコードを買うことが趣味なんていう男は、牛乳のキャップ集めやトイレットペーパーの包装紙コレクター以下なのです。
「でも音も鳴る」
これは私がレコードを購入する際に30年間以上に渡って親やガールフレンドへ言い訳として使っていた言葉ですが、残念なことに彼らはその音さえ嫌いです。
しかも私が好きな音が彼らは世の中でもっとも嫌いです。
母親には
「この悪魔みたいな音消して!」
と16歳の時に泣かれました。
『悪魔の声みたいな音』ならまだしも『悪魔みたいな音』です。
例えば『どらえもんみたいな音』ならば『タイムマシーンの音』や『どこでもドアを閉めた時の音』みたいなものではなく『大山のぶ代みたいな音』、と誰もが想像するに違いありません。
しかし『悪魔みたいな音』に関していえば、果たしてその腕をスリスリした音なのかその尻尾をぶん回した時の音なのかやはりその声を指して言っているのか、完全に意見は皆それぞれ分かれるはずです。
ちなみにこの音の正体はディアマンダ・ギャラスといってギリシャ系アメリカ人のミュージシャンです。
決して悪魔ではありませんよ。
と母親に言った瞬間にものの見事にジャケごと真っ二つにブチ割られたこちらのレコードはその20年後にようやく買い戻しましたが、いま聴いたらあら不思議、悪魔の音が鳴ってます。
今思えば名古屋市緑区でこれを爆音で鳴らして警察が来なかった方が不思議です。
お母さん、本当にごめんなさい。
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サポート!とんでもない人だな!